ささやかで愛おしい、確かな絆の物語『夜明けのすべて』で上白石萌音がPMSの症状に悩む女性を好演!

『そして、バトンは渡された』の瀬尾まいこの人気小説を、『ケイコ 目を澄ませて』の三宅唱監督が映画化した『夜明けのすべて』。PMS(月経前症候群)で月に一度、イライラが抑えられなくなる藤沢さんとパニック障害を抱える同僚の山添くんが、性別を超えた絆を紡ぐ珠玉の人間ドラマだ。NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で夫婦役を演じた上白石萌音と松村北斗がW主演で主人公の2人を体現。そこで上白石に作品への想いや松村との共演について語ってもらった。

原作本についての想いと“藤沢さん”を演じるにあたって

16f1f5f6a26dda37948e63c947a0a613 - ささやかで愛おしい、確かな絆の物語『夜明けのすべて』で上白石萌音がPMSの症状に悩む女性を好演!

「“藤沢さん”は、『その気持ち、わかる、わかる』って肩を組みたくなる人」

もともと原作本の大ファンです。山添くんと藤沢さんの会話が心地よくて、読み終わった後も2人のことがずっと気になるような余韻が続きます。だから出演が決まった時は嬉しかったですし、これは責任重大だなと思いました。

藤沢さんは周囲の人にどう思われるかとても気にしますが、そこはすごく共感できます。やっぱり私も人には良く思われたいし、嫌な気持ちにはさせたくないし、人に何かしてあげたいというおせっかい精神も一緒だなと(笑)。だから藤沢さんは私にとって遠い人じゃなくて、「その気持ち、わかる、わかる」って肩を組みたくなる人なんです。

物語の前半にはすごく繊細な表現がたくさん出てきます。微妙なニュアンスでシーンの意味が大きく変わってしまうので、松村さんと一緒になって三宅監督に相談しながら細かいところを丁寧に一つずつ積み上げていきました。

印象に残っている撮影シーンについて

080f2d27cf61158fefc16be4315fbd3b - ささやかで愛おしい、確かな絆の物語『夜明けのすべて』で上白石萌音がPMSの症状に悩む女性を好演!

「星空というすごく素敵なモチーフとこの作品が出会うことができた」

一番印象に残っている撮影は、映画ならではのエピソードであるプラネタリウムのシーンですね。あの星空があって、藤沢さんが星について語ることで、『夜明けのすべて』というタイトルがより近い存在として胸に迫ってきます。

藤沢さんが読む「夜についてのメモ」には三宅監督からのメッセージが詰まっていますし、それぞれのシーンでお世話になった人たちが集結するというクライマックスでもあるので、星空というすごく素敵なモチーフとこの作品が出会うことができたんだなと実感しました。

世間ではすぐ男女を恋愛に結びつけようとしますが、当人同士はそうじゃないことってよくあると思います。周囲がはやし立てるから意識しちゃうわけで、藤沢さんと山添くんの周りにはそういう人がいなかった。だから2人がありのままでいられる空気が保たれたんだと思うんです。恋人でも仲間でもないけど、一緒にいるとなんとなく心地いい。そういう関係性ってあることですし、特別な話ではない気がします。

共演した松村北斗と映画の見どころについて

03e1ab90319fe1a61260d395f188d3db 1 - ささやかで愛おしい、確かな絆の物語『夜明けのすべて』で上白石萌音がPMSの症状に悩む女性を好演!

「“いい人”じゃなくて、“いい人でありたい”と思っている人たちの物語」

この作品は会話がとても素敵なんですが、同じように現場でも有意義で愛おしい会話がたくさんありました。松村さんとは他愛もない話から俳優という人前に立つ仕事に対する姿勢までいろいろと話をさせていただきました。結構踏み込んだ話までしたんですけど、でもいまだに名字に“さん”付けで呼んでるし、お互い敬語なんです(笑)。いっぱい話をして分かりあえたけど、友達じゃないという不思議な関係。その点では藤沢さんと山添くんの関係にとても近いですね。

松村さんはとってもクレバーで感覚が鋭いし、お仕事に対してもとことん誠実で真面目でもあって、そういうところを心から尊敬しています。でも敬語と名字は一生貫こうと思っています(笑)。

この映画で描くのは“いい人”じゃなくて、“いい人でありたい”と思っている人たちの物語です。生きているとしんどいことも嬉しいこともあって、でもそれも全部人生なんだと思えます。

劇中、藤沢さんと山添くんが2人で横に並んで歩くシーンがたくさん登場します。三宅監督とも「向かい合っているよりも前を向きながらの方が言えることってあるよね」とお話ししたのですが、横並びって特に寄り添うわけじゃないけど、ゆるやかに繋がっている安心感のような温かみがあるんです。そのぬくもりがスクリーンを通して伝わるといいなと思います。

MONE KAMISHIRAISHI
1998年1月27日生まれ。
2011年「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞し、芸能界入り。初主演映画『舞妓はレディ』(’14)で第38回日本アカデミー賞新人俳優賞に輝く。劇場アニメ『君の名は。』(’16)、ドラマ「恋はつづくよどこまでも」(’20)ほか多数の作品に出演するかたわら、歌手やバラエティにとマルチに活躍中。

Photo:平野司 Text:足立美由紀 Styling:嶋岡隆 北村梓(Office Shimarl) Hair&Make:冨永朋子(アルール)

月に一度、PMS(月経前症候群)でイライラが抑えられなくなる藤沢さん(上白石萌音)はある日、同僚・山添くん(松村北斗)のとある小さな行動がきっかけで怒りを爆発させてしまう。やる気が無さそうに見えていた彼もまた、パニック障害を抱えていた。友達でも恋人でもないけれど、2人の間にどこか同志のような特別な絆が芽生えていく。
監督:三宅唱
出演:松村北斗、上白石萌音ほか
●2024年2月9日(金)全国ロードショー

©瀬尾まいこ/2024「 夜明けのすべて」製作委員会

(情報は公開時点のものです)

あなたにオススメ