少しずつ麻痺していき、大金を横領してしまう事件を描いた『紙の月』

会社のお金を使い込む横領事件は古くからあり、後を絶たない。
この間も廃棄予定の切手を換金した疑いで逮捕される事件があった。
性善説に基づいてか、やろうと思えばできてしまう状況が現代でも放置されているから起こりうる事件なのかもしれない。
一個人でよくそんなにお金を使うことがあるなぁと小市民としては思ってしまうところだ。
しかし、何もはじめから大金を使うのではなく、少しずつ麻痺していくのだから怖い。
そんな犯人のようすを描いたのが『紙の月』だ。

あらすじ

夫との生活に虚しさを感じる梨花だったが…

バブル景気が崩壊した1994年。
夫と2人暮らしの主婦・梅澤梨花は、契約社員として銀行の外回りの仕事を始めた。
細やかな気配りや丁寧な仕事ぶりで顧客からの信頼を得て、上司からの評価も高い。
何不自由のない生活を送っているように見えた梨花だったが、自分への関心が薄い夫との間には空虚感を感じでいた。
そんなある日、梨花は大学生の光太と出会う。
光太と過ごし、メイクにも気をつかうようになった梨花は持ち合わせがない時に、ふと顧客の預金に手をつけてしまう。
最初はたった1万円を借りただけだったが、その日から彼女の金銭感覚と日常が少しずつ歪みはじめる…。

「八日目の蝉」の角田光代の同名小説を映画化

サスペンスではあるけれど、スリリングさを楽しむというよりはひとりの女性の悲しみと怖さが炙り出される本作。
2011年に映画化された「八日目の蟬」をはじめ、女性を中心に抜群の信頼性と人気を誇る直木賞作家、角田光代の同名ベストセラー小説を映画化している。
メガホンを取るのは「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八監督。

宮沢りえが美人だが薄幸なヒロインを力演

最初は1万円程度、盗むわけじゃなくてほんの少しの間借りるだけ、後で戻しておけばいい…自分は絶対にやらないと強く否定できないきっかけから、ヒロインの梨花は自分が勤める銀行のお金を着服しはじめ、どんどんと転がり落ちていく。
梨花を宮沢りえが演じ、美人だけれどもどこか満たされない女性の悲しさを体現している。

配信情報

『紙の月』は現在U-NEXT、Netflixほか配信サービスにて配信中。
国内の映画賞で多数の受賞を獲得した本作をぜひ一度鑑賞してはいかがだろうか。

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