サメ映画ヒストリー[2020年版]―この傑作を見逃すな!

 ライオンやクマなどと並んで人を襲う生物として恐れられている人食いサメ。映画の世界でも恐怖の対象として古くから描かれていますが、近年は「自然の驚異」というレベルを遥かに超え、まったく独自の進化を遂げています。さらに、サメ映画を専門に研究をするマニアが多数現れるなど、サメ映画はいまや映画史の一部といってもいいほどになりました。
 これまで定期的に「サメフェス」などの特集を企画してきたムービープラスでは、12月に『シャークネード』を生んだ映画製作会社・アサイラムによる最新作『ホワイトシャーク 海底の白い死神』を日本初放送。ここエムクラでもあまりにも巨大な存在となってしまったサメ映画から、絶対に見逃せない代表的なサメ映画を振り返ってみたいと思います。

『白鯨』(1956年)

 サメ映画のクラシックとして見過ごされがちなのが『白鯨』。19世紀に書かれたハーマン・メルヴィルの冒険小説を映像化したもので1920年代から数えてこれが3度目の映画化。巨大なサメに襲われ片足を失い、復讐に燃えるエイハブ船長の激闘を描いた名作です。『ローマの休日』の名優・グレゴリー・ペックが船長を演じ、これまでの紳士的な役柄とはまったく異なるワイルドな演技を見せています。

https://www.imdb.com/title/tt0049513/
(こちらのサイトから予告編[英語版]が見られます)

『JAWS/ジョーズ』(1975年)

 サメが人を襲うというという衝撃的な場面をスリルとサスペンス満載で描いたサメ映画の金字塔です。この作品の大ヒットは、当時、TV用の映画『激突!』で密かに注目されていた若手監督スティーヴン・スピルバーグの名を世界中に轟かせるきっかけになりました。
 『E.T.』や『フック』などのやさしい映画の作り手としても知られるスピルバーグ監督ですが、恐怖描写こそ実は彼の本領であり、小さな漁船と巨大なサメが極限状態の中で一騎打ちをするクライマックスは何度見てもハラハラさせられます。
 本来「ジョーズ」とは「顎(あご)」という意味ですが、日本ではこの映画以降、サメそのものを示す言葉としてすっかり定着してしまいました。また、続編として『ジョーズ2』『ジョーズ3』『ジョーズ4 復讐篇』が作られましたが、スピルバーグが監督した第1作以外は高い評価を得られずに終わっています。

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『ディープ・ブルー』(1999年)

 『JAWS/ジョーズ』があまりにも素晴らしかったために、本家の続編も含めて後に続くサメ映画の傑作が現れなかったのですが、20数年後、ついに登場したのが『ディープ・ブルー』でした。科学者たちの研究によってサメが人間に匹敵する知能を得てしまうという設定で、閉ざされた研究施設の中での人間たちの必死の戦いが描かれます。
 監督は、残酷描写の激しさでは右に出るもののはいないレニー・ハーリン。『ダイ・ハード2』や『クリフハンガー』など、90年代のアクション・サスペンス映画で大活躍した監督です。

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『シャークネード』(2013年)

『ディープ・ブルー』の「知能を持ったサメ」という新鮮な設定によってサメ映画はB級映画のジャンルとして一気に花を咲かせ始めます。サメとタコが合体した謎の生物『シャークトパス』、2つの頭を持ったサメ『ダブルヘッド・ジョーズ』、怪獣レベルまで巨大化したサメ『メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス』など、なんでもありの状況を迎えるなかで、その後のサメ映画史を塗り替える決定打となったのが、サメ台風=『シャークネード』でした。
 サメの大群が台風や竜巻によって地上に降り注ぎながら人を襲うというあまりにも突き抜けた設定は、バカバカしさを通り越してある種の快感さえ覚えるほど。シリーズも6作品が作られ、サスペンスなのかホラーなのか、コメディなのかSFファンタジーなのか、どれも映画のジャンル分けを拒絶した独自のシリーズとして高い人気を誇っています。

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B級以下の「Z級映画」ともいわれる「シャークネード」シリーズは、なぜか日本で異常なほどの盛り上がりを見せ、サメ映画はB級映画界の一大ヒットコンテンツとしてさらなる発展を見込まれています。

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