燃え殻って誰？ツイッター出身の話題の人|映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』

11月5日（金）に映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』が公開される。原作はTwitter出身の小説家・燃え殻の同名ベストセラー小説。昔の恋人にFacebookの友達申請を間違えて送ったことをきっかけに、90年代に21歳だったボクが過去からいまに続く人生を回顧する恋愛映画だ。

幅広い年齢層の共感を呼ぶ“エモさ”

原作は燃え殻の同名ベストセラー小説

主人公の46歳のボク・佐藤は、ある日Facebookで昔の恋人・かおりと再会した。結婚して“普通”の幸せを手に入れていた彼女の投稿をただ眺めていたが、間違えて友達申請を送ってしまう。ボクは“自分より好きになった”忘れられない彼女との出会いと別れ、そしていまの自分に繋がる過去を思い返していく。
映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』は、Twitter界の有名人で、普段はテレビ美術制作会社に勤める小説家・燃え殻（もえがら）の同名ベストセラー小説が原作だ。2017年に発売された同名小説は、書店に入荷しては即完売を繰り返し、社会現象とまで言われた話題作である。物語は燃え殻自身の体験をベースに描かれており、主人公のボクは燃え殻と同じく、テレビ番組のテロップやフリップを制作する会社で働いている。90年代に21歳だったボクが文通で出会ったかおりとの恋を中心に、さまざまな人たちとの出来事を思い出して物語は進む。そして、すべての出会いが46歳のいまへ繋がっていることをボクは実感するのだった。
異色の小説家・燃え殻の作品は、若者からアラフィフ世代まで幅広い層から支持されている。人生を歩む中で、多くの人が経験する切なさや愛おしさ、やるせなさの“エモい”表現が共感を呼んでいる。また、本作を鑑賞した後に初めて原作を読むと、こんなにも薄い（物理的に！）本だったのかと驚いた。映画は原作のエッセンスを十分に反映させた濃ゆい内容になっているため、原作ファンも期待して映画館へ足を運んでほしい。

原作者・燃え殻
1973年生まれ。都内のテレビ美術制作会社に勤める。仕事上始めた黎明期のTwitterで、時に皮肉めいたユーモアあるつぶやきが話題となりフォロワーが増加。そしてウェブサイト「cakes」で小説の連載が始まり、その内容をまとめたのがデビュー小説「ボクたちはみんな大人になれなかった」である。小説家として異色の経歴だが、作中にあふれる「エモさ」が幅広い年齢層の共感を呼び、瞬く間に人気小説家となった。

主演は森山未來、元恋人役は伊藤沙莉

実力派俳優たちが燃え殻の世界観を体現

主人公のボクを演じたのは、役者・ダンサーとして幅広く活躍する森山未來。21歳から46歳までを見事に違和感なく演じる。若い頃の純粋無垢な少年感や、40歳を過ぎて社会に揉まれ、髭を生やした姿などさまざまな表情に注目してほしい。そしてボクの忘れられない恋人・かおりは、伊藤沙莉が体当たりで演じた。伊藤のハスキーボイスが、普通であることを嫌う“サブカル女子”のかおりにぴったりだ。子役時代から着実にキャリアを重ねてきた彼女が、本作では女優としての深みをさらに感じさせてくれた。ほかにも萩原聖人、大島優子、東出昌大、SUMIRE、篠原篤、ラサール石井、平岳大、片山萌美、高嶋政伸など実力のある俳優陣が燃え殻の世界観を体現している。監督は本作がデビューとなる森義仁。MVやCMを数多く手がける新鋭にも注目だ。

映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』あらすじ

自分より好きになった彼女を思い出す

文通から始まったかおりとの恋。彼女と出会ってボクの人生は大きく変わった。一生懸命生きようと思った。しかし、彼女はボクの前からいなくなった――。それから何年も経って46歳になったボクは、Facebook上でかおりと再会する。そして、間違えて友達申請のボタンを押してしまった。ボクは忘れられない元恋人との出会いと別れ、時代を象徴する出来事や、さまざまな人たちとの関わりを思い起こしていくのだった。ノスタルジックで普遍的な物語。これはあなたにとっての物語かもしれない。