野球ファン必見!弱小チームがのし上がった奇跡の実話『バンクーバーの朝日』

実社会で巻き起こった差別や排斥を世界に通ずる「ベースボール」というスポーツを通して乗り越えた日本人たちの物語――それが今回紹介する『バンクーバーの朝日』です。日本映画界で最高のスタッフ&キャストが集結して当時の舞台を如実に再現し、感動超大作としてよみがりました。映画好きはもちろん、すべての野球ファンの胸を熱くさせる本作をご紹介します!

『舟を編む』石井裕也×演技派俳優が魅せる人間ドラマ

戦前のカナダ・バンクーバーに実在した日系移民による野球チームの奇跡の実話。日本人なら誰しもが魂を揺さぶられる物語を映画化するにあたり、メガホンをとったのは石井裕也監督。『舟を編む』で第37回日本アカデミー賞最優秀作品賞・最優秀監督賞等を史上最年少で受賞した、いま注目すべき映画監督のひとりです。
演じるのは話題作への出演が続く妻夫木聡をはじめ、自身も野球経験をもつ亀梨和也、プライベートでは同じ草野球チームの仲間である上地雄輔や勝地涼ら、名実ともに日本を代表する豪華キャストがそろいました。

【あらすじ】頭脳野球で最下位からチャンピオンに!

19世紀末から戦前にかけて、多くの貧しい日本人が一獲千金を夢見てアメリカ大陸へと渡った。しかし、与えられる仕事は低賃金かつ過酷な肉体労働ばかり。それに加えて白人による人種差別もあり、日本人は肩身の狭い思いをしながら日本人街で肩を寄せ合うように暮らしていた。そこに生まれた野球チームが「朝日」。
小柄な彼らは大きな白人のパワープレーに歯が立たず、万年リーグ最下位で酷評を浴びる。しかし、偶然ボールがバットに当たって出塁できたことをきっかけに、バントと盗塁を多用する攻撃で点数をもぎ取るように。日本人だからこその戦術で徐々に勝利を重ね、遂にはリーグチャンピオンに!日本人のみならず白人からも支持を集め、のちにバンクーバーの投票で1位になるほどの人気チームになった。

リアルすぎる舞台&演技に胸アツ必至!

本作では舞台となる戦前のバンクーバーを再現するため、栃木県足利市に巨大なオープンセットを建設。両翼75mの野球場をはじめ日系移民が住んでいた日本人街、その隣にある白人街など50棟ものビルや家屋も造られるなど、丁寧かつ真摯な描写でしっかりと作品を見せる石井監督の手腕が光ります。
キャストにおいては撮影前に合宿を行い、野球未経験の妻夫木聡は人一倍トレーニングに打ち込んだそう。撮影中も全員でランニング、ストレッチ、キャッチボール…と本当のチームのように練習を行ったため、試合のシーンは見ごたえ充分!グラブさばきや走塁も様になっていて、野球ファンも思わずうなってしまうこと間違いなしです。

明日も見えない時代にさしこんだ希望の光がここにある

1941年の真珠湾攻撃によりすべての日系移民は強制収容所へ、日本人街の記録とともに朝日も歴史の闇に葬り去られて早70年以上…。作品中で描かれているように当時の日本人に対する差別はひどいもので、思わず目を背けたくなるような歴史がそこにはあります。にもかかわらず、勝負には真っ向にひたむきに挑んだ彼らの姿には日本人の精神が感じられるのではないでしょうか。実話だからこそ胸に迫る重みと感動を今こそ味わってみてください!

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