「フランケンシュタイン」100年以上前の初映画化版とその影響

ホラー映画の人気キャラクター、フランケンシュタイン。フランケンシュタインという名前は、1931年の映画『フランケンシュタイン』によって世界的に知られるようになりました。もともとは、フランケンシュタイン博士によって作られた「怪物」ということで特に名前は付けられていませんでしたが、1931年に公開されたホラー映画の古典『フランケンシュタイン』があまりにも有名になってしまったため、モンスターの名前として親しまれるようになりました。しかし、その前にもフランケンシュタインの物語は映画化されていました。この記事では、その歴史と影響について詳しく探ることにします。

名作に先立つこと20年…失われた「フランケンシュタイン」初映画化のフィルムが発見

『フランケンシュタイン(frankenstein)』はもともと、メアリー・シェリーによって1818年に書かれた怪奇小説です。『フランケンシュタイン』は、映画の歴史の中で何度も映画化されてきました。その中でも、この13分間のフィルムは1910年に撮影されたもので、映画が発明された1895年からわずかに15年後、これが初めて映画化になるそうです。このフィルムは1970年代に発見されたもので、近年アメリカ議会図書館によって保存・修復されて公開されているものです。 すでに著作権は消滅しており、議会図書館のサイトでは直接動画をダウンロードすることもできます。 https://www.loc.gov/item/2017600664/

エジソン・スタジオとフランケンシュタインの関係

映画を発明したフランスのリュミエール兄弟とほぼ同時期に映写機を発明していたのはかの有名なアメリカの発明家、トーマス・エジソン。彼の名を冠した「エジソン・スタジオ」は映画が発明されて間もないころから劇映画の制作に乗り出し、「最初の物語映画」と呼ばれている『大列車強盗』を1903年に制作。すでに人気小説であった『フランケンシュタイン』もエジソン・スタジオで初めて映画化されました。

フランケンシュタインの独創的なモンスター・デザイン

フランケンシュタインの怪物といえば、あのおでこが広くて首にネジが刺さっているおなじみの風貌をイメージする方がほとんどだと思いますが、あれは1931年にユニバーサル映画が再映画化した際に初めて考案されたものです。フランケンシュタインの怪物を演じた大男の俳優・ボリス・カーロフは怪物役が一番の当たり役となり、あの特徴的なデザインが世界中で定着しました。多くの人々が1931年のユニバーサル映画版のフランケンシュタインの怪物のデザインを知っていますが、1910年のエジソン・スタジオ版では異なるデザインが採用されていました。では1910年のエジソン・スタジオ版のデザインはというと、パッと見ただけではただ汚い格好をした人にしか見えないのですが、これはこれで細かい設定が込められているようです。四角いおでこのデザインだけはどちらにも共通しているのが面白いですね。怪物の誕生場面では、大きな釜に博士が魔法をかけているような描写もあり、現在のイメージと異なる場面がかえって印象的なものになっています。

フランケンシュタインの映画化の歴史と文化的影響

『フランケンシュタイン』の物語は、その後も様々な映画で取り上げられてきました。ジェイムズ・ホエールが監督、コリン・クライブが主演を務めた1931年のユニバーサル映画版は特に有名で、その後のホラー映画に多大な影響を与えました。しかし、それ以前の1910年のエジソン・スタジオ版も、映画史において重要な位置を占めています。『フランケンシュタイン』の映画化は、ホラージャンルだけでなく、ポップカルチャーにも大きな影響を与えた存在と言えるでしょう。

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