少し前で言えば『オーストラリア』や『ライラの冒険 黄金の羅針盤』、最近の出演作品としては『スキャンダル』での印象が新しいニコール・キッドマン。勇敢で美人なキャラクターのイメージが強い俳優でしたが、本作では荒みきった一匹狼の女刑事を熱演。今回は、良い意味でニコール・キッドマンの印象をガラッと変えてしまった鮮烈な映画の魅力を、物語とキャストの面から紐解いていきます。
2020年10月23日(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開
配給:キノフィルムズ
提供:木下グループ
【ストーリー】一匹狼の刑事エリン・ベルが事件解決に挑む
ロサンゼルスにあるハイウェイの下で、目を覚ましたLA市警のエリン・ベル刑事(ニコール・キッドマン)。彼女が車を降りて道を進むと、そこには死体と2人の捜査官が。被害者らしき死体を見て、エリンは「犯人を知ってる」とひと言つぶやく。足を引きずりながらも警察署に戻ったエリンだったが、同僚から差出人不明の私信が届いていると言われて手紙を受け取る。開封してみるとそこには、紫に染まった紙幣が入っていて…。
1枚の紙幣が過去の事件と現在の事件を紐づけていく
私用の手紙を通して紫に染まった紙幣を受け取ったエリンは、かつての上司ローソン(トビー・ハス)に照合を依頼。すると、彼女が以前関わっていた未解決事件で、回収された紙幣と同一のものと断定。彼女は誰の力も借りずに、一匹狼で事件解決へ動き出す。過去の記憶を思いだしながら、彼女流のやりかたで。
潜入捜査対象と相棒の2人の存在が意味するエリンの過去とは
17年前、FBIの潜入捜査任務に参加していたエリン。彼女は若い捜査官のクリス(セバスチャン・スタン)と恋人同士を装い、一緒にサイラス(トビー・ケベル)率いる犯罪組織へ潜入し、逮捕の機会をうかがっていた——。そして現代。エリンは過去の潜入捜査中に知り合った男で、組織の一員だったトビー(ジェームズ・ジョーダン)の元へと車を走らせていた。未解決事件を解決するため、過去の出来事を正すために。彼女が野良犬のように荒んでしまった原因、そして一匹狼で事件解決に挑む真意とは…。
【人物紹介】ニコール・キッドマンとエリン・ベル
ニコール・キッドマンが演じたエリン・ベルは、野良犬のように荒みつつも、一匹狼のような勇敢さをもった女刑事。今までのニコール・キッドマンのイメージからは想像もできないエリンのビジュアルも衝撃的だが、本作の脚本に惚れ込み出演を希望したのは何を隠そう彼女自身とのこと。「誰かが妥協せず、自分の仕事に情熱を注いでいる時、私はそんなプロジェクトに参加したくなるんです。」という意気込みから、彼女は監督との面会を希望した。そして、その中で完成したエリン・ベルの存在感は、本作の中でも随所で輝いているので、要チェック。
『ストレイ・ドッグ』のキーパーソンを演じるキャストはあの人
クリス(セバスチャン・スタン)
少し影がある若き捜査官のクリスを演じたのは、セバスチャン・スタン。最近の出演作品としては『アベンジャーズ/エンドゲーム』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』や『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でのバッキー・バーンズ役が印象的。本作でも少し陰のあるキャラクターを演じていますが、エリンとの関係性と人物像に注目です。
サイラス(トビー・ケベル)
エリンにとって忘れがたい人物にして、犯罪組織を率いるサイラスを演じたのはトビー・ケベル。最近では『ワイルド・ストーム』での気象学者、『キングコング:髑髏島の巨神』での軍人、少し前では『タイタンの逆襲』で半神など、さまざまな役を演じ分ける俳優。本作では、静かな怒りの恐怖を体現したサイラスを好演しているので、彼の登場シーンもお見逃しなく。
【レビュー】特殊メイクで挑んだ野良犬にして一匹狼の姿に衝撃
手段を選ばない実力行使が目立つエリンですが、その理由は物語が進むにつれて少しづつ描かれていきます。なぜ彼女は一匹狼なのか、なぜ紫に染まった紙幣に見覚えがあるのか、潜入捜査の行方はどうなったのか。謎解きの要素を楽しみつつ、エリン・ベルという人物の人生を垣間見ていただけると幸いです。また、美女&勇敢のイメージが強いニコール・キッドマンですが、本作での彼女の演技をみて、美女&勇敢をここまで体現する俳優魂に感動しました。映画はやはり良いですねぇ。
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