『山猫は眠らない8 暗殺者の終幕』の準主役に大抜擢! 秋元才加が語る、ハリウッドの撮影現場
ヘアメイク:中畑薫/スタイリング:加藤万紀子/衣装提供:ブラウス、スカート…MSGM(アオイ)、ピアス、リング……apm MONACO(APM TOKYO 銀座店)

トム・ベレンジャー演じる最強のスナイパーが活躍する戦争アクション『山猫は眠らない』のシリーズの最新作『山猫は眠らない8 暗殺者の終幕』が2020年8月14日(金)に公開予定となった。今回なんといっても注目なのが、先だって発表された秋元才加の出演だ。彼女が演じるのはいったいどんな役なのか? 初めて体験したハリウッド映画の現場はどうだったのか? 新型コロナウイルスでの自粛期間中、ZOOMを使ってインタビューをおこなった。

――このたびはハリウッドデビュー、おめでとうございます。今回はどのような経緯でオファーがあったのでしょうか。

いつか海外の作品に出演できたらいいな、とぼんやり考えていたんですけど、実際に話が決まると意外と実感がなくて(笑)。ハリウッドには日本人も含めてアジア人の俳優が少ないらしくて、今回は物語に日本人が登場するということで「いかがですか」と直接オファーをいただきました。ビデオでオーディションがあって、いただいたスクリプト(セリフ)を言いながらアクションをしている映像を撮ってお送りして、そういうやりとりが3、4回あってから、最終的に「秋元さんでお願いします」ということになりました。

――喜びというよりは驚きという感じですか?

そうですね。うれしいという気持ちはもちろんあったんですよ。でも、ハリウッドは自分のなかでは新世界というか、完全に違うフィールドだったので、「すごく良い役ですよ」と言われて、「あー、そうなんですね…」と言いながらもよくわかってないという(笑)。本当につい最近、出演が正式に発表になって初めて「自分はすごい作品に出ていたんだ」と感じています。最初に家族に知らせたんですけど、私の母も、祖母も強い女性でして、幼少期からスティーヴン・セガールさんの「沈黙」シリーズを観ながら、「あなたも強い女性になって、アクションのできる女優さんになったらいいね」と言われて育ってきたので、その夢がひとつ叶ったのはうれしかったです。

――今回の秋元さんの役どころは、CIAでかつ、ロシアの傭兵、そしてヤクザの訓練を受けた暗殺者「レディ・デス」役です。

盛りだくさんですよね(笑)。「CIAで、ヤクザで…?」って規模感が大きすぎて、最初はまったく想像もできませんでしたが、台本を読んでみて、海外の人が日本人に対して「こうであってほしい」という想いを凝縮した役なんだろう、と思いました。ただ、海外の人が持っているヤクザのイメージと、日本人が持っているそれはやっぱり違うので、そこは撮影現場のカナダで監督と話のすり合わせができたらいいなと。

――役づくりのためにしたことはありますか? 「レディ・デス」の本名は「ユキ・ミフネ」ということで、リスペクト元が大変わかりやすいですね。

「海外の人が求める日本人のイメージってなんだろう?」と思って、海外で人気の高い日本の映画をいくつか観ました。梶芽衣子さんの『修羅雪姫』を観たんですが、梶さんの演じるキャラクターがとてもキリっとされていて、私のなかでかなりイメージがわきましたね。役名について監督には訊きませんでしたけど、きっとそうなんだろうなとは思っていました(笑)。現場では監督とディスカッションをする機会がけっこうあって、撮影の前に「君はこの役をどのように捉えているのか?」と訊かれるんです。日本ではだいたい監督から「こういう役です」と提案をいただいて、そこから始まることが多かったので、今回最初に、「君は何をやりたくて、何をやりたくないんだ?」とハッキリ訊かれたときにはけっこう戸惑いました。

――ハリウッド映画に日本人が出ると聞いて観てみたら、出るのは一瞬だけでした…ということも多いですが、今回は全然違いますからね。

出演が発表されてからも友だちに「どうせすぐ死ぬ役だろ」とか言われたりしたんですけど、ちゃんと活躍します(笑)。ハリウッドの現場は初めてですし、向こうのスタッフさんたちも、誰も私のことを知らない状態だったんですが、撮影のたびに少しずつ出番が増えていって、あの「ミュータント・タートルズ」みたいな赤いメイクも現場であのような形になったんです。「私に演じさせて良かった」と少しでも思っていただけていればいいのですが。

――トム・ベレンジャーさんとの共演はいかがでしたか?

撮影のときはすっかりお父さん役という感じで、そんなにお話はされないんですけど、しっかりとした包容感がありました。実は撮影の前にホテルのエレベーターで偶然お会いして、その時、あまりにも普通に新聞とコーヒーを持って立っておられたんですね。役柄とご本人のギャップというか、役者というものは本来こうあるべきなんだなって、自分的にはとても感激しました。ついこの間、『プラトーン』を拝見したんですけど、私のなかのトム・ベレンジャーさんはすごくやさしくて朗らかな方だったので、まるで別人なんじゃないかと思うくらい驚きました。

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『山猫は眠らない8 暗殺者の終幕』
© 2020 Sony Pictures Worldwide Acquisitions Inc. All Rights Reserved.

――本場のアクション演出はいかがでしたか?

スタント・コーディネーターの方が、アクションがカッコよく見えるように現場で細かくディレクションをしてくださったんです。ブレッド・チャンというフィリピン出身の方だったのも大きかったと思います。「ちょっと失敗したかも」って思ったときも、カットの割り方やカメラの動き方を工夫してパンチが当たっているように見せていたので、そこはハリウッドならではの技でしたね。自分は自分のやるべきことだけをやっていれば、あとは周りがカッコよく見せてくれる、そういう安心感がありました。アクションではブランドン役のチャド・マイケル・コリンズさんとの場面が多くて、そんなにお話はできなかったんですが、お互いに息を合わせて撮影に臨みました。

――そのような現場で、「レディ・デス」役をどのように演じていったのでしょうか。

アクションに関しては、昔ながらの日本を感じさせるというか、日本の武道をしっかり学んだ人の動きにしようと思いました。ちょっとした動きも軽々しくせず、ひとつひとつをしっかりと。監督からは、「チャドのアメリカっぽい、チャカチャカとした動きとの対比をつけたい」と言われていたこともあって、小さなことなんですけど、重心を低くしたり、余計な動きはなるべく排除してお芝居しようと心がけました

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『山猫は眠らない8 暗殺者の終幕』
© 2020 Sony Pictures Worldwide Acquisitions Inc. All Rights Reserved.

――たしかに言葉よりも、身体の動きや視線の強さで語る場面が多かったように思います。

そうですね。目の動きについては撮影中も、「もっと強く! もっと鋭く!」と言われていました。これまで、私の目は少し強すぎるというか、余計なのかなって思うことが多くて。日本ではこの数年、なるべくやさしく見えるように、強く見えないようにと意識して演じていたんです。なので、ここまで目の強さを要求されたことにはとても驚きましたね。

――とはいえ、英語のセリフでビシッと決める場面もお見事でした。

セリフについてはけっこう悩んだんですけど、向こうの方に相談したら、「下手に流暢にしゃべろうとしないで、日本の訛りがほしい」と言われたんですね。「上手くしゃべろうとせずに、一言一言をハッキリしゃべってくれたほうが、誰が観てもわかる英語になるよ」って。果たしてこれでよかったのかどうかという気持ちもあるんですが、そういう意識がありました。バンクーバーの街で歩きながらセリフの練習をしていたんですけど、私のセリフって、「こいつを殺した代償にあいつを…」とか、けっこうヤバいセリフが多かったんですよね(笑)。それをブツブツしゃべりながら歩いていたら、いろんな人に「What!?」って振り向かれて、「あ、これは言っちゃいけないことなんだ!」って、そういうこともありましたね。

――今後演じてみたい役や、作品はありますか?

ハリウッドに関しては、どの役をやりたいっていうのは今のところなくて、チャンスがあればどんな役でもいいから出たいですね。向こうの現場で学んだことを、日本での活動に活かしていきたいです。これは海外・日本問わずですが、強い女性のほかにはレズビアンの女性や、FTM(女性から男性に性別移行を望むトランスジェンダー)の役にも興味がありますね。アメコミを読んでいると、けっこうアジア人のキャラクターが出てくるので、自分がそれを演じられたらと思うこともあります。でも、自分が「あれやりたい、これやりたい」と言うより、私に「こんな役をやらせたら面白いぞ」って、ピックアップしてくれる方に出会うことが多いんです。子供番組から大人向けのアクションまで、知らず知らずのうちに役の幅が広げられたらもっともっと面白くなるだろうなって。今回の作品をいろいろな方に見ていただいて、これがまた新しい仕事のきっかけになればいいなって、すごく思っています。

――最後に、これから映画をご覧になる方にメッセージをお願いします。

今回の新作の発表について、「まだ眠ってないのかよ!」とか、「もうそろそろ眠らせてやれよ!」って言う方が多くて笑ってしまったのですが(笑)、これまでの「山猫」とはまったく違う仕上がりになっていると思うので、ぜひ見比べていただきたいです。アクション映画をまだ見慣れていない人に、「強い女性って、なんかカッコいいかも」「アクションって面白いかも」って思ってもらえればうれしいですね。カーレ・アンドリュース監督が私たちを描いたイラストを映画の公式Twitterで発表して、これも話題になっています。監督はもともとアメコミのアーティストなので、それを踏まえて観ていただくと、「だからこういう作品になったのか!」とわかっていただけると思います。ラストシーンまで見逃せない作品になっていますので、ぜひよろしくお願いいたします。

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秋元才加(あきもと・さやか)
1988年7月26日生まれ。千葉県出身。2006年、AKB48第2期生としてデビューし、チームKのキャプテンを務める。2013年のグループ卒業後は女優として映画、ドラマ、舞台への出演や、スポーツ番組『B.LEAGUEウィークリーハイライト』(BS11)のMC、映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』マンティス役の吹替など幅広く活躍中。

『山猫は眠らない8 暗殺者の終幕』
監督:カーレ・アンドリュース/出演:チャド・マイケル・コリンズ、秋元才加、トム・ベレンジャーほか/8月14日(金)公開

ムービープラス

8月24日(月)「山猫は眠らない」シリーズ一挙放送!
10.00~11.45 山猫は眠らない
11.45~13.30 山猫は眠らない2 狙撃手の掟
13.30~15.15 山猫は眠らない3 訣別の標準
15.15~17.00 山猫は眠らない4 復活の銃弾
17.15~19.00 山猫は眠らない5 反逆の銃痕
19.00~21.00 山猫は眠らない6 裏切りの銃撃
21.00~22.45 山猫は眠らない7 狙撃手の血統

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