舞台の脚本家・演出家として活躍する川口俊和の小説デビュー作を、有村架純主演で映画化した『コーヒーが冷めないうちに』。小説は2015年の発売以降、“とにかく泣ける”と口コミで広がり、2017年には「本屋大賞」にもノミネートされました。いったい、どこがどう泣けるのか? 感動ポイントを中心に映画の見どころを紹介していきます。
あらすじ
時田数(有村架純)が叔父で店主の時田流(深水元基)と切り盛りする、とある街のとある喫茶店「フニクリフニクラ」。そこには、店内の【ある席】に座ると、望んだとおりの時間に戻ることができるという不思議な都市伝説があった。その噂を聞いた客が今日も喫茶店に訪れ、会いたかった人との再会を望み過去へと戻る。そこで彼らを待っていたものとは? そして、主人公の数に隠された真実とは―。
ルールがある中でのタイムスリップに“泣ける”!
この喫茶店では、望んだ時間に戻るにあたりいくつかのルールがあります。その中でも特にポイントとなるのが、「過去に戻って、どんな事をしても、現実は変わらない」「過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ。コーヒーが冷めないうちに飲み干さなければならない」というルール。それを頭では理解していても、大切な人と念願の再会を果たし、感情を抑えられなくなる…そんなお客さんたちの姿に感情移入してしまうこと間違いなし!
しかし、コーヒーが冷めないうちに飲み干さないととんでもないことになってしまうので、ハラハラもしてしまいます…。
三者三様の物語に“泣ける”!
過去に戻るため喫茶店に訪れるのは、“アメリカに行ってしまった幼馴染みとケンカ別れをしてしまった三十路直前の独身キャリアウーマン”、“若年性アルツハイマーに侵された妻と、そんな妻を優しく見守る夫”、“故郷の妹を裏切り、1人でスナックを営む喫茶店の常連客”、そして“過去に戻れる【ある席】にいつも座っている謎の女”…。それぞれの人間模様がオムニバス形式で描かれるので、“4回泣ける”と話題に!
そんな登場人物たちを演じる石田ゆり子、薬師丸ひろ子、吉田羊、松重豊ら実力派俳優たちの演技も光っています。
主人公の過去に隠された真実に“泣ける”!
タイムスリップするためのコーヒーを淹れることができる主人公の数。前半は過去に戻るお客さんたちを温かく見守る側だった彼女も、次第に自身の過去と向き合うことになっていきます。少し謎めいた雰囲気もある彼女ですが、過去の真相にたどり着いたときに見せる表情は見ていて心がほっこり。
また、次第に数に惹かれていく常連客の大学生・新谷亮介(伊藤健太郎)の役どころにも注目です!
おわりに
“もし、あのときに戻れたら…”なんて、誰もが一度は考えたことがありますよね。この映画は、そんな願いが叶えられるという夢のようなストーリーでありながら、“過去は変えられない”という現実や、それを背負って生きていく登場人物たちの心の変化を丁寧に描いているからこそ、心に響くのだと思います。自分の戻りたい過去と重ねながら観てみるのもオススメです。