どの世代でも知ってる!? 楽曲も物語も魅力的な名作『天使にラブ・ソングを…』

12月2日に金曜ロードショーにて地上波放送を予定している『天使にラブ・ソングを…』。1992年の作品だが、ここ日本でも何度か地上波で放送され、今やどの世代の方でも知っている、12月のクリスマス・シーズンと言えば的な形で定着しつつある。『天使にラブ・ソングを3』の制作も囁かれているが・・・今回は、92年版の作品解説と挿入曲にも焦点を当てて解説する。

『天使にラブ・ソングを…』とは?

全米で6か月を超えるロングランを記録した大ヒット映画である『天使にラブ・ソングを…』。もとは歌手のベット・ミドラーが出演予定で制作が進行していたらしいが、突如降板。当時、『ゴースト/ニューヨークの幻』に出演し、アカデミー賞やゴールデングローブ賞の助演女優賞を受賞していたウーピー・ゴールドバーグが今作へ興味を持ったことで、彼女主演で脚本が練り直されたとのこと。個人的にはベット・ミドラー主演バージョンも気になるところだが・・・。

兎にも角にも、デロリス役のウーピー・ゴールドバーグという超実力派が加わったことにより完成した『天使にラブ・ソングを…』は、誰もが認める傑作に仕上がり、大ヒットを記録することになる。もちろんここ日本でも大ヒットで、クリスマス・シーズンの定番映画にまでなった。

というわけで、ご存じの方も多いとは思うが、簡単に内容をご紹介。

【あらすじ】

クラブ歌手として活動していたデロリス(ウーピー・ゴールドバーグ)は、とある殺人現場を目撃してしまい、ギャングに命を狙われることに。そこで、デロリスが身を隠したのは修道院。修道院長(マギー・スミス)のもと、規則だらけの縛られた生活を送ることになるが、今までとは真逆の生活に不満を持つ。そんなある日、聖歌隊のリーダーに任命されたデロリスは、本来の職業である歌手としての本領を発揮し、堅苦しい修道院に変革をもたらすことに。

日本人にとっては、クラブ歌手、修道院、聖歌隊など、正直馴染みのない文化ばかりではあるが、絶対にミスマッチでしょと思うレベルの修道院・聖歌隊とデロリス(修道院ではシスター・メアリー・クラレンスと名乗る)が徐々に歩み寄っていき・・・という王道の展開は、何度も観てもワクワクさせられる。

また、脇役の魅力もこの映画には欠かせない存在。修道院長を演じるマギー・スミスは、映画『ハリー・ポッター』シリーズでミネルバ・マクゴナガル役を演じたことでも知られ、母国イギリスでは高い人気を誇る。そんな彼女が演じる修道院長は非常に厳格であり愛情深いという難しい役どころだが、完全にハマり役である。

また、聖歌隊のシスターたちもいい味を出している。ウェンディ・マッケナ演じるメアリー・ロバートは内気だが、デロリスのことを慕い、デロリス指導のもと徐々にその才能を開花させて魅惑の歌声を披露していくし、キャシー・ナジミー演じるメアリー・パトリックはとにかく明るいムードメーカ的存在。そんな個性的なキャラクターの存在もこの映画の魅力を大いに引き出している。

ちなみに、この映画は1993年に続編となる『天使にラブ・ソングを2』が公開。そして、なんと『天使にラブ・ソングを3』の制作も噂されており、続報が非常に待ち遠しい。

劇中歌で気になる音楽はいったい・・・?

言わずもがなだが、今作は「歌」がメインテーマであり、作中では讃美歌はもちろん、60年代のアメリカでヒットした曲が多く使用されている。デロリスがクラブ歌手時代に歌ったものも含めて紹介。

【劇中歌として使用されている楽曲の一部】

メアリー・ウェルズ(Mary Wells)「My Guy」

C+Cミュージック・ファクトリー(C&C Music Factory)「Just A Touch Of Love」

エタ・ジェイムズ(Etta James)「Roll With Me Henry」

マーサ&ザ・ヴァンデラス(Martha Reeves & The Vandellas)「(Love Is Like A)Heat Wave」

ペギー・マーチ(Peggy March)「I Will Follow Him」

レディ・ソウル(Lady Soul)「If My Sister’s in TroubleShout」

讃美歌「Hail Holy Queen/ Salve Regina」

この記事では「My Guy」をピックアップさせていただくが、メアリー・ウェルズが歌うこの曲は、彼女の最大のヒット曲であり、リリースしたモータウン・レコーズにとっても重要な曲であった。

1959年にアメリカ、デトロイトで設立されたモータウン・レコーズ。スティーヴィー・ワンダー、マーヴィン・ゲイ、ダイアナ・ロス&スプリームス、ジャクソン5、テンプテーションズなど、日本でも広く知られる有名アーティストを輩出したソウル・ミュージックの金字塔的存在でもある。そんなモータウンが創立期にリリースしたヒット曲がこの「My Guy」である。

そういった名曲を作中のデロリスやシスターたちは見事に歌い上げている。この曲を使用しているといったポイントを一つとっても、制作スタッフが音楽にかける情熱は十二分に伝わってくるだろう。

ちなみに音楽担当はマーク・シャイマンで、ベット・ミドラーとの仕事でも知られ、ミュージカル『ヘアスプレー』でトニー賞とグラミー賞を受賞している大御所だ。

この映画が素晴らしいことはもちろんだが、ぜひ音楽の方にも目を向けてみて、古き良きソウル・ミュージックに触れてみるのもまた一興ではないだろうか。

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