小栗旬と星野源が映画初共演でW主演!実際の事件をモチーフにした『罪の声』

日本を代表する俳優の一人である小栗旬と、日本を代表するアーティスである星野源が映画初共演を果たし、W主演を務めた話題作『罪の声』。
実際に起きた未解決事件をモチーフに執筆された塩田武士の同名小説を原作とする本作は、単なるエンターテインメント映画とは一線を画すヒューマンミステリーとなっています。
今回は、そんな『罪の声』の見どころや作品としての魅力を紹介していきます。

あらすじ

35年前、日本中を巻き込み震撼させた驚愕の大事件「ギン萬事件」。
食品会社を標的とした一連の企業脅迫事件は、誘拐や身代金要求、毒物混入など、数々の犯罪を繰り返す凶悪さと同時に警察やマスコミまでも挑発し、世間の関心を引き続けた。
挙句に謎の犯人グループは忽然と姿を消してしまい、日本の犯罪史上類を見ない劇場型犯罪として語り継がれることに。

大日新聞記者の阿久津英士(小栗旬)は、既に時効となっているこの未解決事件を追う特別企画班に選ばれ、取材を重ねる毎日を過ごしていた。
一方、京都でテーラーを営む曽根俊也(星野源)は、家族3人で幸せに暮らしていたが、ある日、父の遺品の中に古いカセットテープを見つける。
そのカセットテープに録音されていたのは、あの日本中を震撼させた未解決事件で犯人グループが身代金の受け渡しに使用した脅迫テープと全く同じ声だった!
しかも、その声の主は幼い頃の自分で…。
やがて運命に導かれるように2人は出会い、ある大きな決断へと向かっていく。

原作は塩田武士の同名小説

映画『罪の声』の原作は、『騙し絵の牙』などの塩田武士による同名小説。
1984~1985年にかけて実際に日本で起きた劇場型犯罪(※)「グリコ・森永事件」をモチーフにしており、2016年の週刊文春ミステリーベスト10で第1位を獲得するなど高く評価されています。
モチーフとなった実話は時効を迎えた未解決事件のため、あくまで作中の登場人物はフィクションですが、各事件の発生日時、脅迫状・挑戦状、事件報道などは極力忠実に再現するよう徹底したリサーチを行っており、事件の真相と犯人に迫るストーリーは「実際にそうだったのではないか」と思わせるようなリアリティをもっています。

※ 劇場型犯罪とは
犯人がテレビや新聞などのマスメディアを利用し、その視聴者を観客として、あたかも演劇や映画の一部であるような犯罪のこと。
実行犯=主役、警察=脇役とした構造のものが多く、犯罪が行われているにもかかわらず、 人々がそれを見世物として捉えてしまうのが特徴です。

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罪の声 (講談社文庫) [ 塩田 武士 ]
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小栗旬が泥臭くも人間味のある新聞記者を熱演

小栗旬が演じるのは、大阪にある大日新聞の新聞記者である阿久津英士。
元は芸能などを扱う部署にいたものの、社会部に巻き込まれて35年前に起きた「ギン萬事件」の企画記事に参加することに。
はじめは興味がないような素振りを見せていたものの、事件を追ううちに真相解明にのめりこんでいきます。
小栗旬といえば、かつてはかっこいい男やイケメンを演じるイメージでしたが、近年は硬派な役やコメディに出演することも増え、着々と実力を磨いてきた俳優の一人。
『罪の声』では泥臭くも人間味のある新聞記者を、確かな実力で熱演しています。
また、阿久津が海外に向かうシーンで披露する、ハリウッド映画出演も控えた小栗旬の英語セリフにも注目です。

誠実さがにじみ出る星野源の演技は流石の一言

星野源演じる曽根俊也は、父の後を継いで京都でテーラーを営むもう一人の主人公。
妻と娘と幸せに暮らす毎日を送っていましたが、ある日、父の遺品の中から見覚えのないカセットテープとノートを発見したことで、35年前に起きた「ギン萬事件」を独自に調べ始めます。
知らぬ間に自分の声が事件にかかわっていたことでショックを受けたり、「自分の親族が事件にかかわっていたのではないか?」という疑惑から、次第に罪の意識に苛まれていく曽根。
自分が直接犯した罪ではないのに心が揺れ動いたり、同じく声が使われた子どもたちの現在を案じる姿は、曽根俊也の人物像が如実に表れていると言えるでしょう。
そんな曽根の誠実さがにじみ出る星野源の演技は、流石の一言でした。

事件を追う過程に思わずのめりこむこと間違いなし

『罪の声』の魅力はもちろんキャストだけではありません。
監督を務めるのは『麒麟の翼』『ビリギャル』などの土井裕泰、脚本を『アンナチュラル』『MIU404』の野木亜紀子が担当。
日本中にブームを巻き起こした『逃げるは恥だが役に立つ』でタッグを組んでいた二人が、『罪の声』でも質の高いヒューマンドラマを構築しています。
また、ミステリーの醍醐味である事件の全貌が明らかになっていく快感ももちろん備えており、阿久津と曽根がそれぞれ事件を追っている序盤から、二人が出会ったことで物語が一気に加速していく展開は思わずのめりこむ面白さ。
作品全体を通しても、原作がもつストーリーの良さを殺さず、映像化したことでリアリティがより説得力を増した仕上がりとなっており、単なるエンターテインメント映画とは一線を画しています。

おわりに

事件に巻き込まれてしまった子どもたちの人生、犯人が罪を犯した理由、それに対する主人公二人の答え…。
映画『罪の声』は、観る人の心に必ず何かを残してくれるような、ヒューマンドラマとしてもミステリーとしてもクオリティの高い作品でした。
小栗旬、星野源ファンはもちろん、この手の作品が好きな方であれば、ぜひ劇場に足を運んでみることをお勧めします。

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