朝日新聞の連載小説「理由」で直木賞を受賞し、「模倣犯」「火車」「名もなき毒」ほか多くの傑作小説を手掛けた日本屈指のミステリー作家・宮部みゆき。
これまで、監督・森田芳光×主演・中居正広による『模倣犯』(2002年)、アニメ『ブレイブ・ストーリー』(2006年)など様々な著作が映画化されているが、国内の主要映画賞をさらった『八日目の蝉』の成島出監督メガホンで映画化された衝撃作が『ソロモンの偽証 前篇・後篇』だ。
今回はその前編に注目してみたい。
原作は宮部みゆきによる“作家生活25周年の集大成”
「ソロモンの偽証」は、中学二年生の男子生徒の死の真実を明らかにするため行われた学校内裁判を追ったジョブナイル・ミステリー。
宮部みゆきが15年の構想と9年の執筆期間で書き上げたというこの小説は、長編ものが多い宮部作品の中でも際立つ約2000ページにも及ぶという大作で、作家生活25周年の集大成として刊行されたという。
「事件」「決意」「法廷」の三部構成を、映画化においては前篇・後篇の二部作へと変換。
前篇「事件」では、亡くなった中学生の人間関係をふくめた事件のあらましと、ヒロインが学校内裁判を行うことを決意する姿が描かれる。
あらすじ
クラスメイトの死をめぐる事件がマスコミに嗅ぎつけられてしまい…
母校である城東第三中学校に赴任することになった教師・涼子(尾野真千子)は、新任の校長(余貴美子)からせがまれ、涼子が実現させた23年前の“学校内裁判”について静かに語り始める。
大雪が降った1990年12月25日、2年A 組のクラス委員を務める涼子(藤野涼子)は、学校の裏手で雪に埋もれたクラスメイト・柏木卓也(望月歩)の遺体を発見する。
当初は卓也の飛び降り自殺と説明されていたものの、学校や刑事を父に持つ涼子の元へ“犯行は不良生徒3人によるもの”という目撃者からの「告発状」が届く。
学校側や親たちが沈黙を保つ中、マスコミに“事件”が嗅ぎつけられてしまい…。
嘘つきは、大人のはじまり。
「嘘つきは、大人のはじまり。」とのキャッチコピーがあしらわれた本作の前篇では、裁判の開廷に向かって生徒たちの心が一つにまとまっていく様子を追う一方、真実から目をそらす教師や家族ら大人たちの姿も活写される。
子供を守るため、自分たちの立場を守るため、スクープのため…。
様々な理由から子供たちの声に耳を傾けようとしないウソの世界に身を置く大人たち。
その理不尽な壁に抗おうとする中学生たちの熱量を感じとって欲しい。
放送情報
2021年1月9日(土)20:30~22:35
2021年1月14日(木)19:45~22:00
2021年1月24日(日)20:45~23:00
2021年2月6日(土)23:30~25:45