映画「ファーストラヴ」		リスペクトし合う北川景子と芳根京子 感情がシンクロしたクライマックスとは

女性が選ぶ“なりたい顔”ランキングのトップに輝き、昨年は第一子を出産したことでも話題の女優・北川景子と、NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』の主演を務めた若手実力派の芳根京子。注目の2人が、ヒットメーカーの堤幸彦監督が島本理生の直木賞受賞作を映像化した重厚なサスペンス『ファーストラヴ』で競演する。父親殺害の容疑者とされながらも挑発的な発言で世間を騒がす女子大生・聖山環菜を芳根が演じ、北川は環菜を取材する公認心理師の真壁由紀を演じる。初恋に秘められた事件の真相に迫る本作の撮影秘話を、2人に語ってもらった。

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原作について

誰もが経験する、過去の忘れられない出来事や、やりきれない気持ちに共鳴する (北川)」
「重要な役を私に託して下さったことが本当にうれしかった!(芳根)」

北川: この作品のお話をいただいてから原作小説を読んだのですが、あっという間に引き込まれて「この先どうなるんだろう?」と、一気に読み終えました。私は由紀という役を演じるかもしれないという気持ちで読んだせいか、なんというか“胃の中にズシンとくる”思いが残りましたね。昔つらい思いを乗り越えられなかったり、トラウマを抱えたまま生きていたり…。大なり小なり消化しきれていないをしていると思います。そういった誰もが経験する、過去の忘れられない出来事や、やりきれない気持ちに共鳴するような…。
芳根:本当にそうですよね。だからこそ、環菜という重要な役を私に託して下さったことが本当にうれしかった!  同時にプレッシャーも大きかったですね。

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共演について

「私には今作でも芳根ちゃんが“やってくれる”という確信しかなかった(北川)」
「想像もしなかった角度から感情が溢れてきて、自分でも驚きました(芳根)」

北川:私は環菜役の候補に芳根京子が上がっていると聞いて「ぜひ芳根ちゃんを!」と思っていたよ。芳根ちゃんがまだ18歳の頃に、ドラマ『探偵の探偵』で共演して、お芝居に対しての一生懸命さや感受性の豊かさが「本当にすごい」と感じていたから。
芳根:えっー! そんな風におっしゃっていただいて、今とても感激しています!
北川:だから、私には今作でも芳根ちゃんが“やってくれる”という確信しかなかった。でも、そんな芳根ちゃんもクライマックスの面会シーンでは本当に緊張していたよね。心臓のドキンドキンって音をマイクが拾っちゃったほどだったから、びっくりした!
芳根:あの時は心臓が口から飛び出そうなほどでした!  環菜が心のうちをさらけ出す感情的な場面で、演じ切れるか心配で…。だけど、北川さん演じる真壁先生の目をみて言葉を聞くうちに、想像もしなかった角度から感情が溢れてきて、自分でも驚きました。
北川:私もあの場面であんなに涙が出るとは思ってなかった。役を通じて、お互いのために泣いているというか…、2人がシンクロしているようなすごく不思議な感覚だった。

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役作りについて

「役者さんとの化学反応を大切にしています(北川)」
「 この役には今の自分ができることを全部出し切りました!(芳根)」

北川:私は公認心理士という職業を演じるに当たって、実際に働いている方とお会いする機会を作ってもらいました。私が普段悩んでいることを患者さんに接するように聞いてもらい、患者さんとの向き合い方や視線、佇まい、声色など参考なることがたくさんありましたね。その先生が撮影現場にもついてくださったので、「いまの大丈夫ですか?」と確認しながらこの職業に対して間違いがないように気を付けました。それ以外の部分はあまり考えこまず、役者さんとの化学反応を大切にしています。
芳根:環菜は、ある理由から親の愛情を知らずに成長して、人一倍孤独を感じている人です。 彼女がどんな“色”を出すかによってこの作品が変わってくると思います。環菜の“色”については、堤監督といっぱいお話をさせてもらいました。「私はこういう風に思うんです、こういう風に見えたみたいです」と相談しながら一緒に作り上げていきました。
北川:撮影中はそんなに「しんどい」「苦しい」って感じていませんでした。監督も話し合ってくれる方だし、昨日撮影したものを翌日に見せてくれるので、確認しながら演じるられるのはとてもありがたかったです。演技も組み立てやすくて、問題なくスイスイできてると思ったのですが、クランクアップした時に「やっとこれで解放されるんだ…!」と清々しい気持ちになりました。公認心理士という役を演じるために、なるべくニュートラルに一定になるよう心がけたせいですかね。今思えば、内側に閉じて我慢しながら由紀を演じていたんだなって気が付けました。
芳根:私は逆に感情はパーンと出している役だったせいか、私生活ではとても暗くなりました!(笑)
北川:でしょう~! エネルギーを出し切るし、ぐったりするよね。
芳根:あまり人と話したくなかったです(笑)。日々生きているパワーのうち、99%を環菜を演じるために使って、残り1%で生きている感覚でした。そう思うくらい、この役には今の自分ができることを全部出し切りました!

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芳根:環菜という役とは、家庭環境も考え方も全部違うから、理解できる部分とできない部分があります。それでも、なぜこんなにも環菜という役に感情をひっぱられてしまったのか…、私にもなにか彼女と重なる部分があるのかな。

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北川:親子の関係が本作の重要なひとつのテーマです。撮影したのは出産前ですが、「今ならこんな風に演じていたかも」なんて思うこともあります。子どもを持つことで、これからは役へのアプローチが変わっていくのかもしれないですね。今は仕事に育児にと忙しく綱渡りのような毎日ですが、しっかりと生活を充実させていきたいですね。

KEIKO KITAGAWA
1986年8月22日生まれ。

2003年、実写版ドラマ『美少女戦士セーラームーン』で女優デビューを飾る。その後『謎解きはディナーのあとで』(‘11)などさまざまなドラマや映画、CMで活躍。20年は出演映画3作品の公開が立て続いた。

KYOKO YOSHINE
1997年2月28日生まれ。

2013年『ラスト♡シンデレラ』で女優デビュー。初主演ドラマ『表参道高校合唱部!』(‘15)などで順調にキャリアを積み、NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』のヒロイン役を射止めて、一気に全国へ名を広める。18年の『累―かさね―』、『散り椿』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。

Photo:塚原孝顕 Text:水越小夜子・エムクラ編集部 【北川景子】Styling:林峻之(UNFORM) Hair&Make:SAKURA(まきうらオフィス) 【芳根京子】Styling:道端亜未 Hair&Make:原田琴実

父親殺害の容疑で逮捕された聖山環菜(芳根京子)。事件を取材する公認心理師・真壁由紀(北川景子)は、彼女の本当の動機を探るために面会を重ねる。二転三転する供述に翻弄されながら、由紀は環菜にどこか過去の自分と似た何かを感じ始める。
監督:堤幸彦
出演:北川景子、中村倫也、芳根京子[他]
2021年2月11日(木・祝)全国ロードショー

©2021『ファーストラヴ』製作委員会

(情報は記事公開時点の内容です)

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