■このコーナーでは、小説やコミックを映像化した作品の放送情報を紹介。ドラマや映画を見てから原作を読んで、より詳細な心理描写や物語の背景を楽しんでもよし、先に原作を読んで、思い描いた世界が目の前に広がるのを楽しんでもよし。自分好みに物語を2度味わえる作品たちはこちら!■
直木賞作家・佐藤正午の同名傑作小説を映画化した『鳩の撃退法』は、監督から見る者への挑戦状であるかのような作品だ。もちろん前提として全体が創作なのだ(ろう)が、見終えたあとにはそれさえも疑ってしまうような、現実と虚構の入り混じったストーリーとなっている。初見で「そうなったのか。」と素直に受け止める楽しみ方もあるが、「あの時あれはどうなっていたっけ!?」と気になる人は、2度目に見ると「なるほど…。待てよ、それならあそこはどうなるんだ!?」と何度も見たくなる、沼映画なのだ。映画館へ何度も通って見るのは大変だが…安心して欲しい。4月2日13時からWOWOWプライムでテレビ放送されるからだ。WOWOWシネマでの放送も含めると4月だけで4回放送があるので、思う存分、沼にハマってOKだ!
夢枕獏・京極夏彦・奥泉光・筒井康隆らが絶賛した原作
『月の満ち欠け』で第157回直木賞を受賞した著者・佐藤正午が「墓碑銘にしたい」と語るほどの自信作。本作は、夢枕獏、京極夏彦、奥泉光、筒井康隆ら選考委員から圧倒的な評価を受け、第6回山田風太郎賞を受賞した。映画を見るときっと思うはずだ。「原作小説でこのストーリーがどうやって描かれているのか?」と。もしあなたがかつてない読書体験を求めるなら、これを読まない選択肢はない!
謎解きの快感のあとに、自分なりの結末を見つける楽しみが待つ
劇中、とある本の帯が話題にのぼる。そこに書かれていた文章に対して作家である主人公の津田が、“作家は悲劇の登場人物を幸せにすることができる”という意味の台詞を言う。そして後日「作家が書いちゃいけないことって何だ?」と。そのあたりから、「鳩って何?」「偽札をどうした?」「失踪者の行方は?」など様々な謎が浮上する。映像として解答のようなシーンが出ては来るので、それで一旦は腑に落ちる。しかし、見終えた後に「本当にそれが起こったことなのか、津田の創作なのか?」と疑問が湧いてくる。原作著者や監督は解答を持っているのかもしれないが、見る者それぞれの現実と虚構の線引きがあってもいいのではないかと思う。「見る者がしちゃいけない解釈って何だ?」と、挑戦を受けて立つのも楽しい。
その小説は、どこまでが現実なのか?
かつて直木賞も受賞した作家・津田伸一は、小さな街で送迎ドライバーとしてその日暮らしをしていた。ある日、馴染みの古書店の老人の形見のカバンを受け取ると、中には数冊の絵本とともに3千枚を超える一万円札が。ところが最初に使った1枚が偽札であると判明。警察ばかりでなく、街で起きる騒ぎに必ず関わる裏社会の“あのひと”も、その件に目を光らせているという。一方その街では、津田が以前カフェで知り合った本好きな男性が、一家で失踪してしまう事件も発生していた。偽札と失踪事件の関わりは?津田が書く新作小説は、いったいどこまでが現実でどこまでがフィクションなのか!?
放送情報
鳩の撃退法
放送局:WOWOWプライム
放送日:2022年4月2日(土)
放送時間:午後1:00~3:15
再放送:7日 (木) ※WOWOWシネマでは2日 (土) ・10日 (日)
制作年国:2021年 日本
監督:タカハタ秀太
出演:藤原竜也、土屋太鳳、風間俊介、西野七瀬、豊川悦司 ほか