
80代を迎えてなお、新たな気持ちで向き合う魅力的な人々と作品に恵まれた第9作
家督を息子に譲り穏やかな隠居生活をおくる前藩主用人がさまざまな事件を解き明かしていく、藤沢周平原作のオリジナル時代劇シリーズ「三屋清左衛門残日録」。 最新第9作「三屋清左衛門残日録 永遠(とわ)の絆」が時代劇専門チャンネルで放送される。 今回は主演の北大路欣也に、まもなくシリーズ放送開始から10年を迎える心境を聞いた。
「役への憧れと私自身の希望が混ざり合って清左衛門の人物像ができています」
最初に「この作品に出ませんか」とお話をいただいた時、清左衛門が私よりもずっと高いところにいるように見えて、とても追いつけないんじゃないか、と思っていました。 なので、私が70歳になるまで待ってほしいとお願いをして、それで始まった作品なんです。 そして今、82歳。 毎年のように撮影現場で清左衛門として過ごす時間があり、「これでようやく少しは追いつけたかな……」と思えるようになりました。
清左衛門は、今でも私にとって憧れの存在です。「この人の魅力をどうにかして体現したい」という気持ちと、「人様に迷惑をかけないように静かな老後を送りたい」という私自身の希望が絡み合いなが
ら、この役ができているような気がしています。
憧れの気持ちは、清左衛門本人に対してもそうですし、藤沢周平先生の世界観にもあります。 伊東四朗さんが演じてくださる佐伯熊太や、周りの人たちがみんな、決して自分本位な人間ではない。根っこのところにいつもやさしい心を持っているのがわかります。 演じながら、清左衛門の考え方や生き方から、たくさんのことを教えてもらって
います。
今作にゲストで出てくださった藤岡弘、さんは「徳川剣豪伝 それからの武蔵」というドラマでご一緒して、すごい迫力の立ち回りをしたのですが、それから30年ぶりにお会いしたのが2024年のことでした。 前作(第8作「三屋清左衛門残日録春を待つこころ」)で息子の藤岡真威人さんとご一緒したときに、お父さんも現場を見に来てくれて、うれしくて抱き合って喜んで……そうしたらなんと、今回はお父さんも出てくださいました。 そういうご縁があるのもシリーズが続いているからですよね。 本当に幸せなことです。
何度同じ役を演じていても、やはり撮影の初日というのはドキドキします。 若い役者さんたちは動きもすごいし、リズムもいい。 「私もこのリズムに合わせたほうがいいのかな」など、いろいろなことを思いながら、今回も新たな気持ちでお仕事をさせていただきました。 私が演じていて感じたように、ご覧になる方も心が洗われるような気持ちになってくれたらうれしいですね。
Photo:平野司 Text:真鍋新一
家族との穏やかな日々を大切に過ごす清左衛門(北大路欣也)。亡き妻の墓参の帰り、小さな墓前に立ち尽くす若い夫婦、結城友助(佐藤流司)と妻・はなえ(山谷花純)に出会う。一年ほど前に幼い息子を亡くし、深い悲しみに沈んでいた。そんな折、藩が倹約令を出す。それは友助、はなえの生活にも暗い影を落とし、やがて二人の身にある事件が起こる。清左衛門がたどり着いた哀しき真相とは―。「日残リテ昏ルルニ未ダ遠シ―」
2025年【出】北大路欣也、優香、佐藤流司、山谷花純、麻生祐未、伊東四朗他
時代劇専門チャンネル 3月7日 後7.00~9.00 再放送=8・22




