映画『来る』は最高にかっこいいエンタメホラー映画!

岡田准一や小松奈々、松たか子、妻夫木聡といった豪華な俳優陣と映画監督・中島哲也で贈るホラー映画『来る』。2018年公開された本作の魅力を、5回以上観ているほど好きな筆者がご紹介。

中島哲也監督が手掛けたホラー映画『来る』

映画『来る』のあらすじ

『来る』は澤村伊智原作の『ぼぎわんが、来る』を中島哲也監督が映画化した2018年公開の作品。
田原秀樹(妻夫木聡)は香奈(黒木華)と結婚し、娘を授かる。イクメンとして日々ブログを更新しているが、次第に「あれ」による恐怖に襲われていく展開に。「あれ」をどうにかしようと、大学時代の友人に紹介されたオカルトライターの野崎(岡田准一)と、霊能力があるという真琴(小松菜奈)に助けを求めるが…。

『来る』はエンタメ要素も満載!

「怖い」はもちろん、「かっこいい」も盛りだくさんの作品

『下妻物語』(2014年)や『告白』(2010年)、『渇き。』(2014年)などの作品を手掛けた中島哲也監督・脚本の『来る』は、謎の存在とそれにより起こる奇妙で恐ろしい出来事を描いた日本のホラー映画。
しかしただのホラー映画ではなく、ドキドキするような高揚感も味わうことのできるエンタメ映画でもある。何かをたたくような音とともに始まる本作では、冒頭に妻夫木聡が異様な部屋の中で「あれ」を恐れているシーンからOPへと繋がる。禍々しい映像とともに流れるのは、UKインディー・シーンを担うKing Kruleの『Dum Surfer』。そして曲がぶつっと切れ、田舎の美しい映像へと切り替わる。この流れがとにかくかっこよく、中島哲也監督らしさがにじみ出ているシーンのひとつだ。

そしてなんといっても、物語終盤の祈禱シーンでは映画『シン・ゴジラ』(2016年)での、それぞれの知識が大集結するシーンで味わったような高揚感があった。霊能力者らが大集結し、除霊のため「あれ」に立ち向かう。集合シーンから祈禱シーンまでずっとかっこよく、ハラハラドキドキする。松たか子演じる最強の霊媒師・琴子はもちろんのこと、柴田理恵演じる霊媒師のかっこよさにも目を奪われる。
ぜひ『来る』を観て、恐怖のドキドキだけでなく、かっこいい!のドキドキも味わてほしい。

登場するさまざまな地獄

人間の弱さと恐ろしさもてんこもり

本作はかっこいいシーンや登場人物も多く見られるが、同時に人間の弱さや暗い部分も多く出てくる。田舎特有の閉塞感、「いい夫」でいるつもりの夫、うわべだけの人とのつながり、女手一つでの子育て、過去の傷などなど…。人間の弱さや醜悪さを煮詰めたようなさまざまな地獄があり、それに呼応するかのように、「あれ」はやってくる。誰もが見たこと、感じたことのある地獄だからこそ観客は共感しつつ恐ろしさを感じ、作品の世界に入り込むことができる。
オカルト、霊的な怖さだけでなく、人間による怖さにも注目だ。

「あれ」の正体とは

原作『ぼぎわんが、来る』を読むのがおすすめ

映画『来る』の原作小説である澤村伊智の『ぼぎわんが、来る』は第22回ホラー大賞の大賞を受賞したホラー小説である。
映画では「あれ」についてさまざまな呼び方が出てくるものの、正体については詳しく描かれていない。何だかわからない正体不明の恐怖だからこそ、想像力を掻き立てられる映画になったのではないだろうか。
ただ「あれ」の正体を知りたい!という方もいるだろう。そんな人には、原作を読むのがおすすめである。原作では「あれ」の正体について深く触れられている。
映画では映画の、原作では原作の、また違った恐怖を味わえるだろう。

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