知られざる日本の歴史を描く『映画 太陽の子』で人気俳優の柳楽優弥と有村架純が感じた“変わらない気持ち”

太平洋戦争末期に実際に行われていた“日本の原爆開発”を背景に、時代に翻弄されながらも全力で生きる若者たちの青春グラフィティを描いた『映画 太陽の子』。人気俳優の柳楽優弥が、軍の密命を受けて新型爆弾の開発に打ち込む京都帝国大学の科学者・修役で主演を務める。共演は有村架純と三浦春馬。建物疎開で修の家に引っ越してきた幼なじみで、兄弟からほのかな想いを寄せられている世津と、修の弟で戦地から一時帰郷した軍人の裕之を演じている。これまで3度共演し、信頼し合う仲だという柳楽と有村に、今作の撮影秘話を語ってもらった。

お互いの印象

有村「柳楽さんは“柔らかい”印象です」
柳楽「架純ちゃんとの共演は毎回心強い」

有村:柳楽さんは口数は少ないけど、話しかけると真摯に答えてくれる“柔らかい”方。撮影ではいつの間にかスルッと役に入っている印象で、オンとオフがない感じがするんです(笑)。
柳楽:…そうかなぁ(笑)。架純ちゃんとの共演は毎回心強いです。芯の強い性格が、世津と通じるものがありますね。しかも、しっかり者で集中力も凄い。今回も重要なロケ撮影の時、すぐ近くにあった大きな蜂の巣を、誰よりも先に見つけてくれて。気付かなければ本当に危険だったので「架純ちゃん、グッジョブ!」と改めて感心しちゃった。
有村:ふふ、そんなこともありましたね。

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役作りについて

柳楽「あまり変わらず自然と役に入っていけました」

柳楽:役作りとかはあまりなく、架純ちゃんや春馬くんと一緒のシーンは、いま僕たちが過ごしている感情とあまり変わらず自然と役に入っていけました。一方で、例えば研究所での数式を書く練習や「僕たちはいま何をしているのか」を混乱しないように研究員を演じた方々と勉強会など行いました。ただ、脚本を読んだだけではわからない部分があり、作品に参加しながら色んなことに気付かされました。
有村:私は当時を生きた女性や、女性兵士のインタビュー記事を読んで、どんな気持ちだったのかを参考にさせてもらいました。その中で、海外の女性兵士が「どれだけ戦争で爆弾が落ちてきてたくさんの人間が死んでいる中でも、必ず美しい朝を迎える」と語っていて、そういう変わらないものがあるんだと思いました。どれだけ残酷な日々があったとしても、自然の緑やきれいな朝に喜びを感じられる。そこから世津というキャラクターのインスピレーションを受けました。

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修と世津の淡い恋模様

有村 「世津は修を密かに想っていたかも」

有村:2人の共演シーンには、修と世津の淡い恋模様を感じられる場面もありましたが、柳楽さんとはどう演じるか相談する必要はなかったです。お互いに、変に意識することなく“幼なじみ”としていれたというか…。でも、もしかしたら世津は修に対して、密かな想いを抱えていたかもしれませんね。柳楽さんが演じた修は、きっと世津の気持ちに気づいていませんよね?
柳楽:…あぁ、そうかも。全く気付いていないと思う(笑)。修は“実験バカ”と呼ばれるくらい研究に夢中で、恋愛下手な男だからなぁ。
有村:そうそう。でも弟の裕之は、修や世津の気持ちにも気付いていたかもしれない。裕之は、戦場で全力を尽くしていると同時に、戦争に矛盾を感じて葛藤しているキャラクターなんです。その裕之を春馬さんは、あの真っすぐな瞳や姿勢を投影して、力強く演じて下さいました。

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心に残った黒崎監督の言葉

柳楽 「戦時中の“日常”を描いている作品」

柳楽:僕は今作で初めて、日本が新型爆弾を作ろうとしていた事実を知りました。でも、その驚き以上に心に残ったのは、監督の「その研究者にも普通の日常があった。それを丁寧に描きたい」という言葉でした。本作を観れば、当時青春を過ごした3人の感情は「現代に生きる僕らと変わらない」と感じるはずです。

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戦争に翻弄された女性

有村「我慢してきたものが一気に崩れる感覚」

有村:朝の海辺で、世津は修と裕之を抱きしめながら「戦争なんて勝っても負けても、構わん!」と押し殺してきた本音を吐き出します。その場面を演じた時、何ともいえない気持ちになりましたね。我慢してきたものが一気に崩れる感覚というか…。兄弟が研究室や戦場で情熱を燃やす一方で、女性も残酷な日々でもふと感じる喜びや未来への希望を忘れずに、必死に生きている。観る人それぞれの立場から、映画の答えを探してもらえたら良いですね。

YUYA YAGIRA
1990年3月26日生まれ。
2004年、主演に抜擢されたデビュー作『誰も知らない』でカンヌ国際映画祭最優秀男優賞を日本人初史上最年少で受賞。以後、数々の作品に出演する。次回作は、2021年10月放映の主演ドラマ『二月の勝者-絶対合格の教室-』と、ビートたけしに扮する今冬配信のNetflix映画『浅草キッッド』。

KASUMI ARIMURA
2010年より活動開始。2013年のNHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』に出演するや否や、一躍注目を集める。人気C Mの『au三太郎』シリーズや映画『映画 ビリギャル』など、代表作多数。9月公演の舞台『友達』や、WOWOWにて2021年秋放送の主演ドラマ『前科者-新米記者・阿川佳代-』が控える。

Photo:塚原孝顕 Text:水越小夜子・エムクラ編集部 【柳楽優弥】Styling:長瀬哲朗(UM) Hair&Make:佐鳥麻子 【有村架純】Styling:瀬川結美子 Hair&Make:尾曲いずみ(STORM)

1945年の夏。軍の密命を受けた若き科学者・石村修(柳楽優弥)は、原子核爆弾の研究開発を進めていた。戦地から一時帰還した修の弟・裕之(三浦春馬)と家を失った幼馴染の世津(有村架純)と再会し、束の間幸せな時間を過ごしていたが…。
監督:黒崎博
出演:柳楽優弥、有村架純、三浦春馬ほか
●2021年8月6日(金)全国ロードショー

©2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ

(情報は記事公開時点の内容です)

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