宮部みゆきの長編ミステリーを原作とする成島出監督作『ソロモンの偽証』二部作(2015年)。
前篇では中学校で起きた転落死亡事件のあらましを、そして後篇では事件の容疑者を審議する“学校内裁判”が描かれる。
タイトルにも使用されている“ソロモン”とは、神によって人を裁くことを許された知恵者として知られる旧約聖書に登場する古代イスラエルの王のこと。
本作が映す、偽証した“ソロモン”とは誰なのか…?
ついに、衝撃の結末を迎える裁判が開廷する。
あらすじ
学校内裁判がついに開廷するも事態は予想だにしない方向へ…
“学校内裁判”を行うにあたり、涼子(藤野涼子)ら裁判を運営する有志生徒たちは様々な困難にぶちあっていたが、ついに課外活動という名目で開廷の日を迎えていた。
本裁判の被告は、死亡した柏木卓也(望月歩)をいじめた挙句殺害した容疑をかけられている不良の大出俊次(清水尋也)。
その弁護を卓也の友人であり他校の生徒・神原(板垣瑞生)が担当し、涼子は検事として事件の不可解な点を暴き出す役割を担っていた。
そして事件を解明するためのカギの1つとなる「告発状」について重要参考人が出廷し、さらに予想だにしない証人の存在が明らかになったことで会場に緊迫した空気が流れ始める。
つかんだのは“未来に立ち向かう勇気”
本作では、学校や社会、ひいては大人たちの欺瞞というウソや、様々な事情を抱えた子供たちによるウソという2方向からのウソ=偽証に焦点が当てられる。
マスコミの過剰報道や事態の鎮静化ばかりを優先にやり過ごそうとする大人たちに疑問を呈し、ウソを暴き自らの弱さにも果敢に立ち向かったのが本作のヒロイン・涼子だ。
中学生としてのピュアな眼差しと正義感で、傷つきながらも歩みを進める彼女の姿は清々しい感動を呼ぶ。
生徒たちは裁判を通じてどんな真実を知り、何を学ぶのか?
裁判の行方と共に、彼らの成長を見守りたい。
若手実力派俳優による極上のアンサンブル
中学校時代のヒロインを演じたのは、全国規模で行われたオーディションの応募者一万人の中から選ばれ、今回演じた役柄を芸名にしてデビューを果たした藤野涼子。
主人公の涼子を清楚かつ力強く演じている姿が印象的だ。
またこの他にも、卓也の友人・神原役を『映像研には手を出すな!』(2020年)の板垣瑞生、不良たちからいじめを受けていた少女・三上樹里役をドラマ「チア・ダン」の石井杏奈、樹里の友人・浅井松子役をドラマ「3年A組 今から皆さんは、人質です」の富田望生、そして亡くなった卓也役をNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の望月歩が演じるなど、現在活躍中の若手実力派俳優による極上のアンサンブルに心揺さぶられる。
放送情報
2021年1月9日(土)22:35~25:05
2021年1月15日(金)19:30~22:00
2021年1月31日(日)20:30~23:00
2021年2月13日(土)23:45~26:15