プーさんとピグレットが殺人鬼に!? 世界騒然の話題作『プーあくまのくまさん』が、ついに日本で公開(2023年6月23日)。早くも続編が決定している禁断のホラー映画のあらすじ&ネタバレや注目情報を紹介。
話題騒然 ホラー映画『プーあくまのくまさん』の作品情報
衝撃的 プーさんとピグレットが殺人鬼に!?
ハチミツ好きの「くまのプーさん」は世界中で愛されているキャラクター。イギリスの児童文学作家A・A・ミルンが1926年に発表した児童小説です。それを原作に1966年にディズニー社がアニメーション映画『プーさんとはちみつ』を製作・公開(日本公開は1967年)しました。
本作『プーあくまのくまさん』はA・A・ミルンの原作『クマのプーさん』の著作権保護期間が2022年に終了し、パブリックドメイン(公有)化されたことにより、本作『プーあくまのくまさん』のようなホラー映画が製作されました。
『クマのプーさん』の主人公・プーさんが、森の仲間でピンクの耳がかわいい小さなブタのピグレットとともに殺人鬼として登場するという、衝撃的なストーリー、ビジュアルも含めて海外公開時に話題となりました。
アメリカで公開された2023 年2 月 15 日の公開初日には、すでに公開中だった人気映画『アバター』シリーズの続編『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』を抜いて、全米3位に入るなど注目の作品となりました。その一方で、全米の批評家から低評価を受け、「史上最低評価の映画100」にランクインすることになりました。さらには香港とマカオでは、上映予定されていた同作が急遽中止なったことでも話題に。
それでも製作予算が10万ドル以下と言われる中、600万ドルを超える興行収入を上げました。当初は限定での公開予定が、ネットなど口コミで広まり、中南米や欧州でも配給が予定され、日本でも2023年6月23日に公開予定となりました。
本作『プーあくまのくまさん』を指揮したのはリース・フレイク=ウォーターフィールド監督です。脚本から編集、製作まで一手に担当しました。リース・フレイク=ウォーターフィールド監督は「愛する子供時代の物語で血みどろなユニバースを創り出す計画を立てている」と、今後も『クマのプーさん』同様に世界中の子どもたちから愛されているキャラクターを、本作『プーあくまのくまさん』の主人公のように描く計画を明かしています。本作『プーあくまのくまさん』は、リース・フレイク=ウォーターフィールド監督が言うような「血みどろ」な内容でもあるため、年齢制限(PG-12)が設けられています。
本作『プーあくまのくまさん』を日本に配給したのは「アルバトロス・フィルム」です。アルバトロス・フィルムは独立系の映画配給会社「ニューセレクト」のレーベルです。ニューセレクトは独自路線で海外映画を買い付け、配給していることで有名です。中でも、その存在を有名にしたのが2001年に公開されたフランス映画『アメリ』です。その後も『えびボクサー』(2003年日本公開)などユニークな作品を配給して存在感を示しています。今回もこれまで通りの路線で本作『プーあくまのくまさん』を配給しています。
ホラー映画『プーあくまのくまさん』のあらすじ
再会したプーとピグレットは野生化した異様な姿に
ある日、森の中―――
プーとの再会を楽しみにしていたロビン
しかし、そこで待っていたのは―――
楽しい冒険に満ちあふれていた、かつての日々は終わりを迎え、クリストファー・ロビンは青年となり、大学に進学するため、くまのプーや子ぶたのピグレットを「100エーカーの森」に残し、旅立っていった。
時が経ち、大人になったクリストファー・ロビンは婚約者のメアリーを連れ立って、プーさんたちに会いに100エーカーの森へ戻ってきた。
プーさんやピグレット、イーヨーたちが住んでいた家にたどり着いたクリストファー・ロビンとメアリー。しかし、家の中には誰もおらず、家の中は血で汚れており、どこか異様な気配が漂っていた。「様子が変よ」と心配するメアリーに、クリストファー・ロビンは「大丈夫。心配することはない」と落ち着かせようとするが、しばらくすると、何かの唸り声が聞こえ、身を隠す二人。そして、メアリーの背後から何者が忍び寄り、襲い掛かる。そこで目にしたのは血に飢え野生化してしまったプーとピグレットの異様な姿だった…。
リース・フレイク=ウォーターフィールド監督によるネタバレ
「ディズニー作品と間違える人はいない」
本作『プーあくまのくまさん』を手掛けたのはリース・フレイク=ウォーターフィールド監督で、キャリア初となる劇場公開作品となります。
リース・フレイク=ウォーターフィールド監督は、本作『プーあくまのくまさん』について、メディアに趣旨説明をし、あらすじなどもネタバレしています。
大まかなストーリーについては、大学に進学するクリストファー・ロビンに置き去りにされた後、プーとピグレットが「凶行に走る悪役の主人公」として描かれると説明。プーとピグレットが何故、凶暴な殺人鬼に変貌したのかについては、「ロビンが去ったことで、食べ物を与えてもらえなくなったプーとピグレットは危機に瀕し、“自ら何とかしなくては”と野生化し、動物のルーツとして餌を見つけようとする獰猛なクマとブタになった」とのこと。
本作『プーあくまのくまさん』はホラー映画ですが、リース・フレイク=ウォーターフィールド監督は「バカげた話」をコンセプトとした上で、「恐さとばかばかしさの中間になるようにしたい」と思って製作をしたといいます。つまり、ホラー映画でありながら、笑えるコメディ要素も盛り込んでいるようです。劇中で若い女性を薬品で眠らせて、車でひき殺すシーンが登場します。それについて、リース・フレイク=ウォーターフィールド監督は「恐いけど、おかしなシーンです。くまのプーさんが車の中にいて、ハンドルの奥には彼の小さな耳が見えていて、(彼女を殺すために)ゆっくりとひこうとしているんですから」と、“バカげたおかしい”シーンを説明しています。
また、本作『プーあくまのくまさん』の主人公が「くまのプーさん」ということで、「ディズニー映画『クマのプーさん』と混同するファンがいるのでは?」という声がある懸念について、リース・フレイク=ウォーターフィールド監督は「この作品のアートワークや予告編やスチール写真を見たら、これが子ども向けのプーさんだとは思いようがないですよ」と言い切りました。製作チームも「このプーとピグレットは1926年のA・A・ミルンの『クマのプーさん』のみをもとに作られている」とし、ディズニー映画の『クマのプーさん』とは一線を画していることを主張。そのため、本作『プーあくまのくまさん』のプーやピグレットはディズニー映画『クマのプーさん』に登場するプーさんやピグレットとは「似ても似つかない」くらい“醜い”ルックスになっています。
本作『プーあくまのくまさん』では人気キャラクターの「ティガー」は登場しません。ティガーとは『クマのプーさん』に登場する元気なトラです。ティガーは、まだ著作権保護期間内にあるため、登場しないそうです。
他の人気キャラクターで登場しないことがわかっているのがロバの「イーヨー」です。イーヨーはティガーとは違い、著作権保護期間内にいるキャラクターではないようですが、本作『プーあくまのくまさん』では墓石に刻まれた名前のみが登場するようです。その理由は、「イーヨーはプーとピグレットに食べられてしまった」という設定であることをリース・フレイク=ウォーターフィールド監督がネタバレしています。イーヨーが墓石で“登場”するシーンも見逃せないですね。
『プーあくまのくまさん』の結末は?
クリストファー・ロビンはプーに殺められるのか!?
本作『プーあくまのくまさん』は海外ではすでに公開されており、ネット上で様々なネタバレやレビュー(批評・感想)がアップされています。日本での公開は2023年6月23日ですので、殆どの日本国内に在住する方は本作をまだ観ていないと思います。
日本での公開を前にすでに「続編が決定」という情報が“ネタバレ”していますが、それはクリストファー・ロビンについては“生き延びる”ということなのでしょうか? 劇中ではプーとピグレットが次々と人を殺めていくシーンが登場します。リース・フレイク=ウォーターフィールド監督のネタバレにあるように、クリストファー・ロビンが100エーカーの森を去ったことで、危機に瀕したプーやピグレットはクリストファー・ロビンを“恨んでいる”様子が伺えます。それが劇中ではわかるシーンが登場するようです。
はたして、プーとピグレットは“再会”したクリストファー・ロビンに対し、どのような接し方をするのでしょうか? 見どころの一つであり、続編にも繋がるポイントになると思います。プーとクリストファー・ロビンが迎える“再会”の結末に注目したいですね。
続編が早くも決定した本作『プーあくまのくまさん』
かわいい小鹿もホラー映画になる!?
本作『プーあくまのくまさん』の続編が早くも決定しています。監督は本作同様にリース・フレイク=ウォーターフィールドが務め、製作もスコット・ジェフリーの続投も決定しているそうです。予算は本作が10万ドル以下と言われていますが、続編は大きく予算も拡大する見込みとのこと。
本作『プーあくまのくまさん』を製作した際、リース・フレイク=ウォーターフィールド監督は「愛する子供時代の物語で血みどろなユニバースを創り出す計画を立てている」と語りました。世界中の多くの人が子供時代に読んだり、見たりした勇気や希望などを与えてくれた童話やアニメのキャラクターたちを、今回のプーさんのように既存のキャラクターとは真逆の恐ろしいホラーチックに描こうというのです。勿論、著作権保護期間中の作品に触れることはできませんが、保護期間が終了した作品について、ホラー映画にしていく考えが、リース・フレイク=ウォーターフィールド監督にはあるようです。しかし、ディズニー社が製作してきたアニメ映画の著作権は現在もディズニー社にあり、本作『プーあくまのくまさん』も含めて、キャラクターデザインを含めた一切の要素を使用できません。
その構想の手始めと言えるのが『バンビ』のホラー映画化です。『バンビ』とは1923 年にオーストリアの小説家フェーリックス・ザルテンが発表した作品。それをもとにディズニー社が1942 年にアニメ映画『バンビ』を公開(日本は1951年)した、小鹿のバンビが様々な動物たちとの出会いや、厳しい現実と向き合いながら成長していく物語です。子どもたちに仲間の大切さや勇気など、明るい話題を提供してきた人気作品です。
そのフェーリックス・ザルテン原作の『バンビ』をリース・フレイク=ウォーターフィールド監督がプロデュースし、本作『プーあくまのくまさん』で製作に携わったスコット・ジェフリーが監督を務め、ホラー映画『バンビ:ザ・レコニング』(原題)を製作する計画が進行中だそうです。
ジェフリー監督は「世界中で愛される古典的物語に、とことんダークなひねりを加えた全く新しい作品」と説明し、バンビが「荒野に潜む凶暴な殺人マシーン」として登場するとネタバレしています。ディズニーアニメ映画『バンビ』では“森の若きプリンス”として、森の王様である父の跡を継ぐべく、勇気や強さを身に着け、仲間と仲良くする姿が描かれていました。そのバンビが「殺人マシーン」とは想像を絶します。問題作になること間違いないですね。
ネバーランドがホラー映画の舞台に?
主人公はピーター・パンではない! あの妖精!?
リース・フレイク=ウォーターフィールド監督は本作『プーあくまのくまさん』の続編だけでなく、人気作品『ピーター・パン』をホラー映画化する構想中だとの報道があります。
『ピーター・パン』はスコットランドの作家ジェームス・マシュー・バリーの作品です。1953 年にディズニー社がアニメ化の権利を取得し、アニメ映画『ピーター・パン』を製作・公開、日本では1955年に公開されています。ネバーランドに住む少年ピーター・パンが空を自由に飛び、ウェンディ、ジョン、マイケルをネバーランドへの冒険に連れ出す物語。ピーター・パンと言えば純粋さと気まぐれな性格が魅力の人気者です。みんなを楽しく幸せに導く作品が、ホラー映画になるとは、想像したくない人もたくさんいそうですね。
ホラー映画のタイトルは『ピーター・パン:ネバーランド・ナイトメア(原題)』で、主人公はピーター・パンではなく、妖精・ティンカーベルであるとし、「ドラッグ中毒で重い肥満症という設定」というネタバレ情報が海外で報じられています。
『くまのプーさん』『ピーター・パン』『バンビ』だけでなく、ディズニーアニメ映画化された他の人気キャラクターがホラー映画の主人公として登場する? なんてことは見たいような見たくないような複雑な気持ちになる方が多くいると思います。ただ、ディズニーアニメ映画をもとに製作されるのではなく、本作『プーあくまのくまさん』同様、あくまでも著作権保護期間が終了した原作をもとにホラー映画化することだと思われます。本作『プーあくまのくまさん』同様にキャラクターデザインもディズニーアニメ映画のキャラクターとは似ても似つかないものになることは想像しやすいです。
革新的な作品を作ろうとするリース・フレイク=ウォーターフィールド監督であっても、「ディズニーアニメの権利を侵す」という、一線は越えるはずないです。ですから、ディズニーアニメファンの方は、本作『プーあくまのくまさん』や、それに続く、『ピーター・パン』『バンビ』などは「ディズニーアニメとは全く別のもの」であると割り切ってご覧になれると思います。
海外の人たちの反応は“賛否両論”
スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーもコメント
永遠の癒し系×アトラクション・ホラー『Winnie-the-Pooh: Blood and Honey』が、邦題を『プー あくまのくまさん』として2023年6月23日(金)より全国公開されることが決定し、日本版特報とティザービジュアルが解禁されました。そこにはあの「スタジオジブリ」の代表取締役で数々のジブリ映画を手掛けた鈴木敏夫プロデューサーの「こんなプーさん、見たくなかった。」というコメントが掲載されていました。まさにその通りだと思います。
日本語版公式サイトで「永遠の癒し系×アトラクション・ホラー、ついに日本上陸!」というキャッチコピーが付けられた本作『プーあくまのくまさん』は世界ではどんな反応が示されているのでしょうか?
世界的ECサイト「アマゾン」が運営する映画やドラマなどの批評が掲載される「IMDb」には本作『プーあくまのくまさん』をすでに鑑賞したファンたちからそのレビュー(批評・感想)が寄せられています。そこには本作『プーあくまのくまさん』について“賛否両論”の声が集まっています。その一部を紹介します。
「リース・フレイク=ウォーターフィールドに二度と映画監督をやらせてはいけない。この映画のすべての側面が恐ろしい」「この映画は、ジョークに徹することで成功した。80年代のスラッシャーブームを風刺したような作品」「ホラーに政治を持ち込むな!この映画で《子供時代が台無しになる》と思うなら、見なければいいだけ。笑って楽しく過ごせる楽しい映画」「脚本は空っぽで、ナンセンスな台詞と支離滅裂なアクションに満ちている」
日本でも、本作『プーあくまのくまさん』を観たホラー映画ファンやディズニーファンから様々な賛否の声が多く上がりそうですね。
日本配給は「アルバトロス・フィルム」
「超B級映画」のパニック映画やホラー映画を多く配給
本作『プーあくまのくまさん』は世界的人気の児童小説『くまのプーさん』の主人公・プーさんを、殺人鬼として描いた問題作品です。そんな問題作品を買い付け、日本で公開しようと試みたのが独立系の映画配給会社「ニューセレクト」社のレーベル「アルバトロス・フィルム」です。
「アルバトロス・フィルム」といえば、「超B級映画」のパニック映画やホラー映画など配給し、公開・DVD化することで有名です。イギリス映画『えびボクサー』(2003年公開)や『シャークネード』シリーズなどが一部で人気を得ています。その一方で、現在公開中のフランス映画『ウィ、シェフ!』(2023年5月5日から公開)やドキュメンタリー映画『世界のはしっこ、ちいさな教室』(2023年7月21日より公開予定)など感動を呼ぶ作品も配給しています。
日本映画界では“異色の存在”である「アルバトロス・フィルム」の名を一躍有名にしたのが2001年公開のフランス映画『アメリ』です。人との接し方が苦手な、空想好きのパリジェンヌ・アメリが自分の殻から飛び出して、ささやかな人助けや恋を成就させるために奮闘する物語は日本でも人気を博しました。また、「アカデミー賞」や「ゴールデングローブ賞」で「外国語映画」部門でノミネートされたり、多数の賞を受賞したりした名作です。
そのアルバトロス・フィルムが目を付けた本作、ホラー映画『プーあくまのくまさん』は日本でも話題になること必至でしょう。
スタッフ&キャスト一覧
《作品情報》
原題:『Winnie – the – Pooh : Blood and Honey』
監督・脚本・編集・製作:リース・フレイク=ウォーターフィールド
製作:スコット・ジェフリー
音楽:アンドリュー・スコット・ベル
製作総指揮:スチュアート・オルソン/ニコール・ホランド
撮影:ヴィンス・ナイト
出演:マリア・テイラー(マリア)/ニコライ・レオン(クリストファー・ロビン)/クレイグ・デヴィッド・ダウセット(プー)/クリストファー・コーデル(ピグレット)/アンバー・ドイグ・ソー(アリス)ほか
製作国:イギリス
製作年:2023年
ジャンル:ホラー
上映時間:84分
字幕:中沢志乃
宣伝:エクストリーム
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム