かつては経済的に余裕があったが、徐々に生活が困窮し始めて、身近にあった物を中古で売ってみれば意外に高値が。それに味をしめて、これが売れるならちょこちょこっといじって作ってもバレないだろうと売りに出す…。昨今のフリマサイトやオークションサイトに関連したニュースを彷彿とさせるこの作品、笑うに笑えないかも⁈
アカデミー賞3部門ノミネートのブラックな問題作
有名人からの手紙を偽造していた女性作家のリー・イスラエルの自伝をもとに映画化したヒューマンドラマ。そこかしこにブラックなユーモアが散りばめられて思わずクスッとしてしまう。監督は『ミニー・ゲッツの秘密』のマリエル・ヘラーがメガホンを取り、第91回アカデミー賞で主演女優賞、助演男優賞、脚色賞の3部門にノミネートを果たした。
自身の著作より偽造した手紙が高値に!
かつてベストセラーだったリーだが、今では落ち目になってアルコールに溺れ、愛猫の病院代も払えない生活を送っていた。なんとかお金を作ろうと自身の著作物を古書店に持ち込んでも店員に冷たくあしらわれる始末。仕方なく、大切な大女優のキャサリン・ヘプバーンからの手紙を古書店に持っていくと、意外にも高額な値段がつく。このことで、セレブの手紙はコレクター相手のビジネスになると味をしめたリーは、古いタイプライターを買って紙を加工し、有名人の手紙を偽造することに。リーは様々な有名人の手紙を偽造しては、友人のジャックと売り歩き始める。
歪んだ性格のキャラクターが面白い
リー・イスラエルを演じるのは2016年の『ゴーストバスターズ』のメリッサ・マッカーシー。一度はジュリアン・ムーアが演じることでプロジェクトが進められていた本作だが、出来上がった作品を見るとマッカーシーでなければ、と思わせてくれる力演を披露。友人のジャックは『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』などに出演するリチャード・E・グラントが扮している。2人ともどこか歪んでいるが人間味のある人物像を体現している。
ある女流作家の罪と罰
[字]2020年6月13日 17:30~19:30