戸田奈津子のスターこのひとこと:Pick Up Movie『チア・アップ!』
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チア・アップ!

2020年7月3日(金)新宿ピカデリー他全国ロードショー
配給:クロックワークス、アルバトロス・フィルム

【STORY】隣人のシェリルに昔の夢を話したマーサ。しかし、「夢を叶えるのは今からでも遅くない」と焚き付けられ、チアリーディング・クラブを結成することに…。

 このコーナーでは、字幕翻訳家の戸田奈津子さんが最新映画のセリフから、「生きた英語」を学ぶヒントをピックアップしていきます。

 余生を心置きなく暮らそうと高齢者居住区に引っ越したマーサ。早速、若い頃からの夢だったチアリーダーを経験するべく、チアリーディングのクラブを結成するが……。この後の展開は、挫折しながらも注目を集める大会にチャレンジという、よくある青春物語と同じ。年はとっても若者に負けないくらいに熱く頑張っている姿は微笑ましいし、ちゃんとリズムに乗って踊っていてお元気なのにはびっくり。見習わなくてはいけませんねぇ(笑)。そんなおばあちゃんばかりのチームに協力するのが、マーサの隣人シェリルの甥ベン。彼の存在が、物語にアクセントを添えています。
 ピックアップはベンがマーサに打ち明けるセリフから。

ベン:They all think I’m a weirdo.

ぼく、皆にキモイ奴と思われてるんだ。

<a weirdo>は、形容詞の<weird(変な)>に<o>をつけて名詞にしたもの。発音は<ウィアドゥ>。じつはベンは運転ができないことから仲間はずれにされていた。そんな甥っ子を心配したシェリルは、マーサにチアのチームメンバーになるのを条件に、ベンに運転を教えてほしいと迫る。

シェリル:That’s the deal. Take it or leave it.

それが条件よ。受けるか、断るか。

<Take it or leave it.>は、最終決断を迫る時に言うフレーズで、日常会話でしょっちゅう使われています。例えば値段交渉の時、相手のセリフは「This is the final price. Take it or leave it(. これがギリギリの値段だよ。さぁ、買うか、買わないか)」。また、友人との間でも、「I’ll never ask you again. Take it or leave it.(もう、二度と頼まないからね。受けるか、断るか。)」。「イヤなら、やめてもいいんだよ」と決断を迫る意味が込められています。
 マーサがベンに、「免許を取ったら最初に何をするの?」とたずねた後のセリフにも注目。

マーサ:Got any hot dates planned?

ホットなデートでも?

<hot>をつけると、ただのデートよりも強烈で、意味深な意味に。「How was your hot date last night? (ゆうべのホットデート、どうだった?)」と聞けば意味深で、ちょっとからかう気持ちも込められています。<hot>は、「熱い」「辛い」などの他にも<hot news=最新ニュース>、<a hot item=人気商品>、<a hot Johnny Depp fan=熱烈なジョニー・デップのファン>などさまざまに応用できる、文字どおり“ホットな”形容詞です。
 マーサを演じるのはダイアン・キートン。本作も70歳を過ぎた自分にフィットした企画を自ら製作。さすが大物女優、パワフルです。ダイアンと言えば、『アニー・ホール』(’77年)でアカデミー賞主演女優賞を受賞して以来<ウディ・アレン監督のミューズ>として有名。私としては、フランシス・フォード・コッポラ監督の「ゴッド・ファーザー」シリーズでアル・パチーノ演じるドン・コルレオーネの妻ケイを演じていた姿も思い出します。じつは、数年前にコッポラ監督の奥様エレノアさんと金沢や京都を旅した時に、「ダイアンに“ケイはあなたをイメージして演じたのよ”と言われたわ」と聞いて、納得した覚えがあります。そう、エレノアさんも、長年にわたり天才・コッポラ監督を献身的に支えてきた賢夫人ですからね。そういえば、昨年の夏休みはコッポラ・ファミリーの所有するナパバレーにお泊まり。見渡す限りの広大な土地の中には、ワイナリーだけでなく、撮影も編集も録音もすべてできる立派なスタジオがあるのです。となれば、もしかして自粛期間中に関係なく、今頃せっせと映画を作っているかもしれませんねぇ。なにしろコッポラ・ファミリーはご夫妻も娘のソフィアも息子のロマンも、孫のジアだって映像作家なのですから。

エレノア・コッポラが自らの人生の一辺を反映させた長編映画監督デビュー作

ボンジュール、アン』より

映画プロデューサーの妻アンが、ひょんなことから夫マイケルの友人とカンヌからパリに小旅行。その途中で50代になった人生を振りかえる物語。

Michael and I never played hooky for the afternoon.

マイケルと一緒だと、午後、仕事をサボったことなんて、一度もないわ。
Point

<play hooky>は「サボる」の意味。例えば、「I don’t feel like working today. Let’s play hooky!(今日は、仕事する気になれないから、サボっちゃお!)」なんて、皆さんもよく思うでしょ。

(情報は記事公開時点の内容です)

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