家族について考えさせられる
柴咲コウ主演、感動ヒューマンドラマ

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 村井理子によるノンフィクション・エッセイをもとに映画化した感動ヒューマンドラマ『兄を持ち運べるサイズに』が11月28日に公開される。幼い頃から振り回されて絶縁状態にあった兄(オダギリジョー)の訃報が突然舞い込んだ理子(柴咲コウ)が、兄の元妻・加奈子(満島ひかり)たちとともに兄の後始末をしながら思いを馳せる4日間を描いている。柴咲に作品への思いや見どころなどを語ってもらった。

 最初、理子は物腰柔らかく穏やかで主婦でもあって、自分とは似てないと思っていたんですけど、作品ができあがると共通点がたくさんあると感じました。人に頼りきれなかったり、家族にもドライな部分があったり、心の深い奥底にある繊細な部分には人に触れさせないみたいなところとか。今回、撮影に入る前に村井さんご本人とビデオ通話でお話もして、村井さんに似せて髪を切って眼鏡も用意してもらいました。私は視力が良くないのですが、眼鏡の役もわざと度が入ってないものを使うんです。見え過ぎちゃうとお芝居していて恥ずかしいので(笑)。でも、今回は度が入っているものを使いました。ドキュメンタリーではないんですけど、リアリティを感じた方が良いと思ったんです。実際にお兄ちゃんの部屋を片付けているシーンなんて、撮影というより本当に作業しているようでした。
 理子の場合はお兄ちゃんを失ったことによって傷つくわけですけど、人が亡くなって悲しまなかったら悲劇ですよね。ずっと憎み続けるなんてしんどいですから。そう思わせてくれるお兄ちゃんはやっぱりいいところもあったんだと思います。幼少期の自転車のシーンが象徴的だと思いますけど、100%悪い人なんてなかなかいないですから。

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 お兄ちゃんをオダギリさんが演じてくれたことでずいぶんと助けられました。クライマックスのシーンでは勝手に込み上げてくるものがあって。カメラには映っていなくて私にだけ見える表情もあるんですけれど、器の大きさっていうんでしょうか。オダギリさんの役者としての力の大きさを感じました。
 満島さんも大好きな役者さんで、精神的に私よりも年上な感じがして頼れる方です。加奈子としてはいじらしかったですね。強がっているし実際に強い女性だと思うけれど、不安な部分はあるだろうし、素直な人だと思います。
 これは持論なんですけど、私は自分に必要なことしか自分に起こらないって思っているんです。家族で何か問題が起きるということは、自分の中に解決しなきゃいけないことがあって、それが現象として目の前に現れるっていう。問題は自分の中にあるんだと思うんですよね。私自身、この作品に出会ってインナーチャイルドというか、大人になってもまだ自分の中にずっとあるものに気づけたし、自分と向き合うことができたと感じました。この映画に興味を持ってくれる人は何か家族との関係性で悩んだり引っかかったりするものがある人だと思うので、そういう方が自分を振り返るきっかけになれば嬉しいです。

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『兄を持ち運べるサイズに』

理子の元に、兄が死んだという知らせが入る。発見したのは、兄と住んでいた息子の良一だという。「早く、兄を持ち運べるサイズにしてしまおう」と東北へと向かった理子は、兄の元嫁・加奈子とその娘の満里奈と再会する。ゴミ屋敷と化しているアパートを片付けていた3人が見つけたのは、壁に貼られた家族写真。もう一度、家族を想い直す、4人のてんてこまいな4日間が始まった。
●11月28日(金)全国公開
原作:「兄の終い」村井理子(CEメディアハウス刊)
脚本・監督:中野量太
出演:柴咲コウ、オダギリジョー、満島ひかり、青山姫乃、味元耀大他

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