『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が公開され、これから観る人はもとより、すでに観た人もサム・ライミ監督版『スパイダーマン』を復習したくなった人もいるのではないだろうか?映画シリーズ初期三部作をそれぞれの名シーンとともに振り返ってみよう!
いろいろなスパイダーマンが登場!『スパイダーマン:スパイダーバース』吹替のススメ
最新作を観る前に過去作を復習しよう
マルチバースが本格始動!『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』には過去作のヴィランが登場
公開前から、過去作のヴィランが集結するマルチバースの本格始動が明かされていた『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』。
最新作を観るにあたり、本記事で紹介するサム・ライミ版の『スパイダーマン』、そしてアンドリュー・ガーフィールドがスパイダーマンを演じたマーク・ウェブ監督版『アメイジング・スパイダーマン』をおさらいしておくとより楽しめるだろう。
『スパイダーマン』|スパイダーマンとMJの「逆さキス」
シリーズ全作の中でも特に印象深いロマンチックなキス
サム・ライミ監督が手掛けた所謂“無印”のスパイダーマンシリーズでピーター・パーカーを演じたのは、トビー・マグワイア。
トビー演じるスパイダーマンは幼いときから隣人のメリー・ジェーン、通称MJ(キルスティン・ダンスト)に恋をしているが、奥手でなかなか気持ちを伝えられないでいた。
1作目、ピーターは遺伝子操作されたクモに噛まれてスパイダーマンとなり、街の人々、そしてMJを度々救うことになる。
ある雨の降る夜、男たちに襲われたMJを救う。
MJは「お礼をしたい」と糸に吊り下がり逆さになっているスパイダーマンのマスクを口元だけめくり、キスをする。
糸にぶら下がり逆さになるという体勢で、さらに正体を明かすことができないヒーローが口元だけ出すというスパイダーマンならではの部分がこのシーンを魅力的にさせている。
雨が降る中の「逆さキス」が1作目の大きな見どころだ。
『スパイダーマン2』|街の人々に救われるスパイダーマン
スパイダーマンの正体を知った人々の行動に胸を打たれる
『スパイダーマン2』(2004年)では、核融合の実験により、人工知能が搭載された金属製アームに精神を乗っ取られたドクター・オクトパス(アルフレッド・モリーナ)がヴィランとして登場。
一方スパイダーマンは、ヒーローであることに迷いが生じ始め徐々に力が失われていった。
一度はスパイダーマンを引退したものの、人々に必要とされていることを知り再びスパイダーマンとして立ち上がる。
そして物語終盤、MJを人質にとられたピーターはドクター・オクトパスと戦う。
戦闘中、ドクター・オクトパスにより制御不能となった暴走する電車に線路の終わりが近づく中、スーツがボロボロになりマスクを外していたスパイダーマンは、必死に電車を止めようとする。
電車はなんとかギリギリの所で止まり、力を尽くしたスパーダーマンは気を失って倒れてしまうが、そこにスパイダーマンを支える人々の手が伸びる。
電車の中にいる街の人々に支えられ運ばれていくスパイダーマン。
気がついたピーターは正体が知られたことに気づきハッとするが、「大丈夫だ、誰にも言わないから」とマスクを渡される。
そこへドクター・オクトパスがやってくるが、傷を負ったスパイダーマンを守るため、人々がドクター・オクトパスの前に立ちはだかるのだった…。
この一連のシーンに、これこそが街の人々に愛されるヒーロー、「親愛なる隣人」だと胸を打たれた。
苦悩しながらもヒーローであり続けることを選んだピーターと、正体を知りながらも彼を守るため秘密を守り敵の前に立ちはだかった人々。
これこそが人々から愛されるヒーローの姿ともいえる、スパイダーマンシリーズの中でも特に感動するシーンとなっている。
『スパイダーマン3』|ブラックなスパイダーマンのキザなダンスシーン、親友ハリーとの共闘
多くの敵が立ちはだかりスパイダーマンが敗北の危機に
サム・ライミ版スパイダーマンの最終作『スパイダーマン3』(2007年)では、1作目の敵=グリーン・ゴブリン(ウィレム・デフォー)の息子でありピーターの親友でもあるハリー・オズボーン(ジェームズ・ブランコ)がニュー・ゴブリンとなり、さらに素粒子実験に巻き込まれサンドマンと化した脱獄犯(トーマス・ヘイデン・チャーチ)、そしてスパイダーマン自身は地球外生命体のシンビオートに寄生されるなど、立ちはだかるヴィランが多い作品である。
そんな3作目の名シーンのひとつは、シンビオートに寄生されブラック・スパイダーマンとなったピーターのダンスシーン。
シンビオートは通常時よりスパイダーマンとしての能力を向上させたものの、ピーター自身の攻撃性、凶暴性を増幅させる危険な力も持っていた。
自信たっぷりで粗暴な性格になったピーターが街中でダンスをするのだが、普段の穏やかでシャイなピーターからは想像できないそのキザな姿はどこか可愛らしさも。
そしてもう一つ、敵対関係になっていた親友ハリーがスパイダーマンを助けるシーンも見どころだ。
1作目で父をスパイダーマンに殺されたと思い込み、復讐を遂げようと自らもゴブリンとなったハリー。
物語終盤ではまたしても人質にとられたMJを救うため、シンビオートを引きはがしたスパイダースーツを身にまとい的に立ち向かおうとするピーター。
しかし敵はサンドマン、そして引きはがしたシンビオートが新たに寄生した記者のエディの二人。
一人では倒せないとハリーのもとへ行き助けを求めるが、拒絶されてしまう。
一人で二人の敵に立ち向かっていくが、やはり一人では敵わずとどめをさされそうになった瞬間、グライダーに乗ったハリーが現れた。
ハリーはピーターが去った後、父は自分で命を落としていたと執事に告げられていたのだった。
倒れていたピーターにハリーは手を差し伸べ、そして二人で敵に立ち向かっていく。
複雑な関係だった二人が最終作で再び親友として結束する、胸が熱くなる名シーンだ。