映画『ザ・ホエール』(2023年4月7日公開)は主演ブレンダン・フレイザー、監督ダーレン・アロノフスキーで第95回アカデミー賞2部門受賞した話題作。本作のあらすじ・キャスト情報を紹介します。
死期を悟った体重272キロの男が決意した“最期の5日間”
注目映画『ザ・ホエール』のイントロダクション
本作『ザ・ホエール』は2012年に初上演された同名舞台を映画化した作品で、2022年12月にアメリカで公開され、2023年4月7日に日本公開の話題作。様々な注目要素が満載で、世界中から注目を集めています。監督は『ブラック・スワン』『レスラー』など数多くの名作を手掛けた“鬼才”ダーレン・アロノフスキーが務め、ワン・シチュエーションの室内劇という様式で映し出しています。主演は「奇跡の復活」を果たした『ハムナプトラ』シリーズのブレンダン・フレイザーが務め、体重272キロの主人公チャーリーを熱演しました。共演は、SFドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』で一躍人気を博したセイディー・シンクが娘エリー役を演じています。また、製作・配給会社にも注目で、“オスカーの常連”と言われ映画業界を席巻しているエンターテイメント企業「A24」が担っています。
ストーリーは、恋人を亡くし引きこもり生活を続けて過度の肥満症になり、余命わずかな孤独な男が疎遠だった娘との絆を取り戻そうとするヒューマン・ドラマ。生きることについての根源的な問いかけをはらみ、緊迫感があふれるストーリー展開は観る者を魅了し、数多くの賞レースにノミネートされました。2023年3月に開催された第95回アカデミー賞では「主演男優賞」と「メイクアップ&ヘアスタイリング賞」の2部門を受賞。オスカー獲得により世界中でますます注目を集めています。
映画『ザ・ホエール』のあらすじ
余命わずかな体重272キロの男が疎遠だった娘へ愛を紡ぐ
大学のオンライン講座でエッセイを教えている40代の教師チャーリー(ブレンダン・フレイザー)は、最愛の恋人アランを亡くしたショック以来、自宅に引きこもって現実から逃避するかのように過食を繰り返して重度の肥満症に陥っていた。歩行器なしでは移動もままならないチャーリーは、アランの妹でたった一人の親友でもある看護師のリズ(ホン・チャウ)の助けを受けながら生活をしていた。入院を勧められるも頑なに拒み続けるチャーリーは“引きこもり生活”を続けていた。
そんなある日、持病が悪化し、余命がわずかだと悟ったチャーリーは、離婚して長らく音信不通だった17歳の娘エリー(セイディー・シンク)と再会。エリーとの絆を取り戻そうと決意するチャーリーだったが、エリーは学校や家庭で多くの問題を抱え、心が荒んでいた…。
映画『ザ・ホエール』主演は『ハムナプトラ』シリーズのブレンダン・フレイザー
第95回アカデミー賞主演男優賞を獲得で「奇跡の復活」
引きこもりを続け、重度の肥満症に陥り体重272キロの巨体になった主人公のチャーリー役をブレンダン・フレイザーが演じています。ブレンダンは『ハムナプトラ』シリーズや『ジャングル・ジョージ』などで世界的名声を得て、ハリウッドスターとして順風満帆な俳優生活を送っていました。しかし、近年はプライベートでの不幸などが重なり、表舞台での活躍は影を潜めていました。
そんな不遇な時間を過ごしていた彼が、本作で体重272キロの余命わずかな孤独な男チャーリーを熱演。ブレンダンの演技には各方面から称賛の声が集まり、ついには第95回アカデミー賞で主演男優賞獲得に至りました。受賞のスピーチでは「居場所を見つけた」と、キャストやスタッフ、関係者に感謝の言葉を重ねました。また、報われずとも頑張っている俳優たちに向け、ブレンダンは「そこにとどまり続け、一歩でも前に進んだら、必要なところへ辿りつきます。勇気をもってください」とエールを送りました。
壇上でオスカー像を掲げ、嬉々としてスピーチをするブレンダンの姿に多くの人は「奇跡の復活」と称賛しました。今後もブレンダンの活躍に期待ですね。
ブレンダン・フレイザーを支えた優秀なスタッフ
第95回アカデミー賞を受賞したメーキャップに注目
本作『ザ・ホエール』は公開前に情報が解禁になり、予告編の動画が流れるとブレンダン演じる体重272キロのチャーリーの巨体が話題になりました。ブレンダンがチャーリーを演じるに際しては、当然のごとく特殊メイクが施されています。しかし、ダーレン・アロノフスキー監督は精神が極限状態であるチャーリーの表情を出すには、通常の分厚いメーキャップでは不可能だと判断します。そこで盟友であるプロセティック・メーキャップ(特殊メイク)アーティストのエイドリアン・モロットに相談をしました。
モロットは本作のためにデジタル技術による特殊メイクを開発。チャーリーと、それを演じるブレンダンの境目が分からないようにし、繊細な顔の表情が出せる3Dモデリングを用いたデジタル・スカルプチャーを作成。長編の映画では史上初となるすべての特殊メイクをデジタル技術で行うことに成功しました。その結果、第95回アカデミー賞で「メイクアップ&ヘアスタイリング賞」を受賞しました。
撮影期間の約40日間、ブレンダンはチャーリーに変身するために毎回4時間を超える特殊メイクを2人がかりで施され、272キロの体型を作るために5人掛かりで特殊スーツを着せられていました。モロットの素晴らしいデジタル技術を用いた特殊メイクをまとい、主演男優賞でオスカーを獲得したブレンダンが演じる巨漢チャーリーの表情や動きにも注目ですね。
映画『ザ・ホエール』を配給したエンターテイメント企業「A24」
第95回アカデミー賞獲得作品に関連する気鋭の集団
本作『ザ・ホエール』を日本で配給するのは「キノフィルムズ」ですが、欧米などでの配給は「A24」が担い、製作にも携わっています。2012年設立の「A24」はニューヨークに拠点を構え、映画やドラマなど多くのエンターテイメント作品に関わってきました。
「A24」の名前が広まったのは主演女優賞など複数の部門でオスカーを受賞した第88回アカデミー賞(2016年)です。その後も毎年のようにアカデミー賞作品に関連してきました。本年度(第95回)アカデミー賞でも、その勢いは変わらず『ザ・ホエール』だけでなく、アカデミー賞7部門を獲得した『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』も配給しています。
すでに多くの映画ファンには馴染みがある「A24」ですが、本作『ザ・ホエール』を観て、今後「A24」が関わる作品に注目する人も増えることでしょう。
映画『ザ・ホエール』見どころを解説
余命わずかな孤独な男の壮絶な“最期の5日間”
本作を観た欧米メディアは「人間味溢れる演技に圧倒される」「生涯最高の演技」「歴史に残る演技」などとブレンダンの演技を絶賛しています。ブレンダンをはじめとしたキャスト、監督やメーキャップ・アーティストらスタッフの努力の結晶が作品を作り上げました。
死期を悟った孤独な男チャーリーが、長年抱えてきたトラウマと向き合うことを決意し、自ら行動を起こす“最期の5日間”を描いたストーリー。これまでの人生で感じてきた喪失と絶望、複雑で多くの重荷を抱えてきた彼が「人生でたった一度だけ正しいことをした」という想い、行動とは…。
また、離婚をして以来の再会となった娘エリーは多感な時期の17歳で、いろいろな問題を抱えています。その上、重度の肥満症で体重272キロの父チャーリーにエリーは複雑な想いを抱きます。チャーリーの願い通り、エリーとの絆は紡げるのでしょうか?
壮絶にして心を震わすヒューマン・ドラマの結末を見届けてください。
映画『ザ・ホエール』のキャスト・スタッフ情報
「奇跡の復活」ブレンダン・フレイザー&“鬼才”ダーレン・アロノフスキーがタッグ
<作品情報>
監督・製作:ダーレン・アロノフスキー
脚本・原作:サミュエル・D・ハンター
公開:2023年4月7日(日本)
上映時間:117分
ジャンル:ヒューマン
出演:ブレンダン・フレイザー/セイディー・シンク/ホン・チャウ/タイ・シンプキンス/サマンサ・モートン/サティア・スリードハランほか