2020年5月31日に90歳を迎えるクリント・イーストウッド。ダーティ・ハリーで知られる名優にして、アカデミー賞作品を量産する名監督でもある。今回はストーカーの恐怖を描いた71年の初監督作品『恐怖のメロディ』、上質なエンタメ作品となった75年公開の『アイガー・サンクション』を見ていく。
ヒッチコックタッチの第一級サスペンス『恐怖のメロディ』
今やアカデミー賞常連のクリント・イーストウッドの初監督作。ストーカー女に付きまとわれる恐怖をヒッチコック・タッチで描いた一級サスペンス。イーストウッドの師である映画監督ドン・シーゲルが、バーテン役でカメオ出演している。出演はクリント・イーストウッド、ジェシカ・ウォルター、ドナ・ミルズ、ジョン・ラーチほか。
イーストウッドの時代感覚に脱帽
カリフォルニア、モントレーのラジオ局のDJデイブ(クリント・イーストウッド)は、行きつけのバーで知り合った女、イブリン(ジェシカ・ウォルター)が、E・ガーナーの名曲「ミスティ」を毎回番組にリクエストしてくるファンであることを知る。その後、ふたりは一夜限りの関係を持ってしまうが、このことでイブリンの行動はさらにエスカレート。突然デイブの家を訪ねてきては料理を作りだしたり、一方的にデートの予定を入れたり。デイブは何とか関係を断とうとするのだが——。
ストーカー規制法が日本に制定されたのが2000年。そこから約30年前に、このテーマを映像化したイーストウッドの時代感覚に脱帽。イブリン役のジェシカ・ウォルターの迫力も見逃せない。
恐怖のメロディ
[字]2020年6月8日 17:15~19:15
[字]2020年6月14日 8:00~10:00
[字]2020年6月17日 19:00~21:00
イーストウッドがスタントなしで魔の山へ——。『アイガー・サンクション』
クリント・イーストウッドがスタントマンに頼らず、危険な山岳アクションに自ら挑戦した75年公開のスパイ・アクション。物語の舞台となるモニュメントバレーやアイガー北壁でロケ撮影を敢行し、本物ならではの迫力とリアリティを醸し出している。出演はクリント・イーストウッド、ジョージ・ケネディ、ヴォネッタ・マギー、ジャック・キャシディほか。
CGなし、スタントなしの山岳シーンに息を飲む
殺し屋で登山家でもあるヘムロック(クリント・イーストウッド)は、標高3975mのアイガーの岩壁に2度挑戦していずれも失敗。今では登山も殺し屋稼業も現役を退き、絵の教師をしていた。そんなある日、CIAの元上司ドラゴンから暗殺を依頼され、ヘムロックは一度限りの約束で応える。するとドラゴンは好条件を提示してさらなる暗殺を要請。その標的は、アイガー北壁の国際登山隊の中にいる正体不明の男だった——。
山岳系アクションは多々あれど、75年という時代背景に驚かされる。イーストウッドの前にイーストウッドなし。完全なるオリジネーター、イーストウッドの魅力に今こそ触れてほしい。
アイガー・サンクション
[字]2020年6月2日 16:45~19:00
[字]2020年6月17日 23:30~25:45
[字]2020年6月28日 7:45~10:00