深田恭子主演によるコメディドラマ『ルパンの娘』の劇場版が公開される。泥棒一家の娘・華と警察一家の息子・和馬が、苦難を経て結ばれたドラマ版のその後を描く。今作は、泥棒一家が狙う異国ディーベンブルク城の王冠と、華も知らない“Lの一族”の秘密を巡り、大冒険を展開。深田に加え、瀬戸康史、橋本環奈、小沢真珠、栗原類、『カメラを止めるな!』でブレイクしたどんぐり(竹原芳子)ら個性派キャストが競演する。そんな中、泥棒一家の家長でいつも優雅な華の父・尊を演じた渡部篤郎が、今作の魅力を語ってくれた。
コメディを演じる時の極意
「たまたま稼業が“泥棒”だったというだけで、尊は意外と純粋な男」
僕の演じた尊は「ドロボーを悪いこと」とは思っていないんじゃないかな(笑)。ただ仕事と家族が大好きな男で、自分では「これが普通の家庭」だと思っているんだよね。たまたま、稼業が“泥棒”だったというだけで、中身は意外と純粋な男だと感じています。
今作はコメディですが、僕は人を笑わせてやろうとか余計なことは一切考えずに演じています。例えば、今回は韓流ドラマ『愛の不時着』のパロディシーンがあったのですが、僕は軍服のコスチュームを着て、とにかく脚本通りに真剣にやりました。その他『鬼滅の刃』風の場面もありましたが、僕は真似しようとかはなくて、ただ登場人物たちがやっている事そのものが笑えるし、監督たちが面白い映像にしてくれているんですよね。
演じる時の心がけ
「書かれていることを正確にこなすようにしています」
原作小説も読ませていただいて、やることは脚本を熟読して、プロデューサーや監督が望んでいることをきちんと遂行するのが僕の仕事です。監督にも「ちゃんとやってくださいね」と言われますし、自分からアプローチをするのではなく、書かれていることを正確にこなすようにしています。
コロナ禍の影響もあり、海外ではなく国内での撮影になってしまいました。楽しみにしてたんですけどね(笑)。でもある意味、そんなところもこの作品っぽいと言いますか。確かに海外全編撮影していれば、それはそれは素晴らしい風景が見れたかもしれませんが、国内での撮影もまた“味”が出て良かったんじゃないかなと思います。
スターばかりな共演者
「劇場版は、全シーンがイベントです」
深田恭子さんの印象を一言でいうと、特別な女優。彼女にしかできないことがあって、いつも感心してしまいます。彼女の響く声も魅力のひとつ。かといって、現場では気負っている様子はなく、“フラット”でいるんですよね。共演シーンでは、僕はいわば一番近くの特等席で彼女の芝居が見られるわけだけど「彼女には勝てないんだな」と思ったほどでした。
劇場版は、全シーンがイベントです。おなじみの「突如始まるミュージカルシーン」はシリーズならではの見どころですね。ミュージカル出身の大貫勇輔さんによる本格的な歌とダンスがとても素敵です。監督は「歌詞をよく聞いてみると大した事いっていない」なんてうそぶいていましたけど(笑)。それから、観月ありささんがシリーズに初出演します。どんな役かまだ秘密ですが、撮影してみて「やっぱり彼女はスターだな」と感じました。映画にスターが出るとそれだけで嬉しいじゃない? 観月さんはまさにそんな存在でした。
家族で楽しめる『ルパンの娘』
「こんな風に子どもたちが楽しんでくれる作品は初めてなんじゃないかな」
実は、僕の家族が『ルパンの娘』の大ファンなんです。家族5人で放映を見ていた時は、一番下の子どもがT Vの前で「がんばれー!」なんて、僕らを応援してくれたり! 子どもたちはドラマを何度も繰り返し見てくれています。しかも、今作の予告編を大画面で見たいと、映画館にまで行ってくれて。これまで大人向けの作品に出させて頂きましたが、こんな風に子どもたちが楽しんでくれる作品は初めてなんじゃないかな。やっぱり、家族が喜んでくれるのは、嬉しいものですね。
ATSURO WATABE
1968年5月5日生まれ。
映画『静かな生活』(95)で日本アカデミー賞優秀主演男優賞、新人俳優賞を見事受賞して以来、数々のドラマ・映画で活躍する。近年の出演作は、主演ドラマ『外事警察』(09)、『S T 警視庁科学特捜班』シリーズ、映画『マスカレード・ホテル』シリーズなど多数。
Photo:塚原孝顕 Text:水越小夜子・エムクラ編集部 Styling:田中トモコ(HIKORA) Hair&Make:神谷菜摘(サーカス バイ ビュートリアム)
泥棒の華(深田恭子)と警察官の和馬(瀬戸康史)は、困難を乗り越えて結婚。幸せな生活を送っていたが、華の父・尊(渡部篤郎)がある出来事を機に「泥棒引退」を宣言。これまで迷惑をかけたと2人に、新婚旅行をプレゼントするが…。
監督:武内英樹
出演:深田恭子、瀬戸康史ほか
●2021年10月15日(金)全国ロードショー
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