俳優の梅宮辰夫さんが亡くなられてからまもなく1年になります。晩年は『ダウンタウンDX』や『芸能人格付けチェック』などのバラエティ番組でおなじみでしたが、なんといっても梅宮さんは昭和を代表する映画スターのひとり。かつて梅宮さんが所属していた映画会社・東映の作品を中心に放送している東映チャンネルでは、1周忌を迎える2020年の12月に梅宮さんの代表作を集めて放送する特集企画をお届け。ここエムクラでは12月の放送作品を解説いたします。
『極道社長(1975年)
梅宮辰夫演じる「三井住友」という、あまりにもビッグすぎる名前の社長がその子分たちと金儲けを企む社会派(?)なコメディ。川谷拓三や室田日出男ら、「ピラニア軍団」として一世を風靡した東映の脇役俳優たちをガッチリ束ね、厳しい世間を豪快に渡り歩きます。
『不良番長』(1968年)
梅宮辰夫の代表作といえば、なんといっても『不良番長』。不良グループ・カポネ団の頼れるリーダーの役が当たり役となりました。カポネ団は新宿近辺をバイクで乗り回し、のちに日本全国に波及して社会問題となった「暴走族」が初めて大きく取り上げられた映画です。その後、シリーズの途中から山城新伍や藤竜也がメンバーに加わり、時にはハードボイルドなアクション、時にはナンセンスを極めたお色気コメディと内容はバラエティに富み、全16作が作られる人気の長寿シリーズとなりました。
北海の暴れ竜(1966年)
のちに『仁義なき戦い』を生み出す深作欣二監督が北海道を舞台にスピード感あふれるアクションを撮り上げたダイナミックな一作。ヤクザに牛耳られた故郷の漁村を取り戻すために梅宮辰夫演じる男が立ち上がります。数年後、「不良番長」シリーズで良き相棒を演じる谷隼人もここで共演しています。
『花札渡世』(1967年)
梅宮辰夫の主演作で隠れた名作といえるのが『花札渡世』。ビデオやDVDにならず、公開以来ほとんど人目に触れることのなかった幻の映画でした。しかし、2018年に東京の名画座で上映されたことがきっかけで映画マニアたちに注目され、感動の声は今も密かに広がり続けています。没後すぐに刊行され、遺言のような1冊になった『不良役者 梅宮辰夫が語る伝説の銀幕俳優破天荒譚』(双葉社)の中で、ご本人がこの『花札渡世』を生涯ベストの1本として挙げていました。厳しい博打の世界で生きる男の生き様を、若くして貫禄たっぷりに演じています。
『柳ヶ瀬ブルース』(1967年)
「不良番長」シリーズの陰に隠れがちですが、「夜の歌謡」シリーズも忘れてはいけません。当時流行していたヒット曲のタイトルを借りて1本映画を仕立ててしまうという、いわゆる「歌謡映画」の代表的な作品で、バーやキャバレーといった夜の街を舞台にドラマが展開します。本作をはじめ、本格的にブレイクする前の大原麗子とも共演作は多く、若さ溢れる魅力を放っています。もちろんヒット曲を歌った歌手も登場。「柳ヶ瀬ブルース」は現在も芸能界のご意見番としておなじみの美川憲一が初めて放った大ヒット曲で、50年以上前の貴重な歌唱場面にも注目です。
いかがでしたでしょうか。他にも梅宮さんの歌手としての代表作「シンボルロック」を生んだ「帝王」シリーズや、敵か味方かわからない汚職刑事をユーモアたっぷりに演じた『資金源強奪』など、まだまだ梅宮さんの名演技が見られる作品は山のようにあります。梅宮さんの若かりし頃の色男ぶりを東映チャンネルでぜひお楽しみください。
没後一周忌メモリアル 梅宮辰夫特集
極道社長
12月5日(土)20:00~21:30 [再]=12・20
不良番長
12月6日(日)20:00~22:00 [再]=12・24
北海の暴れ竜
12月4日(金)20:00~21:30 [再]=12・29
花札渡世
12月5日(土)21:30~23:30 [再]=12
柳ヶ瀬ブルース
12月4日(金)21:30~23:00 [再]=12