【チャップリンだけじゃない無声映画の大スター】ハロルド・ロイド

今から100年近く昔、映画にまだ音がなかった時代。生まれたばかりの映画の世界で人気を博した、現在も語り継ぐべき素晴らしい人たちがいます。
今回はチャーリー・チャップリン、バスター・キートンと並ぶ喜劇映画の大スター、ハロルド・ロイドを紹介します。

代表作は『ロイドの要心無用』(1923年)

こちらは1923年に公開された彼の代表作『ロイドの要心無用』の映像で、2013年に発表された修復版の予告編です。100年近く前の映像とはとても思えませんね。デパートの店員を演じるロイドが、ひょんなことからデパートの宣伝のため、素手で、命綱なしで、デパートの高いビルを登る羽目になってしまいます。この映画史に残る名場面のほかにも、走行中の路面電車から並走する車に飛び移ろうとする(そして失敗する)という、危険すぎるスタントを自らこなしています。

トレードマークは丸ぶち眼鏡

当時、戦前の日本でもロイドの人気は大変高く、彼がかけていた丸ぶちの眼鏡が流行。戦前の紳士がかけている眼鏡としてスタンダードな存在となりました。材質がセルロイドでできていたということもあって日本だけで「ロイド眼鏡」 と呼ばれ、現在もその名前が残っています。ちなみにロイドが実際にかけていたのは、レンズのないダテメガネだったそう。

ジャッキー・チェンにも影響を与えた危険なスタント

先ほど紹介した『ロイドの要心無用』のスタントシーンは、見るたびに足の裏がくすぐったくなるような感覚に襲われる名場面ですが、その後の研究で、実際にはビルの屋上に建てたセットを使って撮影されたことが判明しています。それでも危険なことには変わりありませんが。http://www.westerncostumeresearch.com/western-costume-research-blog/filming-safety-last-1923/

このスタントに影響されて、本当にトリックなしでビルに登り、そして落ちてしまった人がいます。香港のアクション・スター、ジャッキー・チェンです。彼の代表作として知られる『プロジェクトA』(1983年)では思わず目を覆いたくなる危険なスタントシーンを連発。激しいアクションとユーモアあふれるコメディを融合させた彼の試みの原点にあったのは、無声映画時代の喜劇映画だったのです。『プロジェクトA』の香港版予告編に、その時計台の場面が見られます。

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