『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』は大人も楽しめるストーリー構成がしっかりした映画だった

令和第1号の仮面ライダーとして、2019年9月から2020年8月まで放送されていた『仮面ライダーゼロワン』。
人間と人工知能(AI)の共存をテーマに、主人公の飛電或人(ひでんあると)と仲間たちがさまざまな苦難を乗り越えていく姿が描かれ、TVシリーズの最終話では「人間と人工知能(AI)が共存していく未来」の第一歩を踏みだしました。
今回紹介する『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』では、TVシリーズの後日譚として新たな敵との戦いが勃発。
「仮面ライダー」というと子供向けと思ってしまいがちですが、TVシリーズの時から重たい描写もあった『仮面ライダーゼロワン』の劇場版は、ストーリー構成がしっかりと練られた大人も楽しめる作品となっていました。

あらすじ

「神が6日で世界を創造したのなら、私は60分でそれを破壊し、楽園を創造する。」と宣言した謎の男・エス/仮面ライダーエデンは、賛同する数千人の信者とともに、世界中で大規模なテロを引き起こす。
人々が昏睡状態に陥り、世界が混乱に包まれる中、エスを止めるべく飛電或人/仮面ライダーゼロワンが立ち向かう。
不破諌(ふわいさむ)/仮面ライダーバルカンや刃唯阿(やいばゆあ)/仮面ライダーバルキリーといった仲間たちに加え、かつて敵対していた滅亡迅雷.netの面々も敵と戦いながら真相を解明しようと奮闘する。
果たしてエスの正体とは?
彼らが創ろうと目論む楽園とは一体何なのか?
人間と人工知能(AI)が手を取り合い、世界を救う戦いが幕を開ける!

仮面ライダーゼロワンとは?

『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』の紹介の前に、まずは簡単にTVシリーズのおさらい。

物語の舞台は、人工知能(AI)搭載人型ロボット=ヒューマギアが、さまざまな仕事に就いて人間をサポートする新時代。
何者かにハッキングを受けたヒューマギアが突如として暴走し、人々を襲う事件が発生してしまいます。
たまたま暴走現場に居合わせた主人公の飛電或人は、祖父が社長を務めていた企業・飛電インテリジェンスが開発したベルトを秘書ヒューマギアのイズから託されて、仮面ライダーゼロワンに変身。
その後、祖父の後を継いで飛電インテリジェンスの社長に就任した或人は、人間とヒューマギアが心から一緒に笑える世界を目指し、人間を滅ぼそうと企む組織“滅亡迅雷.net”、飛電インテリジェンスのライバル企業の社長として立ちふさがる天津垓、そして人間の悪意をラーニングした人工知能のアークとの戦いを経て、最後は人間とヒューマギアが共存する世界の第一歩を踏み出したのでした。

と、ここまでがTVシリーズの流れとなります。
今回の劇場版はTVシリーズの後日譚ではありますが、上記の流れを抑えておけば大きな問題はなし。
各キャラクターの立ち位置や関係性などは、劇場版だけでも(ざっくりとではありますが)わかるように描かれています。
なお、TVシリーズの最終話には、アークの秘書であったヒューマギア・アズによって、謎の男・エスにベルトが渡される描写がありました。(劇場版へのフリ)

各キャラの特徴を生かした見せ場が全員にある練られた構成

『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』の見どころは、 何といっても各キャラクターごとにきちんと見せ場があり、アクションも本格的なこと。
残念なパターンとしてありがちなのが、主人公と敵キャラ、人気キャラには見せ場があるのに、他のキャラクターにはおまけ程度の描写しかないという構成。
しかし本作は、敵味方含めて8人いる仮面ライダーたちそれぞ
れにきちんと尺を割き、パワー自慢の仮面ライダーであれば荒々しい戦闘と激しいガンアクション、機動力がウリの仮面ライダーであれば目まぐるしい戦闘やバイクアクションなど、それぞれに見合った本格的なアクションで見せ場を作っているのです。
また、見せ場はアクションだけにとどまらないのもゼロワン。
例えばかつて飛電インテリジェンスのライバル企業として立ちふさがった天津垓であれば自社製品を使って支援、飛電インテリジェンスのヒューマギアたちは仕事を介してのバックアップ、滅亡迅雷.netの面々はデータ解析やハッキングでのサポートなど、人間とヒューマギアが手を取り合って事態の対処にあたる姿が見られるのもポイントです。

未来が発展しても大事なことは変わらないことを教えてくれるストーリー

人間にも人工知能にも「心」があって、それを思いやることが大切なんだということをTVシリーズの頃からひたすらに訴え続けてきた『仮面ライダーゼロワン』。
そのメッセージは、『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』になってもぶれることなく描かれ、たとえどんなに未来が発展したとしても、本当に大事なことは変わらないのだということを感じさせてくれるストーリーになっています。
また、主人公としてTVシリーズから成長を続けてきた飛電或人役の高橋文哉と謎の男・エス役としてゲスト出演した伊藤英明による熱いぶつかり合いなど、キャストたちの達者な演技によって物語に引き込まれてしまうのも、本作のメッセージが響いてくる手助けとなっているのは間違いないでしょう。

「仮面ライダー」ですのでご家族で楽しめるのはもちろんですが、大人一人での鑑賞もお勧めできる作品に仕上がっている本作を、ぜひ劇場でご覧になってはいかがでしょうか。

劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME

全国の劇場にて公開中
配給:東映
監督:杉原輝昭
出演:高橋文哉、岡田龍太郎、鶴島乃愛、井桁弘恵、中川大輔、砂川脩弥、桜木那智、山口大地、中山咲月、児嶋一哉 ほか

(情報は記事公開時のものです)

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