カナダ・ケベック州出身の気鋭監督、グザヴィエ・ドランが手がけた『マティアス&マキシム』を紹介しよう。
本作はグザヴィエ・ドラン監督が『君の名前で僕を呼んで』に感銘を受け、見た後にはしばらく動けないほど感動し、自身の20代の頃を思い出したと言う彼が描いた愛の物語。
幼なじみのマティアスとマキシムが友情と恋の狭間で揺れる姿を綴ったピュアなラブストーリーだ。
あらすじ
演じたキスシーンがきっかけとなって…
30歳のマティアスとマキシムは幼なじみ同士。
ある日、友達の妹からとあるお願いをされる。
それは彼女の撮る短編映画に出演し、男性同士のキスシーンをら演じること。
引き受けた彼らはこのキスをきっかけに秘めていたお互いへの気持ちに気づき始める。
婚約者のいるマティアスはこれまで意識していなかったマキシムへ芽生えた感情に戸惑ってしまう。
マキシムは今までの関係が壊れることを恐れ、マティアスへの思いは秘めたままオーストラリアへと旅立つ準備を進めるのだったが…。
世界が認めるカリスマ的な監督が挑んだ新境地
グザヴィエ・ドランは2009年、19歳のときに監督・主演・脚本・プロデュースした半自叙伝的な『マイ・マザー』でデビューを飾り、国際的に注目される監督だ。
2014年の『Mommy/マミー』はカンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞し、2016年には『たかが世界の終わり』がカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞したほか、セザール賞最優秀監督賞と最優秀編集賞を獲得している。
ドラン監督はデビューから一貫して「母と子」をテーマとして追求してきたが、本作で新たに「純愛」を真正面から描き、新境地を見せる。
マキシム役も演じるドランは監督のほか、脚本、編集、衣装、プロデューサーも兼任している。
ヘタレ男と不憫な男の恋は実を結ぶのか?
とりとめのない会話がリアリティある映像でとらえられて、彼らの日常を覗き見ているようなドラマが展開。
説明セリフで繰り広げられるウェルメイドな作品とは真逆なタイプの作品で、彼らのやり取りのなかから観客は読みといていくことに。
だからこそ、リアルで2人の感情が肌感覚で伝わってくる。
友達であったのに、30歳になった今になって相手を意識することの気恥しさやら動揺、そして怖さを感じさせるのだ。
どうしようもなく惹かれ合いながらも一歩踏み出すことを躊躇してしまう彼らに思わずムズムズキュンキュンしてしまう。
この2人が対照的で、真面目な会社員で順調な暮らしぶりのマティアスはヘタレといったところで、ブルーカラーで生活が上手くいっていなさそうなマキシムは不憫で健気だけど、ある意味で漢前でもある。
お似合いな2人の恋はどうなってしまうのか…?!
遠回りしながら恋が育っていく様子を見守って欲しい。