LGBTQ映画『his』が描く感動ストーリーの結末とは？あらすじや感想をネタバレなしでレビュー！｜ Mcura

宮沢氷魚主演、今泉力哉監督によるLGBTQ映画『his』は、高校生の時に出会い愛を確かめ合った迅と渚が大人になって再会し、渚の娘・空も含めた3人の愛の形を描いた感動ストーリー。本作の見どころを結末のネタバレなしで、あらすじと感想を含めてレビューします。

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LGBTQをテーマに今泉力哉監督が真摯に描く

連続ドラマの後日談となる2020年製作の映画『his』

今回は映画『his』を紹介しましょう。この作品はLGBTQ映画で、『愛がなんだ』や『アイネクライネナハトムジーク』の“恋愛映画の旗手”と言われる今泉力哉監督が手掛けています。本作は恋愛だけでなく社会的問題にも視線を向けた人間ドラマです。
もともと、2019年春に放送された連続ドラマ『his～恋するつもりなんてなかった～』があり、そのドラマの後日談として制作されたのが、映画『his』です。
ドラマでは2人の男子高校生・井川迅と日比野渚が出会い、友情が愛情へと変化していくなかで自身のセクシャリティに揺れ動く姿を描かれました。
映画『his』では、そんな彼らの再会が描かれており、同性愛者であることを隠してひっそりと田舎でひとり暮らしをしている主人公・迅のもとに、かつての恋人である渚が娘の空を連れてやってくることから物語はスタート。
大人になった迅と渚たちは周囲の人たちと関わり、さまざまなできごとを乗り越えながら自分たちの生き方を模索していきます。
渚は妻と娘の親権で協議中であり、ゲイカップルである彼らが子育てをしていこうとする中で直面する壁や、ゲイであること自体に社会が向ける目、カミングアウトの難しさなど、今注目されるLGBTQ問題についても真摯に見つめている作品です。
とはいえ、堅苦しい雰囲気の作品ではなく、娘の空ちゃんの天真爛漫なかわいらしさも手伝って、ジーンと心が暖かくなる感動ドラマに仕上がっています。

先入観なく観て欲しい！同性愛者を繊細に演じる宮沢氷魚に注目

メインとなる登場人物とともにキャストを紹介

ゲイであることをカミングアウトせずに田舎での移住生活を送る迅を演じるのは、ドラマ『偽装不倫』で注目された宮沢氷魚。
THE BOOMのボーカル・宮沢和史の実子としても知られる彼ですが、映画初主演を飾った本作でヨコハマ映画祭の新人賞ほか、さまざまな映画賞に輝きました。
別れを告げた後に子連れで戻ってきた渚のことを、とまどいながらも受け入れていく迅。
そんな繊細さと強さを内包する迅を、宮沢が透明感あふれる存在感でみずみずしく好演しています。

子連れで迅のもとに来る渚は、『ケンとカズ』『全員死刑』などの藤原季節が扮しています。
迅を振り回す渚は自分勝手とも捉えられがちなキャラクターでもあります。
渚が視聴者に嫌われてしまうと本作は成立しなくなるのですが、渚の中にある優しくて憎めない人の好さを、藤原季節が上手く体現。
観客の共感を呼ぶ藤原の魅力的な演技にも注目してください。

そのほかに、渚の妻・日比野玲奈役を『愚行録』『劇場版ポルノグラファー　プレイバック』などの松本若菜、迅の移住をサポートする職員・吉村美里役を『みをつくし料理帖』の松本穂香が演じています。

映画『his』あらすじ

迅は同性愛者であることを隠して田舎で暮らしていたが…

友情から愛へと発展した井川迅（宮沢氷魚）と日比野渚（藤原季節）だったが、迅の大学卒業を控えた頃、渚は突然別れを告げる。
その後、迅は周囲にゲイだと知られることを恐れてひっそりと田舎でひとり暮らしを送ってた。
そんなある日、6歳の娘・空を連れた渚が迅のもとを訪れ、居候を始める。
戸惑いを隠せない迅だったが、いつしか空も懐いて、周囲の人々も3人を受け入れる空気に。
しかし、渚は妻・玲奈（松本若菜）との間で離婚と親権の協議中であり、玲奈が空を東京に連れ戻してしまう。
落ち込む渚に対して迅は、渚と空と3人で一緒に暮らしたいという気持ちを伝え、空の親権を勝ち取りたいと思う渚。
だが、離婚調停が進んでいく中で玲奈の弁護士たちから心無い言葉を浴びせられ、社会の偏見や自分たちが身を置く環境と改めて向き合うことになり…。