10月8日(金)から3週間限定で上映される『人と仕事』。2020年に制作予定だった劇映画『保育士T』の新型コロナウイルス感染拡大による制作中止から一転して始動したドキュメンタリー映画だ。有村架純と志尊淳がコロナ禍で働くエッセンシャルワーカーや市井の人々への取材を通して、人とは、仕事とは何かを考える。
有村架純:取材のためじゃなくて単純に話してみたかった
繊細に言葉を選んだインタビュー
児童相談所を訪れた有村は、コロナ禍で急増したという虐待相談を受ける職員の話を聞いた。「人の人生に自分が踏み込んで、選択をすることの労力は計り知れない」と相手の立場を慮る有村の言葉をうけて、「面接の中で怒りや悲しみの感情を受けることで、気持ちがいっぱいになってしまう場面が何度も襲い掛かってくる」と職員が本音をこぼす場面も。
他にも野菜生産農家やシングルマザー、バスケットボール選手などさまざまな人にインタビューを行うなかで、常に相手の話に深く耳を傾ける有村の姿が印象的だった。何を聞けばいいか、どう相手の気持ちを引き出せばいいかという迷いを持ちつつも、「単純に話してみたいという思いがあった」という有村。相手を思う話し方や言葉選びからは、彼女の賢さと豊かな想像力が感じられた。また、周りの空気を読んでしまい、息苦しさを感じることがあると内心を吐露する場面もあるが、コロナ禍であってもそうでなくても、純粋に演技を続けたいとまっすぐな眼差しで語る姿には、彼女の芯の強さが表れている。
志尊淳:100%理解できなくても99.9%寄り添うことはできる
看護学生、保育士、農家、ホストクラブ経営者…取材を通して気づくこと
志尊淳は保育の現場が置かれている現状を知るために、保育に関わるエッセンシャルワーカーたちに取材を行った。人間関係を構築していくべき大切な時期に人と距離をとらなければいけないことの弊害、マスクをしているため口元が見えず、言語の習得が遅くなるのではないかという懸念、そして愛着を求める子供たちのために、密にならざるを得ないのが育児であるということ。
親身になって人の話を聞く志尊は、実に素直である。自粛期間中はこの状況がいつまで続くのか怖かったと振り返り、役者としての苦悩など、心境を飾らずに話す場面も多い。今回、エッセンシャルワーカーやさまざまな職業の人たちへの取材を通して、いろいろな人と関わって、いろいろなことを知る必要があると感じたそうだ。そして、100%の理解を誰に対してもできる自信はないが、99.9%わかろうと寄り添うことはできるのではないかとも語り、志尊の人としての純粋さや素直さが感じられた。
ドキュメンタリー映画『人と仕事』
有村架純×志尊淳 コロナ禍の現代社会と向き合う!
話題作を世に送り出しているスターサンズ・河村光庸エグゼクティブプロデューサー企画のもと、有村架純と志尊淳という、名実ともに今最旬の2人が、コロナに打ちひしがれた日本の職場で働く、「エッセンシャルワーカー」と呼ばれる保育士、農家などの人々、その他、声なき仕事人達の現状をレポートする。監督は、『おじいちゃん、死んじゃったって。』(17)、『さんかく窓の外側は夜』(21)など劇映画をはじめ、CM・MVを幅広く手がける森ガキ侑大。自身としては学生時代以来のドキュメンタリー作品となる。2人の俳優がそのままの“自分”としてスクリーンに登場し、体験し、演技ではない、ありのままの言葉や表情で、現代社会の陰影を浮彫りにする。そして仕事の意味を再発見し、私たちが生きて行く上で切っても切り離せない仕事というものの価値を、改めて見出す。それは次第に、自分自身の仕事を改めて見つめるきっかけとなっていく―。決して役ではなく、一仕事人として、現代社会と向き合う2人の姿に共感し、リアルな感動が巻き起こる、全く新しいドキュメンタリーがここに誕生した。
公開日:10月8日(金)より全国3週間限定劇場上映
監督:森ガキ侑大(『おじいちゃん、死んじゃったって。』『さんかく窓の外側は夜』)
企画・製作・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸
出演:有村架純/志尊淳
配給:スターサンズ/KADOKAWA