青春ドラマの金字塔!三島由紀夫原作『潮騒』はアイドルの登竜門⁉
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日本が世界に誇る作家・劇作家の三島由紀夫が、1954年に書き下ろした青春恋愛小説「潮騒」。
これまで異例とも言える5度に渡り映画化されたこの純愛ストーリーでは、離島で暮らす純朴な若き恋人たちが困難を乗り越え愛を育む姿が描かれる。
再三の映画化にあたっては清純派女優やアイドルがキャスティングされ、純真さと大胆さを併せ持つヒロインを熱演してきたことから、アイドルの登竜門と言われたことも。
嵐の夜に山小屋で裸のヒロインが叫ぶ「その火を飛び越えてこい!」というあまりに有名なセリフと、彼らの初々しい演技をお楽しみください。

小説の基となったのは古代ギリシャの物語

1950年代初期に世界旅行をした三島由紀夫がギリシャで感銘を受け、古代ギリシャ文学『ダフニスとクロエ』を下敷きにしたためたという小説「潮騒」。
エーゲ海に浮かぶ島を舞台に山羊飼いの少年・ダフニスと羊飼いの少女・クロエとの出会いと初恋の成就を描く『ダフニスとクロエ』との設定における共通項は多い。
また、執筆にあたりギリシャの神々のイメージを求めた三島は、神が支配する島として信じられてきた三重県鳥羽の歌島(現在名:神島)を舞台としている。

裕福な家を継がねばならない初江と、貧しい青年・新治は惹かれ合い…

伊勢湾に浮かぶ離島で漁師として働く新治(三浦友和)は、浜で出会った見知らぬ少女が島の有力者の宮田照吉(中村竹弥)の娘・初江(山口百恵)であり、亡くなった一人息子の代わりに宮田家を継ぐため呼び戻されたことを知る。
妙に心惹かれた新治は山中に捨て置かれた観的哨跡で偶然、道に迷った初江と再会。
その後も何度か顔を合わせた2人はお互いを想い合う気持ちに気づき、ついに雨がひどく降る夜に…。
その一方、新治に想い寄せる千代子(中川三穂子)が島へと帰省。
寄り添いながら歩く新治と初江を見かけた千代子は、宮田家の入り婿に入る心づもりをしていた安夫(中島久之)に告げ口してしまう。

三浦友和、山口百恵が純愛カップルを熱演!

西川克己監督による本作は、小説の映画化としては4度目の作品にあたる。
当時絶大なる人気を獲得していたアイドル・山口百恵の文芸作品第二弾で、三浦友和とは『伊豆の踊子』に続き二度目の共演。
この作品の五年後に2人は結婚し、山口百恵は芸能界を劇的引退している。
ちなみに映画化第一作目(1954年)では青山京子と久保明、第二作目(1964年)では吉永小百合と浜田光夫、第三作目(1971年)では小野里みどりと朝比奈逸人、第五作目(1985年)では堀ちえみと鶴見慎吾が主人公の2人を演じた。

衛星劇場

2020年11月14日(土)19:15~21:00

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