壮大な大河シリーズ! 中村錦之助版「宮本武蔵」5部作
『宮本武蔵 巌流島の決斗』©東映

 古くから小説・映画・ドラマなどの題材として親しまれている剣豪・宮本武蔵の物語。現在までにさまざまな役者がその生涯を演じていますが、三船敏郎主演による3部作(1954~56年)と並んで日本映画史の至宝と言える傑作が中村錦之助(のちに萬屋錦之介に改名)主演によるシリーズです。
 1961年公開の『宮本武蔵』から1年に1作が製作され、1965年公開の『宮本武蔵 巌流島の決斗』まで5作品が作られる壮大な大河シリーズとなりました。
 原作は戦前の1935年から朝日新聞に4年間連載されていた吉川英治の小説『宮本武蔵』。武蔵の剣豪としてのイメージを定着させた名作です。

主演は時代劇の名優・中村錦之助

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『宮本武蔵』©東映

 戦前から活躍し、骨太の人間ドラマを得意としていた内田吐夢監督(うちだ・とむ/1898~1970)と、1954年のデビュー以来東映時代劇の花形であった中村錦之助の主演のコンビで、当初から長期のシリーズ化が前提とされていた超大作であった。第1作『宮本武蔵』では若き武蔵(たけぞう)が関ケ原の合戦に参加して敗北の憂き目に遭う場面に始まり、沢庵和尚(演・三國連太郎)との出会いが、第2作『宮本武蔵 般若坂の決斗』は武蔵の剣術修行が描かれます。

佐々木小次郎役は高倉健!

 武蔵のライバルである佐々木小次郎役は、これが本格的な時代劇は初出演となった高倉健(初の時代劇は美空ひばり主演の『千姫と秀頼』へのゲスト出演)。それまでは刑事や探偵、ギャングの役でアクション映画を中心に出演していました。健さん扮する小次郎は第3作『宮本武蔵 二刀流開眼』から登場。その後の、口数の少ない朴訥としたイメージとはまったく異なる「クールな憎たらしさ」で剣の天才を生き生きと演じています。

クライマックスが突然白黒に!

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『宮本武蔵 一乗寺の決斗』©東映

 シリーズの山場はもちろん完結篇となる第5作『宮本武蔵 巌流島の決斗』で描かれる佐々木小次郎との一騎打ちですが、この5部作では第4作『宮本武蔵 一乗寺の決斗』における乱闘場面も名場面として多くの映画ファンに記憶されています。前作で道場主を武蔵に斬られ、復讐に燃える門弟たち73人をたった1人で相手をすることになった武蔵。死を覚悟してヒロイン・お通(演・入江若葉)と固く抱き合い別れると、突然画面が白黒になり、鬼気迫る斬り合いが展開します。この場面にはさらにショッキングな仕掛けがなされていますが、それは見てのお楽しみ…。自らのパワーの大きさにとりつかれ、気も狂わんばかりの武蔵=錦之助が発する、圧倒的な眼差しの強さに注目です。

その後も武蔵を演じた錦之助

 シリーズ完結後、 同じく中村錦之助と内田吐夢監督のコンビで5部作では描けなかったエピソードを番外編『真剣勝負』として製作。まさに執念の一作で、本作が内田監督の遺作に。その後、1980年のお正月にテレビ東京で5部作が一挙放送されると視聴者からの大きな反響が寄せられ、翌1981年のお正月には、芸名を改めた「萬屋錦之介」が巌流島以後の武蔵を演じた12時間におよぶ新作ドラマ『それからの武蔵』が製作されました。これが2010年代までテレ東で毎年放送されていた「新春ワイド時代劇」の原点になるもので、錦之助にとっても宮本武蔵が生涯の当たり役と呼べるものになりました。

https://www.youtube.com/watch?v=_WrpBn6vOLk
東映チャンネル

宮本武蔵
9月14日(月)11:00~13:00 [再]=26

宮本武蔵 般若坂の決斗
9月15日(火)11:00~13:00 [再]=26

宮本武蔵 二刀流開眼
9月16日(水)11:00~13:00 [再]=26

宮本武蔵 一乗寺の決斗
9月9日(水)20:00~22:30 [再]=17・21・27

宮本武蔵 巌流島の決斗
9月10日(木)20:00~22:30 [再]=18・22・27

真剣勝負
9月11日(金)20:00~21:30 [再]=18・23・27

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