映画『恋する寄生虫』林遣都×小松菜奈｜寄生虫が2人の恋を操作する？

映画『恋する寄生虫』は林遣都と小松菜奈のW主演でおくる切ないラブストーリー。孤独に生きてきた2人は恋仲になるが、それは脳にすみ着いた寄生虫の仕業で―？ 三秋縋の同名小説をもとに映画化した本作は2021年11月12日（金）公開。

映画『恋する寄生虫』あらすじ

恋心は寄生虫の仕業？異色のラブストーリー

幼い頃両親が自殺し、1人孤独に生きてきた高坂は極度の潔癖症だ。世界が自分を拒み続けていると思い、未来への希望もなく自室に引きこもって過ごしていた。そんなある日、高坂は謎の男・和泉から依頼を受けて、視線恐怖症の女子高生・佐薙ひじりと出会う。2人は惹かれ合い恋に落ちていくのだが、そこには“寄生虫”の存在が影響していた――。孤独な2人が織りなす切なくも美しい異色のラブストーリー。

林遣都×小松菜奈の儚いラブストーリー

恋をすると寄生虫は成長し、そして…

高坂は極度の潔癖症で、帽子やマスク、手袋などを身に付けた完全防備の恰好でなければ外出ができない。ばい菌が手に付いているという強迫観念に駆られて何回も洗うため、手はボロボロ。8歳の頃に両親がそろって自殺したこともあり、世界が自分を拒んでいると思って孤独に生きている。そして、そんな世界に対して復讐をしようと、並外れたITスキルを活かしてウイルスを自室で開発中だ。
一方の佐薙は視線恐怖症で、幼いころから他人の視線に苦しんで生きている。他人と目を合わせることが苦手で、症状を緩和させるために普段はヘッドフォンをして（聴覚刺激が減ると視線恐怖症が和らぐらしい）過ごしていた。ある日、謎の男・和泉からの依頼で高坂は佐薙と友達になることに。2人は一緒にいると互いの苦しみが穏やかになるようで、一緒に外食をしたり出かけたりして、それぞれが症状の克服に励んでいく。そして、惹かれ合った2人は恋に落ちるのだった。
だが実は、出会ってから間もない2人がこんなにも早く急接近したのには理由があった。それは、“寄生虫”の存在だ。佐薙の頭には恋に寄生する虫がすみ着いていて、高坂に恋をすることで寄生虫は成長していたのだった。加えて、佐薙の視線恐怖症も寄生虫の仕業だという。2人の恋心は寄生虫によって仕組まれたものなのか、それとも人の心によるものなのか―？

本作は、序盤からなんだか暗くミステリアスな雰囲気で物語が進む。タイトルに“恋する”とあるだけに、互いに社会に適応できずに孤独に生きている2人が、一体どういう展開で恋仲になっていくのか？と気になりつつ見入っていた。正直なことを言うと、あまり恋愛ものは得意ではないので、ベタベタなラブストーリーだったらキツイなあと思っていたが、恋愛ものらしからぬダークな雰囲気とミステリーの要素がその苦手意識を払しょくしてくれた。恋愛ものが苦手な方も観てみてはいかがだろうか。

林遣都（高坂賢吾役）
1990年生まれの佐賀県出身。俳優デビュー作品『バッテリー』（2007年）で第31回日本アカデミー賞、第81回キネマ旬報ベストテンのか多くの新人賞を受賞し、注目を集めた。その後『ダイブ!!』（2008年）『風が強く吹いている』（2009年）などに出演。最近では『犬部！』（2021年）『護られなかった者たちへ』（2021年）など話題作へ途絶えることなく出演し、新たな魅力を披露している。私生活では2021年に元AKB48で女優の大島優子と結婚した。

小松菜奈（佐薙ひじり役）
1996年生まれの東京都出身。『渇き。』（2014年）で第38回日本映画アカデミー賞新人俳優賞を受賞し脚光を浴びる。話題作に次々出演し、『沈黙－サイレンス－』（2016）ではハリウッドデビューを果たした。『閉鎖病棟－それぞれの朝－』（2019年）では第43回日本アカデミー賞優秀助演女優賞、『糸』（2020年）では第44回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞している。

原案は三秋縋の同名小説

作風はダークなラブストーリー

三秋縋（みあき すがる）は2ちゃんねる出身の小説家。2013年に『スターティング・オーヴァー』でデビューし、本作の原案となった『恋する寄生虫』は2016年にメディアワークス文庫から発刊された。2018年には少年エースで同作の漫画連載が開始された人気作である。男女の恋を描いた作品が多いが、単なる恋愛作品にとどまらず、どこか切なさや暗さを含んだ作風が特徴。映画『恋する寄生虫』が気に入った方は、ほか作品を手に取るのもおすすめだ。