ミュージカル映画おすすめ『ディア・エヴァン・ハンセン』

今回ご紹介する『ディア・エヴァン・ハンセン』は、舞台でも人気を博した作品ですがミュージカル版を知らない洋画好きでも楽しめるのか? そこんところをレビューを含めてご紹介できればと思います! それでは始めましょう。

誰しもが悩み誰しもが経験しうる観る人すべてへ考える時間を贈るミュージカル映画

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【あらすじ】『ディア・エヴァン・ハンセン』(親愛なるエヴァン・ハンセンへ)

 エヴァン(ベン・プラット)は母親のハイディ(ジュリアン・ムーア)と2人で暮らす普通の高校生。しかし、彼の悩みというか不安のタネは日常そのもの。学校で主に彼と話してくれる人は、親同士が仲が良いジャレッドのみ。そんなエヴァンだったが、心から好きな人ゾーイ(ケイトリン・デヴァー)の存在は大きく、見かけるたびに癒されていた。
 そんなある日、宿題で自分自身への手紙「Dear Evan Hansen」(親愛なるエヴァン・ハンセンへ)を書いていたエヴァンは、そこにゾーイへの感情についてや、自分の居場所はどこなのかという思いを書き出し、提出のためにプリント。早速、プリンターへ手紙を取りに行くとそこには1人の青年が。彼の名前はコナー(コルトン・ライアン)。ほとんど話したことのない生徒だったが、エヴァンがケガをした際にまいた真っ白なギプスをみて名前を書いてくれることに。思いがけない出来事に少し喜ぶエヴァンだったが、彼の手紙をふと見たコナーは怒ってしまい、その手紙を持ち去ってしまう。
 必死にSNS上でアップされていないか探すエヴァンだったが、後日知らされたのはコナーの訃報。困惑するエヴァンをさらに追い詰めたのはコナーの両親からの問い、「この手紙、あなたへのものだと思うけど仲が良かったのね。あの子に友達がいたなんて…。」。泣き崩れそうなコナーの両親を見たエヴァンは、本当のことを言い出せずにまったく知らないはずのコナーの友人としてふるまってしまう。相手を思ってついた優しい嘘だったが、この嘘をきっかけに思いもよらない出来事がエヴァンの周りで次々と起きていく……。

『グレイテスト・ショーマン』『ラ・ラ・ランド』の音楽スタッフ×チョボスキー監督=間違いない!

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【予告編】昨今のミュージカル映画を彩る制作陣が贈るのは感動と優しさ

洋画好きも『ディア・エヴァン・ハンセン』を楽しめるのか?答えはYES!

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ジュリアン・ムーア、エイミー・アダムスなど洋画ファンおなじみのキャストも登場

 エヴァンの母親ハイディ役を演じたのは、なんとジュリアン・ムーア。彼女はいわずと知れた名女優。洋画が好きな人ならすでに知っている方かと思いますが、本作での歌唱シーンにびっくり。ミュージカル映画なので、歌唱シーンがあることには驚かないのですが、女手1つでエヴァンを育ててきたハイディとしての思いや言葉が、ジュリアン・ムーアの力強い歌声とマッチしていて、本当にびっくりしました。ハリウッドの方々は本当に演技もうまくて歌もうまくて(裏での努力ありきかと思いますが)、毎回驚かされます。ハイディ役、ジュリアン・ムーアでよかったです。
 そして、彼女の存在もはずせません。コナーの母親シンシア役として登場するのが、エイミー・アダムス。彼女は『魔法にかけられて』(続編も待機しているので楽しみですね!)で登場した際にステキな歌声を披露していますし、知っている方も多いかと思います。しかし、本作では優しい母親像の象徴とも言うべき役割で登場。優しいほほえみ、優しい言葉、ここまで優しい母親像が似合う俳優も珍しいのではないでしょうか。
 本作は「ミュージカル」シーンのみならず家族ドラマもしっかりしているので、女手1つで真摯に愛情をそそぐハイディ、そして優しく包み込むような愛情をそそぐシンシア。一見対照的なような2人の母親像の描きかたにも注目です。

【レビュー】子供も大人も観た人すべてへ訴えかけるミュージカル映画

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人との関わり方や家族との接し方など、本作は“道徳”の授業でも使用できそう

 本作を鑑賞して思ったこと、それは今までどのくらいの人を傷つけてきたんだろう。ということでした。優しさって難しいですよね。相手を思っての優しさでも時と場合によっては、このうえなく傷をつけてしまうこともあります。
 本作で描かれているエヴァンもその1人で、はじめは相手を傷つけたくないの一心で嘘をついてしまいます。けれど、それがどんどん大きく、どんどんと色々な人を巻き込んでいってしまうという。こういう予期しない出来事って本当に悪気がなくても起きるときは起きるので難しいですよね。
 昨今ではSNSが普及したことによって、今までよりも実際にとれるコミュニケーションは友人関係はもちろん家族間ですら減っているかと思います。その中で悪口や誹謗中傷が取り上げられているのもうなづけます。文言だけだとやっぱり「伝える手段」としては足りないかと思いますし、実際に口でいうとそこまでとげのない言葉も、文字だけで見ると伝わり方も変わったり。
 さて、かなり話がそれましたが、コミュニケーションが多様化した今の時代だからこそ、若い世代、大人の世代問わず本作をみて、それぞれ考える機会ができるといいかなと思います。
 映画は自分とは違う人生が垣間見えて、その感情や経験を自分の人生に活かせる素晴らしいものかと思いますので、ぜひこの機会に「考える時間」を『ディア・エヴァン・ハンセン』を観てとっていただけると幸いです。

★★★11月26日(金)より全国ロードショー★★★

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ディア・エヴァン・ハンセン

【監督】スティーヴン・チョボスキー
【脚本】スティーヴン・レヴェンソン
【楽曲】ベンジ・パセック&ジャスティン・ポール
【出演】ベン・プラット/エイミー・アダムス/ジュリアン・ムーア/ケイトリン・デヴァー/アマンドラ・ステンバーグ/ニック・ドダニ/ダニー・ピノ ほか
【原題】DEAR EVAN HANSEN
【配給】東宝東和
 

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(情報は記事公開時点の内容です)

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