恋愛映画『エターナル・サンシャイン』の魅力とは?あらすじと解説

第77回(2005年)アカデミー賞脚本賞を受賞した恋愛映画『エターナル・サンシャイン』。脚本賞を受賞しただけあって、凝った物語展開は、普通の恋愛映画とは演出が違っている作品だ。そんな一味違う本作についてあらすじを踏まえながら解説!

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映画『エターナル・サンシャイン』あらすじ

設定が変わったラブ・ファンタジー!

恋人・クレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)と喧嘩別れをした冴えない中年男・ジョエル(ジム・キャリー)は、仲直りをしようと彼女に会いに行くも、なぜだか他人扱いされてしまう。
その様子に混乱したジョエルのもとに、ラクーナ医院という会社から1通の手紙が届く。
そこには「クレメンタインはジョエルの記憶を全て消したため、今後一切2人の過去には触れぬように」と書かれていた。
他人扱いされたのはクレメンタインが自分の記憶を消してしまったからだと知り、ショックを受けたジョエルは、自分も同じように彼女のことを忘れようと記憶除去を専門とするラクーナ医院に向かうことに。
そこでの説明によると、一晩寝ている間に特定の記憶を消すことができるという。
新しい記憶から過去に向かって順番に消していくと言われたジョエルは、クレメンタインに関する記憶消去の施術を受けることにするが…。

キャストは豪華俳優陣!

主演はジム・キャリーとケイト・ウィンスレット

頼りがいがなく、冴えない、弱々しい中年男・主人公のジョエルを演じるのは、『マスク』で有名なジム・キャリー。
コメディ映画での派手なキャラクターの演技でよく知られている彼の、いつもとは違った役どころではあるが、とても自然な演技でどこにでもいそうな冴えない中年男に仕上がっている。
一方で、ジョエルの元恋人・クレメンタイン役は、本作で第77回(2005年)アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたケイト・ウィンスレットが担当。
世界的大ヒット作『タイタニック』や『愛を読む人』で知られている彼女は、ジム・キャリーのジョエルとは対照的な派手な髪色で、思ったことはすぐ行動する少し変わった破天荒な女性を演じている。
「静」のジム・キャリーと「動」のケイト・ウィンスレット。
2人のいつもと違った演技を堪能できる稀有な作品だ。

他にも、記憶除去手術を行うラクーナ医院のスタッフ・スタンとメアリーを、『スポットライト 世紀のスクープ』のマーク・ラファロとサム・ライミ版『スパイダーマン』シリーズのキルスティン・ダンストが担当している。

監督と脚本は映画『ヒューマンネイチュア』のコンビ

巧みな脚本によるストーリー展開に引き込まれる

本作の脚本を担当したのは、『マルコヴィッチの穴』で知られるチャーリー・カウフマン。
映画『ヒューマンネイチュア』で監督を務めたミシェル・ゴンドリーとは2度目のタッグとなる。
奇妙な作品を組み立てるカウフマンと美しい独特な映像を撮るゴンドリーのタッグによるラブストーリーは、ファンタジー要素も相まって普通の恋愛映画とは一線を画すものに。
“記憶”が深く関わっている本作は、時間軸をバラバラに、ジョエルのクレメンタインに関する記憶除去の過程が描かれていく。
記憶を除去されている現在と、除去される記憶の中の過去が行ったり来たりすることに加え、(新しい記憶から順番に遡るとはいえ)突発的に見える構造からストーリーラインがわかりにくいかもしれない。
そんな時は、クレメンタインの髪色に注目していけば、記憶の順番がわかるようになっていくだろう。
思い出しては消えていく記憶の消し方に関しても特徴的で、恋愛映画を見ていることを忘れてしまうような変わった映像で不思議な感覚を味わえる。
その巧みな演出により、何回でも見たくなる一風変わった恋愛映画となっているのだ。

恋愛映画の形をした人生の映画

鑑賞後はきっと誰かと感想を話したくなる!

あらゆる面で普通の恋愛映画とは違っている本作だが、最も違う点はその物語展開だろう。
よくある恋愛映画では、男女が出会うところから始まり、2人が結ばれるまでを描いたハッピーエンドで終わることが多い。
一方の本作は、結末に関しては本来のハッピーエンドとはだいぶ異なっているので、人によってどう感じるのかを確かめてみてほしい。
なお本作は、監督の友達の何気ない一言に着想を得て作られた作品で、現実の恋愛から生まれた物語であるとのこと。
実際の恋愛において、結ばれた後も2人で幸せな記憶をもちながら、それをずっと持続させていくのは、とても難しいのだ。
ジョエルとクレメンタインもケンカ別れをしてしまうわけだが、過去の美しい幸せな記憶を見たところでその関係性を継続していくことが難しいことがよくわかる。
互いに幸せな関係を作っていくには、お互いに歩み寄り、許容し、受け入れ合うことが大事なのではないだろうか。
見終わった後にそんなことを考え、誰かと話し合ってみたくなる映画だ。

また、この物語のように、都合よく記憶が消せるわけではない私たちは、どんな辛い別れの記憶も抱えて生きていかなければならないもの。
出会って別れての繰り返しの中で、人との繋がりを強く感じさせてくれる本作は、恋愛映画の形をした「人生」の映画と言えるのではないのだろうか。
辛い時、楽しい時、どんな時でもきっとあなたに寄り添ってくれるそんな作品だ。

『エターナル・サンシャイン』作品情報

エターナル・サンシャイン

監督:ミシェル・ゴンドリー
脚本:チャーリー・カウフマン
公開:2004年3月19日(日本:2015年3月19日)
制作国:アメリカ
上映時間:107分
出演:ジム・キャリー、ケイト・ウィンスレット、マーク・ラファロ、キルスティン・ダンスト、イライジャ・ウッド、トム・ウィルキンソン ほか

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