名脇役!『ホーム・アローン』で“どろぼう”を演じたキャストたち

世代を超えて愛されるクリスマスの定番映画『ホーム・アローン』シリーズ。どろぼうたちを主人公の男の子がバリエーション豊かな罠(いたずら)を駆使して撃退するのが人気のコメディ作品だ。そんなシリーズの人気を支える存在に、罠を仕掛けられる“どろぼう”たちがある。今回は、名脇役と呼ぶにふさわしいどろぼうたちを演じたキャストの情報とともに紹介していく。

そもそも『ホーム・アローン』って?

クリスマスムービーの定番となった90年代アメリカンコメディ

家族旅行の日にうっかり置いていかれてしまい、家に一人残されたケビン(8歳)と、その隙を狙って侵入しようするどろぼうたちとの攻防を描いたコメディ作品『ホーム・アローン』。
1990年にアメリカで公開された作品だが、物語の時期がクリスマス休暇ということもあり、長年経ったいまでもクリスマス映画の定番として名高い作品だ。

人気の秘訣は何といっても、ケビンがどろぼう相手に仕掛ける罠の数々。
はっきり言って容赦がないものばかりだが、それを食らうどろぼうたちのやられ具合を面白いし、何より日用品を工夫したアイディアがすごい。
また、当初は家族がいないことに喜ぶケビンが、最終的には家族がいることの安心感や温かみに気づくなど、少年の成長映画として親子で見やすいのも、世の中に受け入れられた理由の一つだろう。

アメリカのみならず世界的な大ヒットを記録し、全世界での興行収入は4億ドル以上と言われている。
日本では1991年に公開され、34億円以上(サイトによっては57億円以上)に達したとも言われるほど。
後述するマコーレー・カルキンがスターダムを駆け上がるきっかけとなり、続編となる『ホーム・アローン2』が制作されるほどの人気作となった。

監督はクリス・コロンバス。
『グレムリン』『グーニーズ』などのスピルバーグ監督作品で脚本を務め、自身の監督作としては『ミセス・ダウト』『ハリー・ポッターと賢者の石』などファミリー向け作品が多い。

どろぼうコンビ「ハリーとマーヴ」が2作連続で登場

シリーズ人気に一役買ったジョー・ペシ&ダニエル・スターン

記念すべきシリーズ1作目『ホーム・アローン』と、その続編『ホーム・アローン2』に登場したどろぼうコンビ「ハリーとマーヴ」。
シリーズの人気を確かなものとしたと言っても過言ではないこのコンビを担当したのは、ジョー・ペシ&ダニエル・スターンだ。
彼らは2人とも出演時点で確かなキャリアを持っていた人物で、その演技力の高さがハリーとマーヴのコミカルなコンビネーションにつながっている。

マーヴを引っ張る司令塔役のハリーを演じたジョー・ペシは、マーティン・スコセッシ監督「グッドフェローズ」でマフィアの構成員を演じたことで知られていた俳優。
同作でアカデミー賞助演男優賞を受賞している実力派だ。
その実績もあってイタリアンマフィアの役を演じるイメージがあったが、本作『ホーム・アローン』や『リーサル・ウェポン』シリーズのレオ・ゲッツ役でコメディセンスも光らせるなど、演技の幅が広い役者なのである。
1998年の『リーサル・ウェポン4』以降はしばらく映画への出演がなく、2006年のロバート・デ・ニーロ監督作『グッド・シェパード』で銀幕復帰を果たすも、2010年を機に再び映画界から遠ざかった。
しかし、2019年にマーティン・スコセッシ監督『アイリッシュマン』でスクリーンにカムバックし、アカデミー賞助演男優賞・ゴールデングローブ賞助演男優賞・英国アカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、その確かな実力を再び世に示した。
なお、マーティン・スコセッシ監督作品に出演するのは、1995年『カジノ』以来となる。

一方、ハリーの命令に従う間抜けなどろぼうのマーヴを演じたのは、ダニエル・スターン。
元々は舞台で活動していた人物だが、そこでの活躍が映画監督でプロデューサーのピーター・イェーツの目に留まり、同氏が監督を務めた『ヤング・ゼネレーション』で銀幕デビューを果たした。
その後もウディ・アレン監督やティム・バートン監督作品に出演するなど着々とキャリアを重ね、『ホーム・アローン』で一躍知名度と人気を得ることになる。
賞レースこそ縁はないものの、コンスタントに映画出演をしているだけでなく、NHKでも放送されたアメリカの青春ドラマ『素晴らしき日々』や『ザ・シンプソンズ』で声の出演・ナレーションを務めるなど、幅広く活躍する多彩な俳優なのだ。

【補足】マコーレー・カルキンについて

ここまではどろぼうコンビを紹介してきたが、『ホーム・アローン』と聞くと、やはりマコーレー・カルキンを連想する人が多いのではないだろうか。
当時10歳にして主演を務めたマコーレーは、本作をきっかけに、世界一有名な子役として知られるようになった。
その後、『ホーム・アローン2』でも主演を務め、こちらも世界的な大ヒット。
子役としては破格のギャラが支払われる“ドル箱子役”としてスターダムを駆け上がっていく。
しかし、マコーレーの態度の問題で1994年後半からは仕事が減っていき、1996年にはマコーレーが稼いだお金を巡る両親の裁判をきっかけに俳優活動を停止。
1997年に裁判が決着するも、この頃にはマコーレー自身が10代にしてアルコール依存症に陥っていたこと、一連の騒動から普通の学生生活を送りたくなったことを理由に、俳優業を引退した。
以降、舞台やミュージックビデオに出演することはあったが、2003年の映画『パーティー・モンスター』で俳優として本格復帰…したのだが、それも束の間、翌年には規制薬物所持で逮捕されてしまう。
2012年~2016年は「ピザ・アンダーグラウンド」というバンド活動に勤しみ、2016年に俳優活動を再開。
2018年のクリスマスには、GoogleアシスタントのCMで28年ぶりに『ホーム・アローン』の主人公・ケビンを演じ、大きな話題を呼んでいる。

『ホーム・アローン』で天才子役として名をはせたマコーレーだが、その後は様々な問題で姿を消していってしまった。
だが、2018年のGoogleのCMが話題となったことを考えると、『ホーム・アローン』の人気、そしてマコーレー自身の話題性は今なお衰えていないのだろう。

実は『ホーム・アローン4』にもマーヴは登場

『ホーム・アローン2』の続編だがキャストは変更に…

2002年にアメリカのテレビムービーとして放映された『ホーム・アローン4』は、『ホーム・アローン2』から10年後が舞台。
10代後半になったケビンとどろぼうたちの攻防が再び描かれる。
ただし、10年経ったことや、そのときのマコーレー・カルキンは前述の通り俳優活動をしていなかったため、『ホーム・アローン4』ではケビンをはじめ、キャストが代わっている。(ケビン役はマイク・ワインバーグという人物)
マーヴもダニエル・スターンからフレンチ・ステュアートに代わっており、ハリーに至ってはマーヴと縁を切ったという理由で登場すらしない。
『ホーム・アローン』『ホーム・アローン2』の正統続編ではあるものの、あのコンビが好きな人にとっては、少々残念なキャスト変更となってしまった。
なお、もちろん『ホーム・アローン3』も存在するが、他のシリーズ作品とは関係がなく、どろぼう含めて登場人物たちも一新されているので、作品間のつながりは特にない。

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