“映画の街ニャリウッド”を舞台に、敏腕プロデューサーに見出された新人監督が映画作りに
まい進し、成長していく姿を描いた『映画大好きポンポさん』。「このマンガがすごい!」などに入賞した、杉谷庄吾【人間プラモ】のWEB漫画を長編アニメ化した。主人公役には映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』、ドラマ「アノニマス ~警視庁“指殺人”対策室~」など話題作に出演する若手俳優の清水尋也。声優デビューを果たした彼に今作のアフレコ秘話を語ってもらった。
声優初挑戦の苦労
「まさかの展開に、過去の自分に感謝ですね(笑)」
もともとアニメが大好きで、以前からいくつも声の仕事のオーディションを受けていました。ただ、これまでなかなか良い結果がでず、今回も平尾隆之監督から「変な訛りがあるね」と指摘されてしまったんです。僕は「またダメかな…」と思い、そのアドバイスを今後の糧にしようと「次までに直してきます!」とその場で答えたんです。そうしたら、その返事を聞いた監督は「『次までに』なんて、もう受かったつもりでいる。前向きで面白いヤツ!」と受け取ったそうです。まさかの展開に、過去の自分に感謝ですね(笑)。
初めてのアフレコは、難しいことばかりでした。マイクを意識し過ぎたり、平坦な演技になってしまったり。普段のお芝居なら、相手との距離によって声の出し方は自然と変わりますが、アニメの画面だとその感覚がうまくつかめなかったんです。だから現場で一から丁寧に指導して頂き、僕もくらいついていって、どうにか形になりました。
演じた役・ジーンについて
「ジーンの『何かを捨てて何かを選ぶ生き方』にとても共感できます」
今作ならではの、僕なりに考えたポイントは、映画作りの核となるプロデューサーが、少女のように可愛らしいポンポさんであることです。それによって、あまり知られていない映画作りの実情が、誰にでも伝わりやすくなっていると思います。でもポップな彼女が、容赦ないことも言うので、そのギャップが魅力です。
僕の演じたジーンは、自分に自信が持てない性格だけど、観た映画をすべて記憶している映画通。孤独な学生時代を過ごした経験から「自分には映画作りしかない」と考えています。僕は「自分で選択することの意義」をずっと意識してきました。高校生の時、どうしても出演したい作品があったのですが、通っていた高校は出席日数に厳しかったため、親に土下座をして中退したんです。その時、親に「自分の好きに生きなさい。その代わり、絶対人のせいにせず、後悔するなら自分で選んでしなさい」と言われました。その言葉で強く自覚が芽生えたんです。だから、ジーンの何かを捨てて何かを選ぶ生き方にとても共感できました。
プライベートの過ごし方と挑戦してみたいこと
「オフの時間は、役作りとかは1ミリも考えないです(笑)」
ポンポさんはジーンのことを励まし信じ続けてくれた大切な存在。僕にとってそれは、プライベートや役者業を通してできた友人ですね。一緒にいてくれて、僕が何かあったんだろうなという時は察してくれる。気を遣うわけでもないけど、つらいことがあったら「何かあった?」って聞くことなく寄り添ってくれる。応援もしてくれていて、周りの人間には恵まれています。友人と遊ぶ時間は大切にしています。オフの時間は仕事のことを一切考えず、“ひとりの人間”としていたい。なので音楽や趣味の話ばかりで、役作りとかは1ミリも考えないです(笑)。
人生はやりたいことを全部やるには短いので、思いついたらなるべく早く実行したいですね。今後挑戦していきたいことは“音楽”。僕はヒップホップが好きで、周りにも音楽活動をしている人が多いのでやってみたいです。あと個人的には“洋服作り”に興味があります。誰かに売るとかではなく、ただ自分の着たい服を自分のために作りたいです。例えば着たいものを見つけても、サイズがない・色味が違う・値段が高いなどいろいろな理由から理想の一着が見つからないので、「だったら作ればいいじゃん!」という発想に辿りつきました。アイデアを集めつつ、ゆる~い感じでいずれやれたらいいなと考えています。
1度で2度おいしい『映画大好きポンポさん』の魅力
「1本の映画で、2つのストーリーが楽しめる。最後には、泣いちゃいました!」
完成した作品を観た時、劇中映画「MEISTER」の物語にも感動している自分がいました。細かな説明は一切ないのに撮影の風景や編集過程を通じて、劇中劇を自然とみせる構成がすごい。つまりこれは1本の映画で2つのストーリーが楽しめるんです。最後泣いてしまったほど純粋に面白かった! もう一度僕も映画館で観たいと思います。
HIROYA SHIMIZU
1999年6月9日生まれ
映画『渇き。』『ソロモンの偽証 前/後編』で一躍注目を集める。その後、映画『ちはやふる』シリーズ、『ホットギミック ガールミーツボーイ』、ドラマ「アノニマス 〜警視庁“指殺人”対策室〜」など話題作に多数出演。N H K連続テレビ小説「おかえりモネ」に出演。映画『東京リベンジャーズ』が7月9日公開予定。
Photo:菅慎一 Text:水越小夜子・エムクラ編集部 Styling:八木啓紀 Hair&Make:中村兼也(Meison de Noche)
敏腕映画プロデューサー・ポンポさん(小原好美)のアシスタントをしているジーン(清水尋也)は、筋金入りの映画通。映画を撮ることにも憧れていたが、自分には無理だと卑屈になる毎日。ある日、ジーンはポンポさんから次回作の監督を任され…。
監督:平尾隆之
出演:清水尋也、小原好美ほか
●2021年6月4日(金)全国ロードショー
(情報は記事公開時点の内容です)