埼玉への徹底的なディスりが強烈なインパクトを放つ、衝撃的なマンガを完全実写化した『翔んで埼玉』。「テルマエ・ロマエ」シリーズや「のだめカンタービレ」シリーズで人気を博す、“笑いと感動の名手”武内英樹監督が贈る、超大作エンターテインメント映画が2019年に公開されてから早3年・・・。なぜ、こんなにも衝撃的な映画が生まれてしまったのか? なぜ、こんなにド直球に埼玉県民をディスっているのに、受け入れられているのか?
原作のことから、映画の魅力まで、凝縮して紹介する。
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『翔んで埼玉』とは?
『翔んで埼玉』という映画、唐突に出てきたように思えるが、原作は魔夜峰央(まや みねお)によるマンガである。
魔夜峰央の作品では、ギャグ少女漫画『パタリロ!』が代表作と言えるが、『翔んで埼玉』は1986年に出版され、それが2015年にネットで話題となり、約30年ぶりに宝島社から復刊。2019年に実写映画化という流れである。
作者もまさか33年の時を経て、映画化されるとは思いもしなかったであろうが、日本人、特に関東在住の方にとっては、今この作品に触れても十分に楽しめるということなのだろう。
というわけで、まずはこの映画のあらすじをご紹介。
【あらすじ】
その昔、埼玉県民は東京都民からそれはそれはひどい迫害を受けていた。
通行手形がないと東京に出入りすらできず、手形を持っていない者は見つかると強制送還されるため、埼玉県民は自分たちを解放してくれる救世主の出現を切に願っていた。
東京にある、超名門校・白鵬堂学院では、都知事の息子の壇ノ浦百美(二階堂ふみ)が、埼玉県人を底辺とするヒエラルキーの頂点に、生徒会長として君臨していた。
しかし、アメリカ帰りの転校生・麻実麗(GACKT)の出現により、百美の運命は大きく狂い始める。
麗は実は隠れ埼玉県人で、手形制度撤廃を目指して活動する埼玉解放戦線の主要メンバーだったのだ。
その正体がばれて追われる身となった麗に、百美は地位も未来も投げ捨ててついていく。
2人の逃避行に立ちはだかるのは、埼玉の永遠のライバル・千葉解放戦線の一員であり、壇ノ浦家に使える執事の阿久津翔(伊勢谷友介)だった。
東京を巡る埼玉vs千葉の大抗争が群馬や神奈川、栃木、茨城も巻き込んでいくなか、伝説の埼玉県人・埼玉デューク(京本政樹)に助けられながら、百美と麗は東京に立ち向かう。果たして埼玉の、さらには関東の、いや日本の未来はどうなるのか――!?
(オフィシャルサイトより)
『翔んで埼玉』の映画化は危険な遊び・・・!?
あらすじ読んだだけでも、ちょっと気になりません?
では、実際に映画化されるとなって、作者はどんな思いなのか・・・。
魔夜峰央の本映画に対するコメントは以下の通り。
【魔夜峰央コメント】
最初に映画の話を聞いた時はありがたいやら恐ろしいやら「本気ですか?」と思いました。よく危険な遊びに手を出すなと。映画化にあたって、監督には「自由にやってください」とお伝えしました。
台本を読ませていただいた時は、たったあれだけの原作をよくここまで広げられるなと大変驚きましたし、みなさんの熱意を感じられました。二階堂さんの百美の姿は、ここまで寄せる必要があるのかってくらい似ていて、原作へのリスペクトを感じましたし、GACKTさんについては、最初にお名前を聞いた時はみんなのけぞっていましたが、彼がやってくれればこの映画は成功すると直感しました。その他のキャラクターも衣裳の柘植さんが私の世界観を完璧に表現してくれて、埼玉デュークなんて原作にはほとんど出てきませんが、もはや京本さんが演じた姿しか出て来なくなりましたね。
完成した映画を観て、本当に面白かったです。ところどころ、もし自分が映画を撮るとしても「こうするかもしれないな」と納得できる部分があったので、もしかしたら武内監督と私の感性が似ているのかなと思いました。だから私の原作を選んでくれたのかもしれないですね。一番面白かったのは、群馬県に恐竜が飛んでいるところです。
私自身、郷土愛は両親の実家である新潟にありますし、所沢に住んでいた時から埼玉への愛とかは特にありませんでしたので、お客さんには是非、自分の出身地を忘れて見ていただきたいと思います。色々言いたいことはあるでしょうけど、あくまでもフィクションですし、むしろSFと言ってもいいような気もします。単純に娯楽作品として観ていただけたら嬉しいです。
(オフィシャルサイトより)
このコメントからしても、関わっているスタッフの方々が本当に楽しみながら作ったんだろうなということが分かって面白い。
「テルマエ・ロマエ」シリーズの武内英樹監督が撮っているのだから、まず間違いないでしょ、これは。
全関東圏在住&出身者必見の魅力が満載!
上記のあらすじと原作者のコメントからでも面白さは十分に伝わってくるかと思うが、筆者視点での魅力もお伝えしたい。
魅力① 郷土愛がすごい
本作、あたかも埼玉県へのディスり(否定、侮辱の意)のように思われてしまうが、いやいやそんなことはない。究極の埼玉愛というか、郷土愛が詰まった作品なのだ。
たしかに実際、埼玉県民を揶揄するような表現は、東京都を中心に広く知られている。とはいえ、それも原作が発刊された1980年代に特にその傾向が強かったというだけで、インターネットやSNSが発展した現在では、特にそういった傾向は少なくなっているかと思う。
つまり、2019年の時点では、そういった昔からある地域ヒエラルキー自体もエンタメに昇華できたし、むしろ、そういったことも含めて郷土愛を強く持てるのかなと。
埼玉が大好きだからこそ、あえてディスる。そこに愛すべきポイントがある。
なんか笑っちゃうけど、深いなあという感覚。
魅力② 出演者が豪華
もうこれは言わずもがな、出演者が本当に豪華。
主演の二階堂ふみ、GACKTは役に完全にハマっているし、二階堂ふみは男性役ってことだけど、とにかく可愛い。
ただ、2人は沖縄県出身という・・・それはそれであり?
他にも、伊勢谷友介(東京都出身)、京本政樹(大阪府出身)、間宮祥太朗(神奈川県出身)、加藤諒(静岡県出身)、益若つばさ(埼玉県出身)、武田久美子(東京都出身)、麿赤兒(奈良県出身)、中尾彬(千葉県出身)、ブラザートム(ハワイ州出生・埼玉県育ち)、麻生久美子(千葉県出身)、島崎遥香(埼玉県出身)、成田凌(埼玉県出身)という豪華顔ぶれ。
個人的には、神奈川県知事役で竹中直人(神奈川県出身)が出てきたのがツボ。
いや、この人出すのは反則でしょう。面白すぎ。
魅力③ エンタメ性に溢れている
言うまでもなく、完全なる娯楽作品であるため、エンタメ性は抜群にある。
例えば、埼玉解放戦線と千葉解放戦線が江戸川を挟んで対峙する場面。X JAPANのYOSHIKI(千葉県館山市出身)、THE ALFEEの高見沢俊彦(埼玉県蕨市出身)などが、出身著名人マウントに使われている。
あ、この人はここの出身なんだ?なんて思いながら観るのも面白いかも!?
また、本作の主題歌「埼玉県のうた」を歌うのは、佐賀県出身の芸人としてデビューし、「佐賀県」がブレイクした、はなわ(埼玉県出生・佐賀県育ち)。
ご当地ソングと言えば的な・・・?
オフィシャルサイトでは、本作で登場するキーワードの解説までご丁寧に掲載されているので、気になる方は要チェックだ!!
https://www.tondesaitama.com/one/
というわけで、全関東圏在住&出身者は必見!
日本人だからこそ楽しめて、クスリと笑えて、なんなら感動もできちゃう超エンターテインメント作品なので、難しいことは何も考えず観ることをおすすめする。
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