大ヒット本格救命医療ドラマシリーズの劇場版『TOKYO MER～走る緊急救命室～』鈴木亮平が過酷な撮影にも耐え、作品に込めた思いとは

2021年7月期に放送されて大ヒットしたドラマシリーズの劇場版『TOKYO MER～走る緊急救命室～』。オペ室を搭載した大型車両、ERカーで事故や災害現場に駆けつけ、危険を顧みず患者のために戦う救命医療チームを描いている。チーフドクターでありチームのリーダーである喜多見幸太を演じた鈴木亮平が、撮影秘話や作品に込めた思いを語ってくれた。

劇場版製作の一報を受けて

「1人1人は完璧じゃないけれど、みんなで合わさればチームとしては完璧」

　映画化と聞いたときは嬉しかったです。またTOKYO MERメンバーが顔を揃えたときは、ホッとすると同時にパワーが漲りましたね。物語も撮影現場もチームワークが大切な作品なので。

　喜多見はリーダーとしてチームを引っ張っていく役柄です。監督からは「喜多見には新しい理想のリーダー像になってほしい」と言われました。今までのリーダーは部下とぶつかって前進していくというタイプが多かったように思いますが、喜多見はぶつかるよりも柔軟性があって、何がなんでも自分を押し通そうとはしない。それでいてぶれない、というところがカッコいいと思います。

　僕自身はおっちょこちょいで抜けている人間で周りの人たちに助けてもらっています。ただ、喜多見も仕事の能力は長けているけれど、それだけじゃない人間臭いところも劇場版では描かれます。僕も喜多見も人に支えられて、みんなそれぞれが他の人の短所を補い合って、1人1人は完璧じゃないけれど、みんなで合わさればチームとしては完璧。物語上でも実際でも、それがTOKYO MERチームなんです。

すべてがスケールアップした劇場版

「撮影が大変であればあるほど結束力は高まる」

　劇場版にはさらにライバルチームが登場します。リーダーを杏さんが演じているんですが、彼女がいるだけで緊張感が生まれてとても存在感がありました。僕たちはドラマ版で経験していていましたが、急に映画版から入って、過酷な撮影のうえに専門用語のセリフもあるのに、サラッとこなされてて素晴らしかったです。

　劇場版にはジェシーくんも新たにTOKYO MERチームに加わっています。彼は彼で現場に馴染む天才。気づいたら輪の中心にいてダジャレで和ませてくれました(笑)。それと体格の良いジェシーくんがいるので、僕もトレーニングもしてドラマよりもさらに鍛えました。

　出演者も豪華ですけど、劇場版はすべてがスケールアップしています。横浜ランドマークタワーや横浜の街でロケ撮影できたのもそのひとつです。実在する場所を使えたのは贅沢ですし、リアリティが増して緊迫感が伝わったと思います。今回は炎が実際に燃えているシーンもあって、相変わらず撮影は大変なんですが、大変であればあるほど結束力は高まるんですよね。仲（里依紗）さんとの共演シーンも本当に大変で2人でよく乗り越えられたな、と改めて思います。汗だくですすまみれになって極限まで追い込まれました。仲さんがとてもいいお芝居をしてくれて、引っ張って行ってもらえたと思います。

この作品を届けたい人は？

「自分以外の誰かのために一生懸命なすべての人たちの讃歌にしなきゃいけない」

　やっぱり一番見て欲しいところは人と人との絆が描かれているところ。それと、このドラマが作られたのはコロナ禍で大変なときに必死になってくれている方たちの勇気を讃えたいという思いが発端でしたので、今もこの世界のどこかでがんばってくれている医療従事者の方たちに思いを馳せて欲しいです。

　そして、作品を作っていくうちにレスキューの方も警察の方も、それだけじゃなく介護や子育てを含めて自分以外の誰かのために一生懸命なすべての人たちの讃歌にしなきゃいけないという思いが強くなりました。だからがんばっている人たちみんながヒーローだと思いますし、そういう方たち全員に見て頂きたいです。

RYOHEI SUZUKI
1983年3月29日生まれ
2006年俳優デビューし、『椿三十郎』(’07)で映画初出演を果たす。映画『孤狼の血 LEVEL2』(’21)で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞ほか数々の賞を受賞。他の主な出演作にNHK大河ドラマ「西郷どん」(’18)、『燃えよ剣』（’21）『土竜の唄 FINAL』(’21)、『エゴイスト』(’23)など。2024年にNetflix映画「シティーハンター」が全世界配信予定。

Photo：平野司　Text：入江奈々　Styling：徳永貴士(SOT)　Hair&Make：Kaco（ADDICT_CASE）

（情報は公開時点のものです）