大林宣彦監督による「尾道三部作」の第一作目『転校生』は郷愁あふれる青春ドラマ!
Ⓒ1982 日本テレビ・東宝

昨年4月10日に肺がんによって亡くなった大林宣彦監督。
幼児期より活動写真機を握っていたという大林監督は、自主制作映画のパイオニア的存在として知られる。
また、CMディレクター出身の先駆け的監督であり、かつ助監督を経ずして『HOUSE ハウス』(1977年)で商業デビューを果たすなど、枠組みに囚われないキャリアで時代を作ってきた。
その映像表現も実に自由で斬新、アイデアに満ち、「同じことは二度しない」と公言していた通り、1作ごとに異なるアプローチでアイドル映画から文芸映画まで多彩なジャンルを制作。
そんな大林監督が、自身の出身地である尾道を舞台に描いた青春ドラマが『転校生』(1982年)だ。

後世の映画・ドラマに影響を与えた“男女の入れ替わりストーリー”

『転校生』は、山中恒の児童文学「おれがあいつであいつがおれで」を原作に、中学生の男女の体が突如入れ替わったことで起きる騒動を描く。
尾美としのりと小林聡美が主演を務め、原作の小学六年生から中学三年生へと年齢を上げたことで、“思春期の揺れる想い”を浮き彫りにする甘酸っぱい青春劇に。
これ以降も“男女の入れ替わり”を描いた映画・ドラマが多数作られているが、本作に影響された作品は多く、近年では、綾瀬はるか&高橋一生出演の「天国と地獄~サイコな2人~」で性別入れ替わりのシーンが本作にオマージュを捧げる“階段落ち”となっていることでも話題となった。
また2007年には蓮佛美沙子主演で『転校生 さよならあなた』としてセルフリメイクされたが、こちらは舞台を信州に移し、後半は1作目とは異なる展開となっている。

あらすじ

再会した幼馴染2人は神社の階段の上から転げ落ちてしまい…

尾道で暮らす中学生・斉藤一夫のクラスに転校生の斉藤一美がやってくる。
一夫と一美は一緒の幼稚園に通った幼馴染で、一夫は地元に戻ってきた一美と久しぶりの再会だったが、彼女の無遠慮な発言に恥ずかしい思いをする。
一美のことを疎ましく思った一夫はちょっとした意地悪をするが、その拍子にバランスを崩した2人は神社の階段を転げ落ちてしまう。
そして意識を取り戻した一夫と一美はそれぞれに帰宅し、そこで初めて2人の体が入れ替わってしまったことに気づくのだった。

映画の舞台となった故郷・広島県尾道市

広島県尾道市出身の大林監督は、「お世話になった尾道の素晴らしさを描いて、故郷に恩返しがしたい」との想いで、故郷を舞台に複数の映画を撮影している。
『転校生』、『時をかける少女』(1983年)、『さびしんぼう』(1985年)は「尾道三部作」と呼ばれるが、三部作のヒロインを務めた小林聡美、原田知世、富田靖子はその後も活躍する人気女優となっており、これらの作品以外にも大林監督によって発掘された女優は多い。
また、同じく尾道で撮影した『ふたり』(1991年)、『あした』(1995年)、『あの、夏の日 とんでろ じいちゃん』(1999年)は「新・尾道三部作」という位置づけになっているほか、遺作となった『海辺の映画館 キネマの玉手箱』(2019年)は20年ぶりに尾道で撮影された。
今では尾道は“ロケ地めぐりの元祖”として、多くの映画ファンが訪れる聖地となっている。

放送情報

衛星劇場

2021年4月10日(土)20:00~22:15
2021年4月22日(木)8:30~10:40
2021年4月27日(火)18:00~20:15

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