元料理人の一般市民がある日突然スパイになり、武器密輸問題がはびこる北朝鮮に潜入し、その実態を暴いた100%ノンフィクションドキュメンタリー映画『THE MOLE(ザ・モール)』が10月15日(金)公開される。
北朝鮮の武器密輸の実態を暴いたスパイ
闇取引のネットワークに潜入
デンマーク・コペンハーゲンの郊外に住む元料理人のウルリク・ラーセンが、Facebookのメッセンジャーでブリュガー監督へメッセージを送ったことが事のはじまりだった。北朝鮮の実態を暴くためにドキュメンタリー作品を作ってほしいと願うウルリクは返事を濁すブリュガーに構わず、コペンハーゲンにある北朝鮮友好協会へ潜入し、内部で異例の出世を果たして確固たる地位を築き、メンバーから厚い信頼を得ることに成功。そしてついに、北朝鮮へスパイとして潜入し、一部始終を隠しカメラで撮影したのだった。ウルリクのスパイぶりを見たブリュガーは、元フランス軍外人部隊で前科者のジムに金持ちの石油王を演じさせるなど、裏からウルリクたちのスパイ活動を支援した。本作では、北朝鮮の要人や武器商人たちの素顔、廃れた街の地下に出現した怪しげな空間での商談の様子など、リアルで衝撃的な映像が映し出される。
マッツ・ブリュガー監督 映画監督であり、雑誌や新聞などに寄稿するジャーナリスト。また、テレビの報道番組でMCを務め、ラジオ番組のプロデュースも行うなど、マルチに才能を発揮している。ブリュガー監督のデビュー作は、ブラックユーモアを交えつつ、北朝鮮の知られざる真実に切り込んだ衝撃作『ザ・レッド・チャペル』(2009年)だが、この作品が原因で北朝鮮の怒りを買ってしまい、ブリュガー監督は北朝鮮へ入国することができなくなった経緯がある。なお、第26回サンダンス映画祭ワールドシネマ・ドキュメンタリー部門・審査員賞を受賞した『ザ・レッド・チャペル』は11月27日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかにて全国順次ロードショーされる。
“本物”のスパイが記録した10年間のリアル
スパイ活動の最後に待ち受けることとは?
本作は、10年間のスパイ活動を終えたウルリクとジェームズへのインタビュー形式で話が進んでいく。当時を振り返りながら映し出される、実際に隠しカメラで撮影された生々しい映像が衝撃的だ。 欧米やアジア、アフリカなど14カ国で撮影されたという隠し撮り映像には、驚きの事実がありありと記録されている。CIAでさえ情報を得るのに苦労していた北朝鮮の闇取引のネットワークに入り込み、重要な資料を北朝鮮から持ち帰るなど、スパイとして目を見張る活躍ぶりをみせたウルリクとジェームズ。作中で印象的だったシーンは、北朝鮮友好協会の会長とウルリクの関係である。会長は協会に潜入していたウルリクを心から信用しきっており、ウルリクに組織の中で重要なポジションを任せていた。いよいよウルリクが10年間のスパイ活動が終わりを迎えるときの会長とのやり取りには、なんとも言い難い虚しさとすがすがしさがある。
映画『THE MOLE(ザ・モール)』あらすじ
この男、ヤバすぎるー
デンマークの元料理人が約10年間にわたって自身のスパイとしての二重生活を記録。コペンハーゲン出身で元麻薬密売人の相棒とともに、今、世界で最も謎に満ちた独裁国家・北朝鮮に潜入する。2人は、長い月日をかけて武器や麻薬を製造及び供給する北朝鮮の国際犯罪組織の中枢へと潜り込んでいく。商談を重ね、契約を結び、やがて主人公はアフリカ某所で兵器と麻薬の密造工場建設計画に深く関わることとなる…。
<作品情報>
公開日:2021年10月15日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開
上映時間:135分
原題:「THE MOLE – UNDERCOVER IN NORTH KOREA」
監督:マッツ・ブリュガー(『誰がハマーショルドを殺したか』)
出演:ウルリク・ラーセン ほか
協力:NHKエンタープライズ
配給:ツイン
公式HP:https://themole-movie.com/