華道の名手、池坊専好を主人公に「生け花」に焦点を当てた映画『花戦さ』。2017年に公開され、第41回日本アカデミー賞では作品賞や監督賞など、なんと計8部門で優秀賞を受賞しました。力でも武器でも話術でもなく、長く日本人の心に息づく生け花で人の心を動かした話題作をご紹介します。
各界のトップが集結して魅せる日本文化
1594年、池坊専好が豊臣秀吉に前田利家邸で披露したといわれる “ 大砂物 ” (全幅7.2メートル、高さ3.5メートルに及ぶ立花)。そこから生まれた伝説に着想を得て、新たにつくられた物語『花戦さ』(鬼塚忠著)を映像化。本作はこれまであまり知られることのなかった初代・池坊専好という花の名手と千利休の友情、そして時の権力者である豊臣秀吉の乱心に花で仇討する…という物語です。
池坊専好を演じるのは狂言界のトップスター・ 野村萬斎、専好と対立する豊臣秀吉は歌舞伎界の若き大看板・市川猿之助が演じます。ジャンルは違えども同じ日本を代表する伝統芸能の継承者が魅せる演技は見もの! 野村萬斎はクランクイン前に華道の指導も受け、ひとつひとつの細かい所作にもこだわる徹底ぶりを見せています。 市川猿之助の顔芸も健在です。
あらすじ
戦乱に荒れ果てた京の都に、花を生けることで世の平穏を祈り、人々に生きる希望を与える “ 池坊 ” と呼ばれる僧侶たちがいた。池坊の中でもひときわ異彩を放つ池坊専好は、千宗易(のちに豊臣秀吉の茶事をつかさどる千利休)に出会う。 2人はしだいに心を通わせ、いつしか真の友となった。しかし、天下を握ってから驕り高ぶる秀吉に命じられて千利休は自害する。さらに罪もない街の者たちまでが、次々と命を奪われていく事態に。打ちのめされた専好は立ち上がり、花を手に取り秀吉に戦さを挑む…。
日本を代表する名スタッフが映像を彩る
そんな本作の脚本を手掛けるのは、『JIN-仁-』『ごちそうさん』『天皇の料理番』など数々の名作ドラマを生んだヒットメーカー・森下佳子。監督は情感あふれる作品づくりに定評があり、藤沢周平原作の『山桜』や『小川の辺』など時代劇でもその手腕をみせた篠原哲雄。名匠たちの手により、記録の少ない池坊専好という人物が大胆につくりあげられました。音楽は日本の映画音楽界を牽引する久石譲、題字を力強いタッチで世界的にファンを広げる金澤翔子、劇中絵画をその作品が大英博物館に所蔵展示された小松美羽が担当。巨匠から若き女性アーティストまで、超豪華スタッフが集結しました。
最高にスカッとしたいならコレ!
圧倒的な武力を背景に弱者を虐げた戦国時代の権力者に対して、刃⇔力ではなく花⇔心で戦さを仕掛ける。その奇想天外な活躍は現代を生きる私たちに感動と爽快感を与えてくれること間違いなし!「なんだか仕事がうまくいかない…」「なんであの人はこうしてくれないんだろう…」といったフラストレーションを解消してくれることでしょう。鑑賞後のスッキリした感覚をぜひ味わってみては?