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岡山に伝承される妖怪「すねこすり」をモチーフに、美しくも残酷な愛を描く『脛擦りの森』(すねこすりのもり)。「謎の男」を圧倒的な存在感で怪演した高橋一生に、本作への想いを聞いた。

 「すねこすり」は子どもの頃に水木しげるさんの漫画で読んで知って、一番得体がしれなくて好きになりました。存在意義がなさそうな妖怪にシンパシーを感じたんです。『脛擦りの森』はその「すねこすり」に対して新たな解釈をしたものですが、怪異が伝承化するその“起こり”のようなものを描いている作品だと感じています。
 僕が演じた「謎の男」は、一言で例えるなら“迷い込んだ人”。役柄としての背景はありますが、それをあえて説明することはせず余白として観る方に委ねています。もともと役作りをあまりしないのですが、今回は人物デザイン監修・衣裳デザインの柘植さんが構築された“場”が与えてくれるものを大切に、監督である渡辺一貴さんの純粋な世界観を形にしていくような感覚でした。特殊メイクも楽しかったですよ(笑)。最初は芝居の邪魔にならないかと懸念していましたが、技術が素晴らしくてまったく負荷がかからず、アナログで“氷点下の環境で白い息を吐いている老人”を映すことの説得力を実感しました。
 僕は幽玄なものってちょっと怖いと感じるんですけれど、この美しかったり怖かったり、抜け出さなきゃいけないのに抜け出せないという怖
さは、日本独特のような気がしています。ロケ地となった岡山の穴門山神社や宇山洞は、歴史ある由緒正しい場所。あの土地ならではの静謐な雰囲気が演じる上で明らかに影響を与えてくれて、僕にとっての最後の一押しになりました。
 この『脛擦りの森』にも恐怖と隣あわせでないと感じられない美しさが描かれています。劇場の大きなスクリーンであの静謐な森に迷い込
んで、娯楽性と寓話性から生み出される独特の感覚を体感してもらえたら嬉しいです。

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Profile
1980年12月9日生まれ。数多くの映画・ドラマ・舞台に出演し幅広く活躍。待機作として『ラプソディ・ラプソディ』が5月1日に公開予定のほか、連続ドラマ『リボーン ~最後のヒーロー~』(テレビ朝日系)が4月スタート。

Photo:平野司 Text:足立美由紀 Hair&Make:田中真維(MARVEE) Styling:秋山貴紀(A Inc.)

『脛擦りの森』(すねこすりのもり)

岡山県西部に伝わる妖怪「すねこすり」。旅人の足にまとわりつき、離れないという―。人里から離れた森で、足に傷を負った若い男(黒崎煌代)が彷徨っていた。若い男は女の美しい囁きのような声を耳にし、洞窟の先にある神社にたどり着く。そこで、謎の男(高橋一生)と妻のさゆり(蒼戸虹子)に出逢う。
●4月10日(金)全国公開
監督・脚本:渡辺一貴 出演:高橋一生、蒼戸虹子、黒崎煌代
https://synca.jp/sunekosuri/

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