ド派手なアクション映画を見る気分じゃない。かと言って心を鷲づかみにされる感動巨編を見る気もしない。そんなときはユーモアのあるフランスのコメディなんていかがだろう?
7つのエピソードからなるフランス映画『木と市長と文化会館』はそんな気分の時にもってこいかもしれない。ウィットに富んだ会話とちょっぴりスパイスのきいた風刺は胸焼けすることなく、粋な時間を過ごさせてくれるだろう。
名匠ロメール監督によるクスッと笑えるドラマ
パリ郊外の町に文化会館を建設しようとする市長の計画から巻き起こる騒動を描いたクスッと笑えるヒューマン・ドラマ。ヌーヴェル・ヴァーグの名匠である『緑の光線』のエリック・ロメールが監督を手がけている。ロメール監督の『海辺のポーリーヌ』のパスカル・グレゴリーとアリエル・ドンバールが出演。
市長の計画は恋人にさえ受け入れられず…
パリの南西部ヴァンデ県サン=ジュイールの市長ジュリアンは、村の原っぱに図書館や野外劇場、プールを備えた総合文化センターを建設しようと考える。しかし、この計画は周囲の賛同を得られず、ジュリアンの恋人である小説家のベレニスさえもいい顔をしない。さらに、エコロジストの小学校教師マルクは予定地の老齢の柳が犠牲になるため真っ向から反対。ジュリアンにインタビューした女性ジャーナリストの記事は編集長の独断で、マルク寄りの記事になってしまう。
軟派なおじさんの可愛げある社会派コメディ
エリック・ロメール監督に対して筆者が個人的に持つイメージは“風光明媚な自然と恋が好きな軟派なおじさん(すでに鬼籍に入っているが)”といったところ。しかし、本作は風刺もきいていてロメールにしては社会派な内容と成っている。とはいえ、そこは軟派なロメールだから硬派とまではいかず、ソフトな皮肉ぐらいまでにとどまっていて、可愛げのある社会派コメディに仕上がっている。
木と市長と文化会館
[字]2020年6月23日 23:00~25:00
[字]2020年6月23日 12:30~14:30