大切な人の死の意味を知る“立ち直り” の物語『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』
©宮川サトシ/新潮社 ©2019「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会

■“話題の一冊”では、小説やコミックを映像化した作品の放送情報を紹介。ドラマや映画を見てから原作を読んで、より詳細な心理描写や物語の背景を楽しんでもよし、先に原作を読んで、思い描いた世界が目の前に広がるのを楽しんでもよし。自分好みに物語を2度味わえる作品たちはこちら!■

宮川サトシの自伝エッセイ漫画を、『さよなら渓谷』『日日是好日』の大森立嗣が監督を務めて実写映画化した『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』をご紹介。最愛の母の死に抗い、打ちひしがれ、その意味を見つけていく主人公・サトシをユーモアを交えながら演じたのは安田顕。力強く温かい母親役に倍賞美津子。家族の死からの“立ち直り”の物語だ。この映画が2月16日に映画・チャンネルNECOで放送される。20日放送の映画『梅切らぬバカ』で、自閉症の息子と母という、もうひとつの母子の物語を併せて見るのもおすすめ。

原作は作者自身の体験を綴ったコミック

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~原作紹介~
■母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。=書名
■宮川サトシ=著者 ■新潮社=刊 ■定価1,100円

アニメや2.5次元舞台でも人気のコミック『宇宙戦艦ティラミス』の原作者としても知られる、宮川サトシの自伝的エッセイ漫画。多くの人が体験する“親の死”。自分を無条件に全力で愛してくれた存在が消えたとき、人はどのような状態になるのか、どのように立ち直っていくのか。葬儀では妙に淡々と遺影持ち役に喜びを感じたかと思うと、日常の中に地雷のように潜む母の思い出に涙する。そんな日々の心情を、作者らしいユーモアを交えながら、素朴に、温かく描いた体験談だ。“その日”のためにケーススタディとして読んでおけば、立ち直りへ導いてくれるかもしれない。

の死に抗う息子と準備する母…それぞれの想い

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©宮川サトシ/新潮社 ©2019「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会
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©宮川サトシ/新潮社 ©2019「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会

映画はサトシが幼い頃からの力強い母の姿で始まる。そんな母・明子ががんの告知を受け、闘病生活を送ることになると、サトシはできるだけのことをしようと奮闘。しかし、日常は変化し症状は進行していく。少しでも長生きして欲しいと願うサトシと、自分の死後のサトシの幸せを考える母のすれ違いが、哀しくも温かい。

母・明子

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©宮川サトシ/新潮社 ©2019「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会

サトシの視点で展開するため、いきなり突き付けられた死によって不安や悲しみ、悔しさに苛まれたであろう母・明子の心情は、明確には語られない。だが、自らの死と向き合い受け入れるようになると、病で小さくなったように見えた明子に、本来の力強さが戻ってくる。

恋人・真里

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©宮川サトシ/新潮社 ©2019「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会

母の病に動揺するサトシに寄り添い、明子から信頼されサトシのことを託される、サトシの恋人・真理。死を受け入れ始める母に怒り、母を激励するサトシへ、別の視点を示すシーンが印象的だ。あのやりとりを明子が見れば、サトシの将来について一層安心したに違いない。

父・利明と兄・祐一

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©宮川サトシ/新潮社 ©2019「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会
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©宮川サトシ/新潮社 ©2019「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会

明子の闘病生活中も葬儀の場でも取り乱す様子を見せなかった、寡黙な父・利明と、兄・祐一。しかし、やはりそれぞれ明子の死に大きなショックを受けていた。感情を素直に表に出さない昭和の男たちが立ち直りへ向かう、少し滑稽にも見える不器用な姿にも、涙を誘われる。

最愛の存在がいない世界とその死の本当の意味とは?

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©宮川サトシ/新潮社 ©2019「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会

幼い頃から泣き虫で甘えん坊だったサトシは、力強く、厳しいが温かい母のもとで育った。中学生で白血病を患った際にも、「兄さんとあんたは私の最高傑作だから絶対に大丈夫!」という、根拠がないのに妙に説得力のある母の言葉に救われ、献身的な看病の甲斐もあり回復したのだ。サトシが30代後半になった頃、そんな母ががんの告知を受けてしまう。今度は自分が母を支えるのだと意気込むサトシは、恋人の真理に支えられながら、お百度参り、滝行、国産野菜のジュース作りなど手を尽くすが、やがて永遠の別れが訪れる。そして1年後、サトシは母の遺した特別なプレゼントを受け取った。

[映]母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。

放送局:映画・チャンネルNECO
放送日:2023年2月16日
放送時間:午後9:25~11:20
制作年/国:2019年/日本
監督:大森立嗣
出演:安田顕、松下奈緒、村上淳、石橋蓮司、倍賞美津子 ほか

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