2021年度のアカデミー賞で作品賞・監督賞・主演女優賞の主要三部門を制した『ノマドランド』。
この作品で三度目となるオスカーを手にしたフランシス・マクドーマンドが、初めてアカデミー賞で主演女優賞を受賞した映画が今回紹介する『ファーゴ』(1996年)。
ジョエル&イーサン・コーエン兄弟によるブラックユーモアが効いたクライムサスペンスだ。
アカデミー賞やカンヌ国際映画祭など多数の賞に輝いた『ファーゴ』は、今なお多くのファンから愛されている。
概要
“実話”というフィクションが施されたブラックコメディ
本作の冒頭では、実話を基にした物語であることを告げるテロップが表示される。
しかし、演出面ではベースとなる2つの事件が取り入れられてはいるものの、本作が描く狂言詐欺や殺人事件に関しては実話ではなくフィクションであり、テロップの設定含めてコーエン兄弟流のブラックコメディとなっている。
また、後にこの作品に着想を得たドラマ「FARGO/ファーゴ」がノア・ホーリー監督&コーエン兄弟製作総指揮によって制作されており、時代・内容ともに全く別物ながら、映画版『ファーゴ』の世界を感じさせると大人気となり、現在シーズン4まで放映。
ドラマ版の冒頭でも「このドラマは実話です」とテロップが流れ、エンディングでは「これはフィクションです」と注意書きが添えられている。
あらすじ
稚拙な狂言誘拐がいつしか血まみれの凄惨な事件へと発展していく
アメリカ・ミネソタ州ミネアポリスにあるカー・ディーラーに勤めるジェリー・ランディガードは、多額の借金を返済するため、妻ジーンの狂言誘拐を思いつく。
資産家の義父であるカー・ディーラーの社長から身代金をだまし取るため、ジェリーは前科者のカールとゲアにジーンを誘拐するよう依頼。
しかし、ジーンをさらって車で逃走していた実行犯の2人は、停車するよう指示した警官を射殺し、それを目撃していた若者2人も勢いで射殺してしまう。
予想外の展開に憤慨するカールはジェリーに当初の倍となる金を要求し、狂言誘拐から殺人事件へと発展してしまったことで動揺するジェリーは義父に金を出すよう願い出るが、ジェリーを疑う義父は自ら誘拐犯に身代金を渡すと主張しはじめる。
見どころ
個性派俳優たちが登場人物をユーモラスに体現
本作ではジョエル&イーサン・コーエン兄弟による「コーエン組」の常連俳優のほか、個性派俳優が出演して作品に独特のユーモアを与えている。
誘拐事件の捜査にあたる女性警官を演じたのは、コーエン兄弟のデビュー作『ブラッド・シンプル』(1984年)の主演をきっかけにジョエルと結婚し、現在でも公私ともにパートナーとして活動するフランシス・マクドーマンド。
本作の妊婦の女性警官を演じるために、実際に出産直前まで勤務する女性警官を取材して役作りをしたという。
そして「変な顔の男」と言われ続ける誘拐犯カールをスティーヴ・ブシェミ、狂言誘拐を思いつくジェリーをウィリアム・H・メイシーが演じ、作品を個性的に味付けしている。
放送情報
[字]2021年6月5日(土)24:40~26:30
[字]2021年6月15日(火)10:10~12:00
[字]2021年7月15日(木)21:00~22:45
[吹]2021年6月9日(水)13:15~15:15
[吹]2021年6月20日(日)23:45~25:45
[吹]2021年6月29日(火)17:30~19:30
[吹]2021年7月11日(日)22:40~24:30