手紙にこめた想いが人をつなぐ。岩井俊二が描く時を超えた初恋『ラストレター』

『スワロウテイル』『四月物語』など、時代を巧みに切り取り、叙情的な映像美でさまざまな愛の形を描き出してきた映画監督・岩井俊二。
映画『ラストレター』では、自身の出身地である宮城を舞台に、手紙をきっかけに始まった二つの世代の恋を描いています。
そんな岩井俊二監督の集大成ともいえる本作の見どころを紹介。

あらすじ

裕里(松たか子)の姉・未咲が亡くなった。
裕里は姉の面影を残す姪の鮎美(広瀬すず)から、未咲宛ての同窓会の案内と、未咲が鮎美に残した手紙の存在を告げられる。
未咲の死を伝えるために行ったはずの同窓会で姉と間違われた裕里は、初恋の相手・鏡史郎(福山雅治)と再会。
裕里のことを未咲だと勘違いしたままの鏡史郎から「君にまだずっと恋してるって言ったら信じますか?」というメッセージが届く。
未咲のふりをした裕里と鏡史郎の不思議な文通。
そのうちの手紙のひとつが鮎美に届いてしまったことで、鮎美は鏡史郎(回想:神木隆之介)と未咲(回想:広瀬すず[二役])、そして裕里(回想:森七菜)の学生時代の淡い初恋を辿りだす。

叙情的な物語を彩る俳優陣

これまで叙情的な映像美でさまざまな恋愛の形を描いてきた岩井俊二監督。
本作『ラストレター』では、二つの世代の恋愛と心の再生・成長を映し出しました。
そんな物語を彩るのは話題性・実力ともに十分の俳優陣。
松たか子、福山雅治、中山美穂、豊川悦司らが大人の夢と現実的な恋を生々しい説得力をもって見せ、広瀬すず、森七菜、神木隆之介らが高校生の純情と不安をノスタルジックな爽やかさで表現しています。

岩井俊二監督自身の原体験を詰めた集大成

岩井俊二監督自身の出身地である宮城県を舞台に自信の原体験を詰めこんだ本作。
本作『ラストレター』は岩井監督にとっての集大成的な作品として「SNSでやり取りできてしまうこの時代にあって、手紙を使った物語は現代においては不可能だと思っていましたが、ある日それを可能にするアイディアを思いついてしまったところから、この物語の構想がスタートしました」と語っており、長編映画デビュー作となった『Love Letter』に対するアンサー映画にもなっています。

おわりに

岩井監督の『Love Letter』をかつて見た人をはじめ、あらゆる世代に刺さるヒューマンラブストーリーが展開される本作。
岩井俊二監督が、このSNS時代だからこそ手紙にこめて伝えたかったメッセージとはなんなのか…?
それはぜひ、あなた自身の手で受け取ってみてください。

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