女子刑務所内に実在する美容室が舞台 深い葛藤を抱える美容師役を熱演

女子刑務所内に実在する美容室を舞台とする桜井美奈の同名小説をもとにつむがれた感動のヒューマンドラマ「塀の中の美容室」。主演の奈緒が演じるのは、ある罪を抱えて服役しながら美容師として再生の道を歩もうとする女性・小松原葉留だ。本作には夏帆、成海璃子、光石研、小林
聡美ら豪華実力派俳優陣が集結。その存在が心強かったと語る彼女が、静かな眼差しの奥に深い葛藤を抱えるこの難役にどう向き合ったのか。作品への想いを語ってもらった。
撮影はすでに終わりましたが、今でも葉留のその後の人生について思いを巡らせることがあります。そうすると、今の世の中にも彼女のような人がどこかにいるのかもしれないと思えてくる。だからこそ葉留はもちろん、彼女が傷つけてしまった人たちも幸せに暮らしていてほしいと願うようになりました。
彼女のように大きな後悔を抱えている女性を表現するのは本当に苦しく、自分の気持ちを出せない時間も長くて、これまで経験したことのない孤独を感じました。でもそのぶん普通の生活がいっそう輝いて見えて、日常の尊さも感じられる撮影
期間でした。
私が演じた葉留はごく普通の幸せを願う女性です。もし何かひとつでも違っていたら、違う道を歩んでいたかもしれない。そう考えるたびに私たちも罪を犯す可能性があるのだと改めて感じて。だから未熟な彼女ごと受け入れて演じようと思い
ました。
彼女を理解する上で大事にしたのは、刑務所での生活と美容師としてのお仕事ですね。カットの練習はかなりしたのですが美容師としてちゃんとできているのかかなり不安で。周りのみなさんに励まされ、褒めて伸ばしていただきました(笑)。実
際に笠松刑務所を訪れて美容師さんのお話も聞かせていただいたのですが、「最初は失敗もあった」というお話を聞いて、葉留もきっとそうやって少しずつ前に進んできたんだなと、すごく勇気をもらいました。
夏帆さん、聡美さんとの共演も本当に心強かったです。おふたりとも自然体でお仕事をしていらして、生活の延長線上にお芝居というものがあるのが伝わってきて。休憩時間の何気ないおしゃべりもとても心地よくて、お芝居だけじゃなく生き方もすごくかっこいいので私もそうありたいと思いました。
一番印象的だったのは、光石さんが扮した“あおぞら美容室”を作った刑務所所長の「やり直せない人生はない」という言葉ですね。このドラマの核となる台詞ですし、実在する場所だからこそ伝えられることがあると思います。物語そのものを楽しんでいただいたり、自分たちにもできることは何だろうと考えたりするきっかけになれば嬉しいですね。

NAO
1995年2月10日生まれ。
2013年に俳優デビュー。2018年にNHK連続テレビ小説「半分、青い。」で注目を集め、近作に映画『傲慢と善良』、ドラマ「東京サラダボウル」など。今夏は8/5から舞台「WAR BRIDE-アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン-」で主演を務める。東京・兵庫・福岡公演あり。
Photo:平野司/ Text:足立美由紀/ Hair&Make:竹下あゆみ/ Styling:岡本純子、北原里緒菜
女子刑務所の美容室を舞台に、様々な人間模様を描いた小説「塀の中の美容室」(桜井美奈/双葉文庫)を主演・奈緒で連続ドラマ化。女子刑務所の中にある “あおぞら美容室”では美容師・葉留(奈緒)が様々な事情を抱えた一般のお客様たちの想いに寄り添うように、彼女たちの言葉に耳を傾けながら丁寧に髪を切っていく。様々な人たちとの出会いを通し、自らが犯した罪、そしてこれからの人生とどのように向き合っていくのかを描く。
25年出演:奈緒、夏帆、成海璃子、光石研、小林聡美他
WOWOWプライム 22日~ 金曜 後11.00~11.30 再=翌金曜 ※第1話無料放送